ボラード病 文春文庫

吉村萬壱

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167907891
ISBN 10 : 4167907895
フォーマット
出版社
発行年月
2017年02月
日本
追加情報
:
189p;16

内容詳細

B県海塚市は、過去の災厄から蘇りつつある復興の町。皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく―。集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。

【著者紹介】
吉村萬壱 : 1961年愛媛県松山市で生れ、大阪で育つ。京都教育大学卒。東京都、大阪府の高校教諭・支援学校教諭を務める。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞、03年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞、16年「臣女」で第22回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    芥川賞作の『ハリガネムシ』もそうだったが、本作ではなお一層に暗鬱な世界が描かれる。作中に明示されているわけではないが、これは明らかに東日本大震災後の光景である。設定されている海塚は架空の市だが、もはや日本中のどこであっても成立してしまうところに、一層の恐怖がある。手法としては小学生の女の子の手記のスタイルを取るが、この世界を了解することと、し得ない年齢にいることのジレンマの中に巧みに主題を内包させるものであり、これは大いに成功しているだろう。ただ、終章(成年となった主人公の語り)は、説明的に過ぎるか。

  • ehirano1 さん

    佐藤優氏が「全体主義国家のありようを的確に捉えた小説」とのことだったので手に取ってみましたが、予想以上にハマりました。全体主義国家とは同調圧力のことであるということが小説を通してこんなにも分かり易く且つ、なぜかリアルに感じることができる本書の完成度に感服しました(やはり薄い本、畏るべし!) 因みに、B県はあそこの県のことかと容易に推測できることから、善い意味での再興を願うと同時に、再興の難しさを代理体験しました。

  • ehirano1 さん

    『・・・人生というモノは家にある煎餅布団ではなく、盆踊りの櫓のように立体的なものだという気持ちになりました』、と小学生の恭子は思います。「煎餅布団」と「盆踊りの櫓」という対比がかなりかけ離れていると感じました。「煎餅布団」と「二段ベッド」なら納得いくのですが、なぜ盆踊りの櫓なのか・・・。恭子が小学生だからなのか、否、もっと別の深い意味があるような気がしてなりません。

  • sin さん

    踏み出したつま先がどこに触れるかがわからない様な不安な気持ちがページを繰る手を鈍らせる読書体験だった。ここに記されている世界が暗示するものはデストピアではあるのだが、そこに住まう者たちの自らを偽って暮らす様に自分たちの国民性を感じ取って薄ら寒い心地を覚えるのは自分だけだろうか?移り気で何事もなかったことにして忘れ去ってしまおうとする。廻りに同調して気づかない振りをしても真実は現実として決してゆらぎはしないのに…。

  • ehirano1 さん

    『・・・少なくとも彼女からは自分の生きる目的なようなものを児童に求める脆弱さは感じられませんでした。教育熱心な教師ほど児童に裏切られると弱いものです。何故なら自分がなく、児童や保護者の評価だけを当てにして生きているからです』。“脆弱”や“自分がない”、正にそのとうりだと思いましたが、人間だから感情移入してしまいますよね。このあたりのバランスを上手くとることができる教師はレベルが高いのだと思います。

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人物・団体紹介

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吉村萬壱

1961年、愛媛県松山市生まれ、大阪育ち。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を務めた後、五十二歳で専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第九二回文學界新人賞を受賞してデビュー。2003年「ハリガネムシ」で第一二九回芥川賞、2016年『臣女』で第二二回島清恋愛文学賞を受賞(本デ

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