北の河

高井有一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167174019
ISBN 10 : 4167174014
フォーマット
出版社
発行年月
1985年04月
日本
追加情報
:
214p

ユーザーレビュー

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    作者自身の少年時の体験を後年に回想したものに見えるが、実際はフィクションであり、時代状況は共有するものの、それ以外は仮構されたものである。そうしてみると、高井有一の小説としてのリアリティは、極めて高いということになる。選考委員の川端康成が「抑える作風」と評しているが、その抑制された筆致こそが、この小説の特質だろう。全く唐突に死んでいった母は戦後の状況の中で、しかも東北の地での展望は描きようもなかったのだろう。そして、とうとうそれを了解できない「私」の孤独は深い。その断絶が埋められることは永久にないのだ。

  • 遥かなる想い さん

    第54回(1965年)芥川賞。 戦後の残された人々の風景を、抑えた 筆致で 描いた物語である。 疎開先の東北での母との日々が 怜悧に語られる。地味で 薄暗い物語だが、 息子の母への視点が、哀しく印象に残る、 そんな話だった。

  • マサキ さん

    重い。表題作は母のみならず、私をも徹底的に客観視し、絶望を語らない。それはその時の正直で率直な感情だろうが、時代を経た視点から書く以上、失ってしまったもの、分かったもの、あきらめたもの、など本当は「そうではなかった」ところがあるはずだ。その「そうではなかった」ところが、作品の通底音として表には現れずに、存在感を放っている。重い。

  • かさねパパ さん

    約40年前の本です。身近な死が主題となってますが、死の情景を淡々と描いてます。身近の事でありながら、感情的ではなく他人事のように、周囲の情景や人間を絡ませ書いてますが、逆にそれがこの小説の魅力でもあり、怖さ、難しさなのかなと思います。文章は簡潔で読み易いですが、修飾が古典的な印象、福永さんや辻さんに近いものを感じます。今は直接的な表現が好まれように思いますが、それに慣れるとやや読みにくいかもしれません。ただ、ここで描かれてる青春は、今では死語となってしまった、そんな鬱屈した、でもエネルギッシュな青春です。

  • tenchi さん

    そこに描かれているのは死です。4つの作品のうち3つまでが死を題材にしており、深く静かに沁み入るようなそれぞれの死の様相が綴られています。最も悲愴的で凄惨な表題作の「北の河」では、懸命に生きようとすればするほど、全てに阻まれ拒まれて、母親はついにその中(死)に安らぎさえ求めざるを得なかったのかもしれません。漱石の「こころ」でも感じたことですが、死を強く意識しそれを厳しく克明に描こうとするのは、その裏返しとして「生」に執着し、これを激しく希求しその結果として逆説的に「生」を描こうとしているかのように思えます。

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人物・団体紹介

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高井有一

1932年(昭和7年)4月27日‐2016年(平成28年)10月26日、享年84。東京都出身。本名・田口哲郎。1965年『北の河』で第54回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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