ジェレミー・ベイレンソン

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VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学

ジェレミー・ベイレンソン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163908847
ISBN 10 : 4163908846
フォーマット
出版社
発行年月
2018年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
368p;19

内容詳細

◆心理学✕テクノロジー、仮想現実の最前線◆

・VR内での体験を、脳は現実の出来事として扱ってしまう
・VR内で第三の腕を生やしたり、動物の身体に移転≠オても、脳はすぐさまその変化に適応し、新たな身体を使いこなす
・イラク戦争後、バーチャル・イラク≠体験するVR療法により、PTSDに苦しんでいた二〇〇〇人以上の元兵士が回復した
・VRで一人称視点の暴力ゲームをプレイすると、相手が仮想人間だとわかっていても生々しい罪悪感を覚える
・仮想世界で一日過ごすと現実と非現実の違いがわからなくなる
・VRユーザーの身体や視線の細かな動きは、正確にデータ化できる
・そこからその人の精神状態、感情、自己認識がダイレクトに読み取れる

【目次】

■序 章 なぜフェイスブックはVRに賭けたのか?
私は二〇年にわたり、認知心理学の観点からVRを研究してきた。今のVRブームは、二〇一四年にフェイスブックが「オキュラス」を二〇億ドル超で買収したことから始まったが、実はその数週間前、マーク・ザッカーバーグは私の研究室を訪れていた。

■第1章 一流はバーチャル空間で練習する
VR内での経験は、現実の経験と同様の生理学的反応を脳にもたらす。VRは人類の歴史上、最も強い心理的効果を持つメディアなのだ。では、これを学習に応用したらなにが起きるだろうか。NFLのチームで行った実験は、驚愕の結果をもたらした。

■第2章 その没入感は脳を変える
VRでは一人称視点の暴力ゲームを作らない――ゲーム開発者は早々にこの結論にった。ゲームであってもVR内の殺人はあまりに生々しく、罪悪感を残すからだ。VRは脳へ強烈な影響を与える。仮想世界で二五時間過ごした男にもある変化が起きた。

■第3章 人類は初めて新たな身体を手に入れる
特殊な鏡≠使えば、人間の脳はいとも簡単に仮想の身体を自分自身だと思いこむ。
これをVRと組み合わせれば、年齢や人種の異なる人間はもちろん、別の動物の身体に移転することも可能だ。人類史上初めての事態に、我々の脳は対応しきれるのか?

■第4章 消費活動の中心は仮想世界へ
宇宙から海底まで、誰でも簡単に旅ができるVRが普及することで、世界の消費活動は一変する。既に仮想世界で遊ぶための衣服・不動産・船などにあらゆる階層の人々が多額を投じ、巨大な経済圏が生まれている。これを軽視すると未来を見誤るだろう。

■第5章 二〇〇〇人のPTSD患者を救ったVRソフト
同時多発テロ後、多くの人がPTSDに苦しんだ。治療にはトラウマの再現が有効だが、本人の記憶に頼る従来の手法ではあまり効果はなかった。そこである専門医は、テロ当日を緻密に再現したVRを作製。患者を再度、九月一一日のNYに送り出した。

■第6章 医療の現場が注目する痛みからの解放
重度のやけど患者は治療で想像を絶する激痛を味わう。それはどんな鎮痛剤も効かないほどだ。だが治療中の患者にあるVRソフトをプレイさせると、劇的に痛みが和らぎ、脳の活動にも明確な変化が見て取れた。このVR療法の登場に衝撃が走っている。

■第7章 アバターは人間関係をいかに変えるか?
ユーザーの細かな表情や動きを仮想世界のアバターに反映させる技術は急速に進化している。誰もが仮想空間で交流し、通勤や出張が不要になる日も来るはずだ。だがあらゆるアバターは心理学に基づく印象操作を駆使して、表情や行動を偽装するだろう。

