レイモンド カーヴァー / 村上春樹

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    ユローヂィヴィ  |  大阪府  |  不明  |  2011年07月10日

    人間の弱さ、人生の敗北、諦め、無関心、出口のない苦しみ、アルコール依存症、不倫・・・。 『ささやかだけれど、役にたつこと』でパン屋が語る次の言葉にカーヴァーの登場人物たちに共通する性格が集約されている。 「あたしは邪悪な人間じゃありません。つまるところ、あたしは人間としてのまっとうな生き方というのがわからなくなっちまったんです。」 魔が差した・・・という言い方があるが、カーヴァーの作品の多くはある日のある事件やちょっとしたきっかけで魔が差して生活が壊れて行くという恐ろしい場面をたんたんと描写していく。 読んでいてつらく重い気持ちになることもあるが心の深いところまで響いてくる素晴らしい文学だ。 アメリカが抱える(現代日本も変わらない。)影を描いた素晴らしい短篇集。 ここに回答はないかもしれないが、悲しみをしっかりと見つめ、深く味わうことが大切なのかもしれない。

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