夏みかん酢つぱしいまさら純潔など 句集『春雷』『指環』

鈴木しづ子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309019314
ISBN 10 : 4309019315
フォーマット
出版社
発行年月
2009年08月
日本
追加情報
:
20cm,165p

内容詳細

激動の戦後を生き、昭和27年に消息を絶った伝説の女流俳人・鈴木しづ子がこの世に遺した句集「春雷」「指環」。製図工、恋愛、性、ダンサー生活、黒人米兵との同棲を赤裸々に詠んで消えた女の2冊の句集完全復活。

【著者紹介】
鈴木しづ子 : 1919年6月9日、東京神田生まれ。俳人。戦時中は岡本工作機械製作所、戦後は東芝府中工場に製図工として勤務。俳句は1943年頃から「樹海」に依り、主宰の松村巨湫に師事。48年に職場結婚するが、一年余で離婚、ダンサーとなり、駐留米国黒人兵と同棲。53年、岐阜県各務原から失踪、その後の消息は不明である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • テトラ さん

    伝説といわれた女性俳人であるらしい。この本はその生涯における二冊の句集をまとめたもの。製図工として戦中を生き、戦争によって愛した人を二度も奪われた女性。後半は奔放な句が増えていくが、それは事実というよりもむしろ。読み終わって本を閉じると、タイトルがしみじみと胸に迫る。いまさら純潔など。今更のこの身体。働いて、人を愛し、失う悲痛も一身に引き受けて。しかし彼女は句集『指環』で、自分は弱く人生というものに完全に負けたのだと言う。女として生きることが今よりも苦しかったであろう時代の、それでも美しい句集でした。

  • Maki さん

    真っ直ぐに愚直に真面目に生活してきました。故郷を離れ指先を凍らせ、慣れない仕事をしながら俳句と出逢い、胸のうちをわずかながらしたためることで心の平穏を図りました。ある日、恋をしました。ささやかな幸せを 願いました。しかし、運命とゆうものはどうしてこうも酷いものなのでしょうか。戦争とゆうどうにもならない運命に逆らう強さなど、どこに、だれに、あったとゆうのでしょう━━。【東 京 と 生 死 を ち か ふ 盛 夏 か な】

  • ちぇけら さん

    春浅し遠く遠くのそびらかな。沸騰する湯を、ひたと氷で冷ます。その沸き上がる湯気に、わたしはしんから寄り添って心をゆだねる。この恋心を決めてほしいと痛む胸が叫ぶのです。乳房の白さよ、その内をはう青き血管にやどる命よ。抱かれる熱につめたい畳が心地よい。つるりとした月の明かりのしたで起きあがる情慾が、ぐらぐらとわたしを揺らしてやまない。だめだとおもいながらも枯葉を鳴らしてまぐわうあなたは、霧の、むこうのひと。ずっとずっと遠くへ行ってしまった。わたしはもう、散って散るさくらのように泣くしかない。

  • 紫羊 さん

    母を思う句を詠んだ文学少女が、戦争や戦後の占領を経て、やがて「娼婦俳人」と呼ばれるようになる。ページを繰るたびに激しく変容していく句を目で追いながら、彼女の上を過ぎていった時の冷酷さに胸が締めつけられた。世間から完全に姿を消した後、彼女はどんな人生を生きたのだろう。読後、恐ろしいほどの寂寥感に襲われた。

  • メタボン さん

    ☆☆☆☆ 春嵐にたとうような半生。残りの半生の行く末は誰も知らない。句集には破調とも言える句が多い。光を「かげ」と詠む感性。何となくリチャード・ツワージクのピアノを思い起こした。春さむうきびしくぬぐふ玻璃の塵・夫ならぬひとによりそふ青嵐・東京と生死をちかふ盛夏かな・好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷・花の夜や異国の兵と指睦び・霙れけり人より貰ふ銭の額・身の変転あかつきを降る春霰・コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ・頒ち持つかたみの品や青嵐・春雷はあめにかはれり夜の対坐・風鈴や枕に伏してしくしく涕く。

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人物・団体紹介

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鈴木しづ子

1919年、東京生まれ。俳人。本名・鎮子。専修製図学校卒。岡本工作機械製作所時代に句作を始め、松村巨湫が主宰する俳句結社「樹海」に参加。『春雷』『指環』二冊の句集を残し、1952年以降消息を絶つ

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