【中古:盤質B】 リムスキー=コルサコフ:『シェエラザード』、グラズノフ:『ライモンダ』より フェドセーエフ&モスクワ放送響(1994)
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2012年08月26日
本盤には、R・コルサコフの超有名曲である交響組曲「シェエラザード」を軸として、グラズノフのバレエ音楽「ライモンダ」の抜粋がおさめられているが、同様に発売されたプロコフィエフの管弦楽曲集と同様に、演奏の素晴らしさ、録音の素晴らしさも相まって、正に珠玉の名CDと高く評価したいと考える。フェドセーエフは、近年では、同じくロシア系の指揮者である後輩のマリス・ヤンソンスやゲルギエフなどの活躍の陰に隠れて、その活動にもあまり際立ったものがないと言えるが、1980年代の後半から本盤の演奏の1990年代にかけては、当時の手兵であるモスクワ放送交響楽団とともに、名演奏の数々を成し遂げていたところである。本盤におさめられた演奏も、そうした名演奏の列に連なるものであり、フェドセーエフ&モスクワ放送交響楽団による一連の録音は、現在ではほぼ撤退したキャニオンのクラシック音楽録音の旗手の一つとして、その存在感には非常に大きいものがあったとも言えるところだ。演奏自体は、意外にもオーソドックスなもの。旧ソヴィエト連邦時代のロシア人指揮者と旧ソヴィエト連邦下の各オーケストラによる演奏は、かの大巨匠ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる数々の名演を除いて、およそ洗練とは程遠いようなロシア色濃厚なアクの強いものが主流であった。これには、オーケストラ、とりわけそのブラスセクションのヴィブラートを駆使した独特のロシア式の奏法が大きく起因していると思われるが、指揮者にも、そうした演奏に歯止めを効かせることなく、重厚にしてパワフルな、正にロシアの広大な悠久の大地を思わせるような演奏を心がけるとの風潮があった。メロディアによる必ずしも優秀とは言い難い録音技術にも左右される面もあったとも言える。ところが、旧ソヴィエト連邦の崩壊によって、各オーケストラにも西欧風の洗練の波が押し寄せてきたのではないだろうか。本演奏におけるモスクワ放送交響楽団も、かつてのアクの強さが随分と緩和され、いい意味での洗練された美が演奏全体を支配しているとさえ言える。もちろん、ロシア色が完全に薄められたわけではなく、ここぞという時のド迫力には圧倒的な強靭さが漲っており、これぞロシア音楽とも言うべき魅力をも兼ね合わせていると言えるだろう。特に、R・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」における木野雅之によるヴァイオリン・ソロは、とろけるような美しさを有しており、本名演に華を添える結果となっていることを忘れてはならない。いずれにしても、本盤の演奏は、全盛期のフェドセーエフによる、いい意味での剛柔のバランスのとれた素晴らしい名演と高く評価したいと考える。音質については、キャニオン・クラシックスという録音でも定評のあるレーベルであるだけに、従来盤でも十分に良好なものであったが、今般、ついに待望のSACD化がなされることになった。音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても超一級品の仕上がりであると言えるところであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。いずれにしても、フェドセーエフによる素晴らしい名演を高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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