The Enchantress : Barkhatov, Uryupin / Frankfurt Opera, Grigorian, Macneil, Mahnke, etc (2022 Stereo)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 28/March/2025
チャイコフスキーは『エフゲニ・オネーギン』と『スペードの女王』の間に4曲のオペラを書いている。スケールの大きな歴史劇だが、題材自体、彼向きとはいえない『オルレアンの乙女』『マゼッパ』。メルヒェン的な『チェレヴィチキ』。以上3曲は舞台の映像を見たことがあるが、次が、今回はじめて映像を見ることができた『チャロデイカ』だ。さすがに『スペードの女王』の一つ前のオペラだけあって、音楽の充実度は抜群。近年、上演されることが比較的多い『マゼッパ』より断然上だ。ただし、このオペラがオペラハウスのレパートリーに残らなかった理由も良く分かった。台本が無駄にくどく、劇の展開が遅すぎる。しかもストーリー自体は(今回は現代化演出のせいで一段とそういう印象が強まっているのだが)ひどく生々しい、ヴェリズモな話でこの作曲家の一般的なイメージとは合わない−−こういうオペラも書く作曲家だということは知っておいて良いが。 というわけで、今回の映像ディスク。回り舞台のうまい活用、プロジェクション・マッピングの的確な使用(特に第4幕前の間奏曲)など見るべき点も幾つかあるが、やはり現代化演出は無理だったと思う。悪役、イェフプラクシア公妃の行動動機が「家門の名誉を守るため」であること、ヒロインに対する「魔女」呼ばわり、最後の毒薬ネタに至るまで、そのまま現代に持ち込むには難しい要素が多すぎた。ト書き通り、第4幕の舞台が「森の中」であれば、救いのないエンディングの印象も少し変わったのではないか(演出は父親がユーリを殺すという最後の展開自体を少し変えているのだけれど)。おそらく彼女が出演することで、この上演のディスク化が企てられたのだろう。サロメやルサルカに通じるファム・ファタル系のキャラクターゆえ、グリゴリアンの演唱は圧巻。マクニール(ニキータ公)、マーンケ(その妻、イェフプラクシア公妃)ともに申し分ない。 マッチョを装う優男という演出の「ひねった」キャラ作りに災いされた感もあるが、ミハイロフ(ユーリ)のみ、違和感あり。『ペレアスとメリザンド』ならペレアスに相当する立ち位置のこの人物は、もっと叙情的な歌を歌うイケメンなはずなのだが。比較の対象がないが、指揮はとても良い。0 people agree with this review
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