夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

奈倉有里

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784781620121
ISBN 10 : 4781620124
フォーマット
発行年月
2021年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
272p;20

内容詳細

ロシアは今、どうなっているのか。高校卒業後、単身ロシアに渡り、日本人として初めてロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業した筆者が、テロ・貧富・宗教により分断が進み、状況が激変していくロシアのリアルを活写する。

目次 : 未知なる恍惚/ バイオリン弾きの故郷/ 合言葉は「バイシュンフ!」/ レーニン像とディスコ/ お城の学校、言葉の魔法/ 殺人事件と神様/ インガの大事な因果の話/ サーカスの少年は星を〓みたい/ 見えるのに変えられない未来/ 法秩序を担えば法は犯せる〔ほか〕

【著者紹介】
奈倉有里 : 1982年12月6日東京生まれ。2002年からペテルブルグの語学学校でロシア語を学び、その後モスクワに移住、モスクワ大学予備科を経て、ロシア国立ゴーリキー文学大学に入学、2008年に日本人として初めて卒業し、「文学従事者」という学士資格を取得。東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。研究分野はロシア詩、現代ロシア文学。2021年、博士論文『アレクサンドル・ブローク 批評と詩学―焼身から世界の火災へ』で第2回東京大学而立賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    評判通り、本当にいい本だ。高校卒業後に単身ロシアに渡り、日本人で初めてゴーリキー文学大学を卒業した著者の体験が綴られている。語学学校での先生のアドバイス、ルームメイトとの関係など、出会った人々と心の襞を紡ぐような文章がとても素敵。中でも、大学の恩師との何とも濃密な関係は、一編の小説を読むような味わいがある。厳格な父、奔放な母、娘はロシアが専門の名エッセイストとなると、どうしても米原万里さんを思い浮かべてしまうが、二人揃って、自身への厳しさ、人への優しさ、そしてロシア社会を見る目の鋭さを兼備えた才媛である。

  • ベイス さん

    素晴らしい読書体験となった。多くの方が押していたが期待以上しばし放心。薄い本だが内容が濃い。苦学生同士の瑞々しいやりとり、慎ましく静かそれでいて発見に満ちた異国での生活、恋といえるようないえないような老教授との交流何より別れ、文学に真正面から向き合う真摯な学び、次第に忍び寄る大国ロシアの不穏な空気感それを批判的に綴る冷静な筆。ただの一語も「真実」と「本音」から逸れまいという強い自己統制力を感じさせる飾らない一文一文。とても愛おしく、まさに作者が老教授に抱いたような、一言も漏らすまいとの気持ちで読み進めた。

  • アキ さん

    お気に入りの本屋さんでお薦めされたロシア文学の翻訳者のエッセイ。文章が瑞々しく、単身でロシアの大学で文学を学んだ際の友人や個性的な先生たちとのエピソードに引き込まれて、一気に読み終えた。ペテルブルグの薄暗い部屋でエレーナ先生に忠告された不幸な予感は決して言葉にしてはいけない、アントーノフ先生に教えてもらった歴史図書館に向かう坂を登るときの幸福感、ラスコーリニコフが歩数を数える場面を読むと親友のマーシャと六七歩を思い出す。五人の警察官の件やウクライナのクリミア問題などロシアの闇に、つなぐ言葉を大事にしたい。

  • どんぐり さん

    ペテルブルグ大学の語学学校を経て国立ゴーリキー文学大学に入学し、2008年に卒業するまでの出来事を綴ったエッセイ30篇。著者はロシアで文学を専門とする労働者という意味をもつ「文学従事者」の卒業資格を得て帰国し、いまは翻訳を主活動にしているロシア文学者である。年末から読み始めると、これがすごく面白い。特に、ロシア文学を極めようとする学徒とアントーノフ先生との師弟関係を彷彿とさせる〈文学大学恋愛事件〉や、文学を探究する同じ想いを共有しながらやがて訪れる恩師との別れと哀しみを綴った〈生きよ、愛せよ〉。→

  • kaoru さん

    1982年生まれでモスクワのゴーリキー文学大学を日本人で初めて卒業した翻訳家がロシアの恩師や友との絆を描くエッセイ。ソ連崩壊から時を経て徐々に強まる学問への介入、宗教の強制、警察の腐敗などの描写は迫真的だが食生活や親友マーシャの恋愛事情など柔らかな話題も多い。アントーノフ教授とのエピソードは双方の文学へのひたむきさが生んだ至上の師弟愛。最後にはウクライナについての記述も。著者の人道的な姿勢と正義感がすがすがしい。「文学が歩んできた道は人と人との文脈をつなぐための足跡であり、記号から思考へと続く光でもある」

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