ウラジーミル・ソローキン

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マリーナの三十番目の恋

ウラジーミル・ソローキン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309208091
ISBN 10 : 4309208096
フォーマット
出版社
発行年月
2020年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
318p;20

内容詳細

美しい三十歳の女性マリーナは、ソルジェニーツィンに傾倒する反体制のピアノ教師。スターリンが死んだ年に生を享け、子ども時代からピアニスト修業を重ねた。父の自殺ののち、祖母に育てられた彼女は、男を愛したことがない。優雅な指としなやかな体をもつ最初の恋人マリヤ、電車に轢かれて真っ二つになったヴィーカ、強盗遊びに大好きだったリューバ、サッフォーの生まれ変わりを自称するニーナ、天使のような顔をした肉感的な唇のサーシャ…。やがて三十番目の恋が訪れたとき、彼女の世界は一変する。『青い脂』とならぶ初期代表作。反体制レズビアンの奔放な性と、旧ソ連の閉塞社会が織りなす奇妙な官能的物語。モスクワ・アンダーグラウンド芸術に参画した若きソローキンによる逆説的ディストピア。

【著者紹介】
ウラジミール・ソローキン : 1955年ロシア生まれ。70年代後半からモスクワのコンセプチュアリズム芸術運動に関わる。83年、当時のソ連を象徴する風景を戯画化した作品『行列』を発表し、欧米で注目を集める。2010年に『氷』でゴーリキー賞受賞。英語圏などでも高く評価され、2013年国際ブッカー賞最終候補

松下隆志 : 1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。岩手大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • syaori さん

    ショパンのノクターンを人生とし、ソ連の体制を憎む女性のこれまでの人生を辿る前半と、その彼女が体制に身を投じて安らぎを得る後半の対照が効いています。彼女は言う、愛と性と闘争の思い出は美しいけれど「それで何が残った? 何が? ゲロ」。そうして体制に身を投じた彼女が見出す繋がりは生産的で穏やかで温かく、徐々に文章が破綻していかなければユートピアのよう。そしてこの作品が本当に愉快なのは、個を重視しながらも多数派でいたいという私たちの願望の半分を反映したこの幸福の姿が「それなりに正しいってこと」だろうと思います。

  • Vakira さん

    人類は進化の過程で発情期はなくなっていった。代わりに種の保存として得た機能、それはオーガズム。オーガズムがあるが故、人は快楽求めてセックスをし、その行為が種の保存へと繋がる。しかしオーガズムだけでは種の保存とはなり得ない。同性の場合でも人によってはオーガズムを感じる事が出来るし、自分個人でも感じる事は出来る。そうなのだ、快楽は個人的なものでその方法は自由だ。マリーナの29人の愛の遍歴は自由の象徴アメリカを、対して30人目の相手は共同体の象徴ソ連を思わせる。文学破壊者との異名を持つソローキンさん最新作。

  • マリリン さん

    壮大な協奏曲(交響曲か?狂想曲か?)を聴いているような錯覚に陥る。 前半はショパン、中盤はジョン・ケージの独特な音色が似合う。そして寺院の鐘の音の残響。生きていたのではなく存在していただけなのは過去か現在か。引用されたプラウダの項は、延々と流れる国営放送で洗脳させるかのよう。恋愛(官能)小説という仮面を被った感の本作は、当時の社会情勢と痛烈な皮肉を織り込み、読む側に歴史を回顧させる。当時のソ連情勢が生んだ独特な風合いの芸術作品。確かに前半と後半では香りが異なる絶妙さ。装丁と添えられた薔薇の香りが印象的。

  • 松本直哉 さん

    アナーキーでエロティックな前半と、清く正しい社会主義リアリズムの後半の対照は驚くほどで、それは、深刻で複雑な楽章の後にわかりやすく派手なフィナーレを置くショスタコーヴィチの交響曲に似ている。しかし、ショスタコのフィナーレが欺瞞的に聴こえるのと同様に、本書の後半もまた、あまりに正しすぎるためにかえって皮肉に見える。二十九人のレズビアンの恋人のあと、三十番目の男によってはじめて真実に目覚めるのも嘘くさい。幼少期の実父からの性暴力のトラウマで男性に恐怖心を抱いていただけになおさら。おそらく意図された嘘くささ。

  • そふぃあ さん

    『三部作』を読んで、<全体主義的でない救済などありえるのだろうか?>という問いを感じた。だが、本書を読み終わり、<全体主義は救済になり得るのだろうか?>と思った。 あとがきにも「マリーナが個性から解放され、無個性の集団に加わることは「救い」である」とあり、テーマは共通しているのだろうが、本書には『三部作』よりも強い恐怖を感じた。何故か?それは、身に覚えがあるから。趣味の時間も自分の時間もない労働への奉仕が日本では非常に身近で私も経験したから。だがそれは救済ではなかった。 最後数十ページは苦行()でした。

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ウラジーミル・ソローキン

1955年ロシア生まれ。70年代後半からモスクワのコンセプチュアリズム芸術運動に関わる。85年、当時のソ連を象徴する風景を戯画化した作品『行列』をパリで出版する。ソ連崩壊後、『青い脂』(99)、『氷』(2002)、『ブロの道』(04)、『23000』(05)と続く“氷三部作”や、『親衛隊士の日』(0

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