基本情報
内容詳細
猫のティブルスは、尻尾を失ったとしても「ティブルス」なのだろうか―。「同一性」は哲学において最も基本的かつ重要な概念の一つである。本書は、その概念を統一的な視点から解明する。まず、同一性関係は形而上学的にどのように特徴づけられるかを分析し、「同一である」という表現や同一性言明を、意味論的な観点から説明する。そして、私たちが日常的な事物に対して行なう認知的な同定・個別化を、認識論や心の哲学、あるいは知覚の哲学の観点からどのように理解すべきであるかを検討する。本書は、種別概念に基づいた一つの統一理論を提出することで、このような困難な問いに答えようとする野心的な一冊である。
目次 : 序論/ 第1章 予備的考察―種別概念をめぐる諸前提/ 第2章 同一性関係の形而上学―相対主義から種別論的な絶対主義へ/ 第3章 同一性表現の意味論―バトラーの区別を擁護する/ 第4章 認知的な個別化の認識論―認識的な種別概念主義の一形式/ 第5章 個体の形而上学―多元性・構成・統一性/ 結論 「同一性」の種別的親和性アプローチ
【著者紹介】
横路佳幸 : 日本学術振興会特別研究員PD/南山大学社会倫理研究所プロジェクト研究員。2019年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程を単位取得退学。2020年、同大で博士号(哲学)を取得。専門は哲学、倫理学。「非認知主義・不定形性・もつれのほどき―分厚い語の意味論」(『倫理学年報』66集、2017年)で日本倫理学会2017年度和辻賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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