ナラ・レポート 文春文庫

津島佑子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167717414
ISBN 10 : 4167717417
フォーマット
出版社
発行年月
2007年09月
日本
追加情報
:
16cm,427p

内容詳細

「大仏をこわしてよ」少年モリオがハトの母に懇願する。幽明の境を越えた母子の物語は中世のキンギョ丸、アイゴ若説話、アイミツ丸の悲劇にリンクし、絡み合う。時空を飛び交い、様々な時代に生れ死ぬ母と子。物語が物語を呼び、記憶が記憶に重なって、豊饒な小説世界が立ち現れる。現代文学が到達しえた驚異の傑作長篇。紫式部文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

【著者紹介】
津島佑子 : 1947年東京生まれ。白百合女子大学文学部英文科卒。71年はじめての短篇集「謝肉祭」を出版、77年「草の臥所」で泉鏡花文学賞、83年「黙市」で川端康成文学賞、87年「夜の光に追われて」で読売文学賞、98年「火の山―山猿記」で谷崎潤一郎賞と野間文芸賞、2001年「笑いオオカミ」で大佛次郎賞、05年『ナラ・レポート』で紫式部文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また95年、アイヌ叙事詩仏訳の監修を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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  • あ げ こ さん

    ドロドロと、自らを、覆い尽くそうとするもの。その不快さ、その生き辛さ、そのすべてを、打ち払うため。逃れられぬ場所で、生きて行くため、背負ったツミ。溢れ出した言葉、思いに飲まれ、母と子は巡る。遠い未来の記憶を持ちながら、奪われ、引き裂かれ、それでもなお、繋がり続けた、いくつもの、生を巡る。高みより注ぐ憐れみを掻き消す、慟哭の熱さ。自らの思いさえ、其方へ、自然と寄り添って行くよう、ただ、ひどく胸がざわめく。それぞれが握りしめる、温もりの柔らかさ。静かな悲しみに彩られた終わり、広がるのは寂しさと、慕わしさ。

  • あ げ こ さん

    シカを殺して両耳を切り取った息子と、ダイブツを壊したハトの母。ツミを背負った母と息子は時空を超えた旅をする。遠い未来の過去の記憶を秘めたまま、次々違う物語へと飛んで行く。物語の中の自分、違う物語の中の自分。複数の意識と記憶が絶妙に混じり合う。中世の、幾つもの物語の中で息子を産み続けた母。あこう御前に宿った際の葛藤は特に素晴らしい。愛満丸の悲劇とリンクする息子の物語もまた秀逸。母と息子の記憶が繋がる着地。感情が溢れる瞬間。本当にいい!二人の旅路と悲しい別離は何度読んでも胸を打つ。

  • 渡邊利道 さん

    ナラは奈良。少年モリオ(森生)は、死んだ母の霊と対決し、土地と動物の精霊の時空を彷徨い、正史の外にある言葉たちと巡り会う。執拗な言葉同士のせめぎ合いの中から浮かび上がる原型。歌と語りを小説に取り入れていく試みのひとつの達成と言えそうな長篇。独特の童話・民話との親和性もひとつの形式的達成と言えそう。切実な主題をとりあげつつ語り口に余裕が漂っているのが凄い。

  • 龍國竣/リュウゴク さん

    輪廻転生、それは過去に遡る。母と子の絆が一貫して書かれる。それは、神秘的で、生まれ変わったとしても続いている。大仏の崩壊と共に、土俗的な話は神話へと昇華される。世界の階層を段階を経て上っていく。これは大仏が見せた幻だろうか。残るのは灰色の骨ばかり。

  • 毒モナカジャンボ さん

    奈良を憎しむすべての人たちへ……というのは冗談として、かなり大掛かりなことが起きているが、意外と文章があっさりしており、あまりこういう読後感になる本ってない。この本に「基準時」という言い方はあまりそぐわないが、最初の時空を起点にすると、起きていることは本当に少ない。それこそ説話くらい少ない。

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