永遠も半ばを過ぎて 文春文庫

中島らも

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167585013
ISBN 10 : 4167585014
フォーマット
出版社
発行年月
1997年09月
日本
追加情報
:
16cm,268p
16cm,268p

商品説明

「えっ。ユーレイが小説を書いたの!?」巨大タニシの母貝1個1億円の商談をしくじった三流詐欺師の俺にも、運がめぐってきたようだ。謎の原稿を出版社に持ち込んだところ、文壇の大事件に発展し…。うふふ。ここは腕の見せどころ。輪舞するコメディ。あふれ出る言霊。待ってましたの痛快らもワールド。

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写植を生業としている“おれ”のもとへある...

投稿日:2021/04/11 (日)

写植を生業としている“おれ”のもとへある晩ふらりと訪れた高校時代の同級生。ひょんなことから彼が詐欺師であることが判明し、なぜか“おれ”も詐欺の片棒を担がされることに。ふたりの詐欺はやがて出版界を巻き込んでの大騒動へ発展していく------という痛快コメディ。自動書記にシュールレアリスム、アルコールにドラッグ、活版印刷の歴史とマスコミ。ヤクザと詐欺と情婦と、そして、笑い。中島らも作品の代名詞とも言うべきモチーフが随所に散りばめられ、軽妙なタッチで物語は描かれ加速していく。主人公が医師会の重鎮たちを相手に一発本番の詐欺のプレゼンテーションをするシーンの面白さはいつ読み返しても圧巻の一言に尽きる。また、主人公の“おれ”が極めて非観念的な存在として描かれている点にも注目したい。例えば胸が熱くなるような感動からも、心底の怒りや悲しみや歓びからも、およそ人間的な生々しい感情から遠く切り離された存在として“おれ”は一貫して描かれている。そんな“おれ”に映る世界や社会へのリアクションが本作品の文体を形作っており、そのことが、作品全体から過剰な意味付けや劇的な要素を排し、登場人物たちの行為そのものの滑稽さを巧みに抽出し表現することに成功している。中島らもという作家の「面白さ」への追求(戯作性)と、おそらくは日々の思考の積み重ねではなかったであろうかと思われる考察性(批評性)が絶妙のバランスでせめぎ合う極上のエンターテイメント。

チョコぞう さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

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  • ケイ さん

    頭が良くて愚かで、気の利いたセリフがどんどん出てくるほど頭の回転がはやくて行動が馬鹿で、心が弱くて強がって、屁理屈ばかり並べて、彼ほど口の上手くない真っ当な人の言うことを退ける。彼の文章は、ずっと親しかったある友人を思い出させ、彼の現状を見るに、本当に笑えない。ああまたここにも、賢い愚か者がひとり。実はブラッドベリの『とうに夜半を過ぎて』を読みたくて、間違えて手に取ったのだが、最後まで読んでしまった。

  • 青乃108号 さん

    小粒で気楽な作品で、すぐ読める。酒とクスリで小悪党がはたらくセコい詐欺の話。面白くはあるがそれ以上ではなく、あとには何も残らない。タイトルは秀逸だが、作中作のそれという扱いで本編には無関係で、タイトルから俺が勝手にイメージした作品とは違っていて残念だった。登場する3人はそれぞれ個性的であるが俺は好きになれない。

  • ちはや@灯れ松明の火 さん

    酒の海に薬を溶かして電算写植機の小舟でぷかり漂う。アフリカ産タニシに裏書びっしり手形、痩せるお茶に大創業祭セール、胡散臭い嘘八百も味気ない文字の羅列もトリップフィルター通せば妙なる詩を紡ぎ出す。これは幽霊の書いた物語です、文字通りのゴーストライターです。詐欺師・写植屋・編集者、方向性の異なる言葉のプロがトリオを組んで生まれた美麗本。真・善・美、言霊がふれあい奏でる清かな音色。函入り、箔押し、クロス装、予価三千二百円、部数三千部と思いきや三万部、完売なるか。言葉の海に魂を溶かして、姿なき声に耳をすませて。

  • 白のヒメ さん

    本好きな者としての私の幻想だろうか。文学や文章という言霊は、作家という媒体を利用してこの世に生まれてくるのだと信じているので、この作品は非常に琴線に触れた。さすが、らもさん。「三流の詐欺師たちを通して生まれた幽霊が書いた小説という胡散臭い本は、さらに胡散臭い経過を通してだけれど、多くの人に読まれるようになる」という物語。でも、多くの人に読まれるようになる小説というのは、結局そうなるべきの名作なのだろう。この世に生み出される手段はどうでもいいのだ。久しぶりのらもさん。やっぱり凄いです。

  • hope さん

    ★★★★★ らもさん、久しぶりだね! あんた、またこんなの書いてたのかい? 詐欺師に写植屋に編集者。そしてジャンキーと酔っぱらい(笑)。相変わらずだから、安心して読めたよ。あー、医師協会のプレゼンのとこは、特にいいね! こっちも商売柄、電算写植とか装丁とか生々しくってね。いやー、笑った、笑った。 ・・・おいらはあんたの小説大好きだ。まだいっぱい、あんたの作品読みたかったよ。

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人物・団体紹介

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中島らも

1952年兵庫県尼崎市生まれ。大阪芸術大学放送学科卒業。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞受賞。著書多数。2004年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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