黒熊怪  |  千葉県  |  不明  |  2011年05月28日

「時の過ぎゆくままに」の編曲は、切れ味が鋭く素晴らしい。聴いていて胸のすくようなリズム感と、それに乗ったシンホニーの世界のような拡がりを感じる。高橋真梨子という人は、年とともに曲の内面の把握が深くなり、歌がうまくなる。人間の年輪が新たな歌の世界を拡げてゆくのが、手に取るように解る。五番街のマリーや、ジョニーへの伝言という歌も、不思議なすばらしい曲で、いまでも、そのマリーが生きていて、かっての恋人を永遠に待ち続けているような気持ちがする。日本人の目に映った古き良きアメリカなのかもしれない。この人の父上は、不幸にして国へ帰ることのなかった多くの若人がいた、米軍の音楽クラブにいただけに、その本当の洋楽のセンスが幼い娘さんに伝わったのかもしれない。そして、別れの朝、原曲はドイツの曲。今、これだけ郷愁のある歌を、歌える人は他にいないだろう。