日産vs.ゴーン支配と暗闘の20年 文春新書

井上久男

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784166612055
ISBN 10 : 4166612050
フォーマット
出版社
発行年月
2019年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
254p;18

内容詳細

独裁、ゴマスリ、権力闘争……
強欲と収奪の内幕を克明に描くノンフィクション!

「日産・ルノー提携」の特ダネを1999年にスクープして以来、カルロス・ゴーンを見つめてきたジャーナリストが、その栄光と墜落の軌跡、そして日産社内の権力闘争の実態をあますところなく描いた経済ノンフィクション。
倒産寸前まで追い込まれた日産にルノーから送り込まれたゴーンは、トップ就任からわずか1年半後、過去最高益を叩き出す。
だが、ゴーンには別の顔があった。寵愛する「チルドレン」で配下を固め、意見する者は容赦なく飛ばす。部下に責任を押しつけて更迭し、自分は地位にとどまった。
そして、私物化。ゴーンは私的に購入した金融商品がリーマンショックで18億円もの損失を出した際、一時的にそれを日産に付け替えた。約20億円もの報酬のうちの約半分を退任後に受け取ることにし、有価証券報告書には10億円分しか記載してこなかった。会社のカネで購入した豪華邸宅を私的に利用するなど、公私混同は枚挙に暇がない。
いったいなぜ、ゴーンは道を誤ってしまったのか?
ヒントは「歴史」にある。
日産は創業以来、ほぼ20年周期で大きな内紛を起こしてきた。そのつど、「独裁者」と呼ばれる権力者があらわれ、制御不能のモンスターと化した。その独裁者を排除するために新たな権力者を必要とし、新たな権力者がまたモンスターと化していった。
そうした構図が繰り返される背景には、日産が抱えるガバナンスの問題点、そして独裁者をのさばらせた側にも大きな責任があることが浮かび上がってくる。
企業ドキュメントとしての魅力もさることながら、人物ドラマとしても抜群に面白い。
フィクションをしのぐ驚愕の展開!

【著者紹介】
井上久男 : 経済ジャーナリスト。1964年、福岡県生まれ。九州大学卒業後、大手電機メーカーを経て92年朝日新聞社入社。名古屋、東京、大阪の経済部で自動車、電機産業を担当。99年、「日産・ルノー提携」の特ダネをスクープ。2004年に独立し、フリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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ルノーによる日産の救済から日産とカルロス...

投稿日:2021/04/09 (金)

ルノーによる日産の救済から日産とカルロス・ゴーンの動向を追っていた著者によるカルロス・ゴーンの変質を描いた一冊。あの事件の本質は、西川社長=経済産業省の反ゴーン派に検察が乗っかる構図なだけだと思うが、たかだか1つの企業のお家騒動にここまでの国家権力が加担することとなった原因の一つはカルロス・ゴーンに権限が集中したことにあるのは確か。その観点では、検察や経済産業省の論理も透けてきて面白い。

DJもちお さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • mitei さん

    よく話題になる日産だけど歴史を見ると、中々独裁者が出て、内紛で潰されていく企業風土なのかな?とも思える。たしかに日産て豊田家、本田家など創業者の理念が今も色濃く残っている会社ではないイメージが強いな。本書が出た後にもゴーンは凄いことしてるし、日産、ルノーも相変わらずな関係で今後どうなるのか気にはなる。ただひとつ言いたいのはもう少し車を買って良かったと思える話しエピソードや、車自体の特徴、他社との差別化はしてほしいな。何かずっと車メーカーなのに金の匂いしかしないイメージ。

  • trazom さん

    著者は、トヨタや日産の企業情報に精通するだけでなく、自動車産業の現在と将来を的確に分析し警鐘を鳴らす。流石に鋭く、多くのメディアがゴーン会長の私的流用を面白おかしく論う中で、日産の歴史や風土を踏まえて事件の必然性を分析している。更に、その考察は、この会社の特異性に留まらず、独裁の弊害、自己保身に走る経営者、現場と本社の乖離など、企業が根源的に持つ闇を一般化して浮き彫りにする。フランスの植民地政策は、現地民族に現地民族を支配させ、虎の威を借りた幹部への反発で内乱を誘発させると言う。日産の今後が心配になる。

  • kawa さん

    ゴーン氏の自己あまと公私混同はため息モノだが、レバノン人としての彼の行動原理の分析も試みて欲しかったところ。ところで日産、ゴーン氏の暴走を許した取り巻きや会社の体質も大問題だろう。第2章で触れられているが、日産には創業家とか中興の祖の存在しない。故に、会社としての確固たる理念・思想なし、言わば背骨の無い、その時々の経済情勢のなかでフワフワと漂っている会社のように見受けられる(現下のわが日本国も似ているが?)。そういう体質を変革しないと、世の中まかせの漂流企業を脱せられないではないだろうかと想像してしまう。

  • ころこ さん

    官僚化と高コスト体質、労組との馴れ合いなどから業績の悪化した日産は財務改善が迫られ、ルノーの出資を仰ぎます。ゴーンが送り込まれてきた時期は、折しも同じフランスからサッカー日本代表監督としてトルシエが招聘されたのと重なります。00年シドニー五輪、02年日韓W杯と健闘したかにみえたトルシエ・ジャパンは、その後の報道や選手の暴露で、検討した選手に比してトルシエの指導力を否定的にみる論調が強くなります。トルシエが指導者としてヨーロッパに帰れなかったことが、その証左といえます。「トルシエの指導力の無さに対して、ゴー

  • hatayan さん

    自動車業界に通じたジャーナリストが18年11月のカルロス・ゴーン逮捕の内幕を解説。 日産が業績V字回復を経た後の05年くらいまでは、有能な人材を発掘する組織や意思決定を効率的に進める手法が奏功。しかし、コストカットを中心に短期的な収益を重視するゴーンの経営手法は壁に突き当たり、しわ寄せを受ける現場には不満が鬱積。理不尽な人事などで日産幹部の危機感は頂点に達し、事実上のクーデターへ。 13年時点で「ゴーンの経営手法を健全に否定するリーダーシップが必要」と記していた筆者には先見の明があったのだと思います。

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