国家はいかに「楠木正成」を作ったのか

谷田博幸

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309227573
ISBN 10 : 4309227570
フォーマット
出版社
発行年月
2019年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
352p;20

内容詳細

「戦後」の終焉を新たな「戦前」の始まりとしないために。「玉砕」も「特攻」も「散華」も、「楠公精神」から派生した。国家、学者、作家が、こぞって楠木正成を称揚した経緯を検証する!!

目次 : 第1章 「逆賊」礼賛―中島久萬吉商工相の「尊氏問題」(中島久萬吉/ 波乱の貴族院本会議 ほか)/ 第2章 楠木正成はいかに教えられたか―臣民教育の中の大楠公(国史教科書の中の楠公父子/ 楠木正成はいかに教えられたか)/ 第3章 非常時の祝祭―楠公顕彰の立役者たち(言論報国七〇年―徳富蘇峰/ 昭和の楠木正成―荒木貞夫 ほか)/ 第4章 昭和太平記―非常時「楠公小説」案内(菊池寛/ 直木三十五 ほか)/ 終章 祭りのあと―大鳥居崩落(湊川神社と藤巻正之宮司/ 大鳥居の建設、そして崩落 ほか)

【著者紹介】
谷田博幸 : 1954年、富山県に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、滋賀大学教授(西洋近代美術史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    天皇親政の明治政府は建武中興をモデルとし、後醍醐天皇に忠節を尽くしきった楠木正成を「臣民の鑑」とした。戦争の時代になると、正成の七生報国は「天皇のために命を捨てる」「敗けるとわかっている戦いでも、天皇への忠節を貫いて命を捨てる」姿として、国民を戦場に駆り立てるのに利用される。徳富蘇峰らの言論人、東京帝大の史学の教授たち、そして文学者たちが、正成を通じたプロパガンダにどれだけ手を貸してきたかがよくわかる。本書は終戦までだが、楠木正成が、戦後どう扱われてきたかが描かれてないのは、画竜点睛を欠いていると感じる。

  • 鯖 さん

    呉座先生曰く「その時代その時代の理想像を仮託され続けてきた」楠木正成が先の大戦時に最大限に利用され尽くす様を豊富な事例と共に記す本。今朝の大河の太平記でGから「正成、今の儀、朕は聞かざりしこととするぞ」と口を塞がれ、湊川で敗北するまでを見たところであり、自称ご子孫がSNS上で歴史学者を荒唐無稽な理屈で弾劾しまくるところも見てたので、ものすごくリアルな読書体験でしたね…ええ。そりゃ太平記自体が創作物だと言われちゃえばその通りだけどさ…。死後何百年にも渡り、口を塞がれ、利用される様が気の毒でならない。

  • なつきネコ さん

    戦前、特に大楠公六百年記念祭の楠木崇拝を中心にした印象。明治の教科書記述のサッパリした楠木から南北朝時代のみが歴史であり大楠公のみが日本精神の象徴へと日本社会が盛り上げたんだな。平泉澄の百姓の歴史を豚の歴史と同じと言い切る自文化中心主義の典型。多くの教授は思考の停止の中で作家は足利尊氏の人間性や、後醍醐天皇への書き方を典型から逃そうとするあたりは作家だなと安心。しかし、現在に読みつがれない太平記は物語として失敗したんだな。大悪人化した敵、忠義の英雄、同じ題材の三国志は国を跨ぎ広がったのとは違いを感じた。

  • のれん さん

    大日本帝国の歴史観を揺るがした南北朝問題を皮切りに、昭和一〇年以降を中心にした「大楠公」のシンボリズムを研究する。 正成は義経と同じ判官贔屓のカテゴリで人気だった英雄に過ぎないのに、日中戦争からかの米国との戦争へ向けて、国家への忠義心ある英雄像が作られた。 足利を貶め、後醍醐天皇を賛美し、北朝を有耶無耶にする、そんな意味は大楠公にはなかったのに。 国家のナショナリズムのための広告塔の作り方がはっきり分かる。綺麗なイメージ作りに国家学会ぐるみが邁進することは珍しくない。実例を提示するに留めている誠実な作り。

  • キミ兄 さん

    戦前にいかに楠木正成が武人の象徴として持ち上げられていったかを、具体的な文献や著名人の発言により説明していく内容。当時の軍部の精神性の一端が垣間見える。最後は湊川神社の大鳥居が崩落した話で終わる。なるほど。確かに強いだろうな、兵士としては。☆☆☆。

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