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CD 鼓 望月朴清の芸術

鼓 望月朴清の芸術

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    musico  |  東京都  |  不明  |  2013年01月26日

    もう10年以上前に購入したのですが、師匠のCDはいくつか出ておりますが、それを全部聴きまして、やはりこのCDが一番素晴らしく、一周してこのCDに戻って来ましたもので、レビューしました。といっても、師匠の鼓師の心意気として語った記事を抜粋させて頂きます。これですべてお分かり頂けると思います。もちろんCDの収録内容、音質は言わずもがな最高レベルです。 「鼓っていうのはさ、だからスポーツに近いんだよね。前にもいったけど、ゴルフの打ち方にも感覚は似てるしさ、そうだ、ボウリングにも似てるよね。ほら、ボウリングって、こうボールを持って投げるよね。その時にさ、指に力が入ったんじゃダメでしょ。どこ飛んでいくかわからないもんね、力がやたらとはいったら。ね、こう、スーッと指が、ボールの穴から抜ける感じ。これが鼓を打つ時の、指のしなりに似てるんだよ。だから、鼓というのは、指でたたくんじゃないんだね。親指の脇を皮のわくにあてたその瞬間に指が自然とスイングして、皮の部分を打つ。ゴルフのインパクトの瞬間と同じというわけだ。わかりやすい? そうでしょう。もっとも、こんなことでうまくなるんだったら、僕はとっくにゴルフのプロになってるよ。だって、そうだよね。鼓の打ち方とさ、ゴルフの打ち方が似てるんだったら、僕は鼓の家元なんだから、ゴルフだって当然相当うまくなっていいはずなんだから(笑い)。理屈じゃないらしいな、どうも。まあ、それはともかくとしても、もう少し、みなさんに鼓という楽器を理解してもらいたいね。学校の先生だって、鼓についてよく知らないんだから。そうそう、この間、タクシーに乗ったらさ、こんなことがあった。ほら、僕は着物を着て乗ってるだろ、だから、運転手が聞くんだ。バックミラーごしにさ、「お客さん、何の商売してるんですか」って。 だから、いうわけよ、こっちも。「鼓打ってるの」「ヘッ?」ってなもんよ。 そしたらさ、思わず車を止めやがって、不思議そうに振りかえるんだよ。聞き違えたと思ったんだろうね。だから「鼓だよ、鼓、ポンポン」って、鼓を打つカッコをして、いってやったんだ。そしたら何ていったと思う。「へえ、あんなもんで、食っていかれるんですか」だって。これだ。大きなお世話だよ、まったく。でも、それが普通なのかもしれないね。鼓だけじゃなく、邦楽について知らない人が多いからね。何かの本にあったよ。日本人はあらゆることにすぐれているけれど、ひとつだけ、どうしようもなくバカなところがある。それは、自分の国の音楽をあまりにも知らないことであるって。これ、いえてると思うね。長唄にしろ、清元にしろ、義太夫、小唄でも三味線でもいいけど、昔の人たちはそうした日本の音楽が身近にあったよね。子供の頃から、それに親しんでいたから、「鼓?あんなもんで食っていけるんですか」なんてトンチンカンなことはいわないよ。どうして、そうなったのかな。僕らの前の時代、だから、え? いやそんな前じゃない。えーと、20年から30年ぐらい前には、ものすごく上手な人たちが邦楽の世界に集まっていたんだよ。この時代の邦楽界はすごかった。名人だらけ。その人たちが、自分たちの技術をもっと日本人に広めてくれればよかったんだけどね。え、いまから? いや、やらなければいけないんだけど、それにはもっと高度な技術を持っていなければいけないよね。清元志寿太夫さんなんか、すごいでしょ。あの人にかぎらないけど、昔はああいう名人上手がたくさんいたわけだから、そういう時代に、邦楽をもっと広く知ってもらいたかったっておもうわけよね。やっぱりさ、いいものじゃないと人に理解してもらえないじゃない。いい声だとか、すごいとかそういう一般的な評価でもいいけど、とにかく、いいものを聞いてもらいたいものね。たくさんの人に、特に若い人には。そうじゃないと、広まっていかないと思うよ。たしかに、歌舞伎がブームのようになって、ようやく若い人たちが邦楽にも目を向けてくれるようになったけど、やっぱり邦楽を志す側が、もっともっと技術を磨かないといけないよね。これが邦楽です、聞いてくださいっていう気持ちがあれば、相手に伝わるもの。稼ぎに夢中なのはよくない。これ邦楽に限ったことじゃないけれど、うまくなろうということよりも、目先のことばかり考えてる人が多いな、いま。ちょっと辛口になるけどさ。」 さあ一度、廃盤にてなかなかその機会もないかもしれませんが、機会があれば(このCDでなくとも人間国宝の師の他のものでも触れて頂きたく。でもチャンスがあればこのCDを)、是非ともお聞き下さい!

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