パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡 中公文庫
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seigo-hk | 長崎県 | 不明 | 2021年07月23日
『 パリのパサージュ 』行ったこともなく、映像で少し見たことあるというくらいの場所だが、昔からなんとなく惹かれるものがあった、パサージュという言葉の響きそのものにも魅力を感じるため、この本も自然と手にしていた。するとガイドという役割よりも、文章そのものの良さに連れて行かれてしまっている。「超現実を展示するショーウィンドーであるばかりか、そのまま〜異界〜へと通じる入口でもあるのだ。」ただ訪れただけでは感じれそうもない感覚を、さらりと伝えくれている。鋭い洞察力に驚くとともに、その場所の魅力がますます気になってゆく語りだ。さらには人生で出会う何か大事なことも書かれているような気にもなる。「過去未来という時制には、予言された事実が現実に実現されたか否かにはかかわらず、いちように、もはや過ぎ去ってしまった未来の明るさに対する哀切の感情が込められている。」繊細とも思える捉え方で町の雰囲気を表していたりしては「未来系の明るさを包み込む過去形の暗さ。」と伝えていたり、通過してゆくその街並みを「時間隧道」と表現していたり、表現の見事さに感心する。文章を読むごとに、独特の町の空気感に包まれたり、空間に足を踏み入れてゆくようだ。「夢の残像」「時間的な感情の交錯」「イメージの交錯」「相反する印象の共存」実際には訪れたことのない場所を、本の世界の中で行った気分になることで存分に楽しめている自分がいる。素晴らしい内容です。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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