■第8章 映画とゲームを融合した新世代のエンタテイメント
ハリウッドではゲーム業界出身者が集まり、VRを用いた全く新たな物語作品を作り始めている。VRは没入感と引き換えに、一本道のストーリーには向かないという弱点がある。解決策として彼らが注目するのは、AIを用いたストーリー磁石≠セ。

■第9章 バーチャル教室で子供は学ぶ
ハーバード大学では、一九世紀の町をインタラクティブに再現したVRを制作。当時の世界にタイムスリップして科学を学ばせる「VR社会見学」を中学生に体験させた。結果、生徒たちの学習意欲は大きく向上。VRは教育の世界も劇的に変えていく。

■第10章 優れたVRコンテンツの三条件
かつては一部の専門家にしか扱えなかったVRも、今では誰でも簡単に入手できるようになった。既存のメディアとは全く異質で、測り知れない力を秘めたこの技術は、人類にとって諸刃の剣だ。その制作者は三つのルールを必ず守らなければならない。

【著者紹介】
ジェレミー・ベイレンソン : スタンフォード大学教授(心理学、コミュニケーション学)。同大学でバーチャル・ヒューマン・インタラクション研究所を設立し、所長を務める。ノースウェスタン大学で認知心理学の博士課程を修了。VR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)研究の第一人者。現在のVRブームの発端となったフェイスブックによる「オキュラス」買収直前には、マーク・ザッカーバーグCEOがベイレンソン教授の研究室を訪れ、教授が制作した最先端のVRを視察していた。心理学者としてキャリアを始め、人々のコミュニケーションについて研究を行う中で、VRが人の心理や行動に大きな影響を与える、従来にないまったく異質なメディアであることに注目。以後、VR心理学の専門家となる。

倉田幸信 : 1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。朝日新聞記者、週刊ダイヤモンド記者、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集者を経て、2008年よりフリーランス翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 徒花 さん

    まあまあ。VR(仮想現実)の第一人者にして心理学などを研究している著者が、「現状のVRではどんなことができるのか?」「VRは人間の認知にどんな影響を与えるのか?」ということをまとめている一冊。かなり進歩したとはいえ、まだ一般化していない技術である以上、結論が出たとはいいにくい。ただ、AIを研究すると「人間とはそもそも何か」に考えが行き着くように、VRを考えると、結果として「人間がどのように人とコミュニケーションをとっているのか」というところに行き着くのは興味深い。

  • ミライ さん

    VRについて、脳科学の視点からその危険性・優位性を語った一冊。ファイスブックが「オキュラス」を買収してVRに賭けた理由、NFLの一流選手はすでにVRを練習に取り入れている現実、VR暴力ゲームの危険性、教育・医療分野でのVRの優位性など、すでに一部ではスタートしているVR産業の未来が語られる。「VRには興味あるけど映画・ゲームだけでしょ」と思っている方は、VRの多様性に気付けるきっかけになると思うので、ぜひ一読してもらいたい。これまで読んだVR系の書籍の中では一番面白かった(しかも読みやすい)。

  • Miyoshi Hirotaka さん

    文字の考案により知識が保存され、本が巻物から冊子になったことで音読から黙読へ移行。さらに目次や索引が付いたことにより、拾い読みが可能になり、批評が生まれ、多様な思想が誕生。写真の誕生は絵画芸術に影響し、印象派やキュビズムを生んだ。これらの技術革新により私たちの脳も変化し、思考や表現も大きく変わった。仮想現実の技術はこれらに匹敵する変化をもたらすことが確実視されている。一方、思想の多様化により社会の分裂が生じたように、仮想現実の技術も負の変化を伴う。いずれにせよ大変革を同時代に生身で味わう段階に来ている。

  • Kentaro さん

    仮想世界に長く居過ぎると感覚器官への負担が過大になる恐れがある。現実とVRの混同は、とりわけ子供に起きる危険である。短時間の集中使用でも起きる可能性がある。よく知られるように、幼い子供はニセモノの記憶を作りやすい。我々のラボでは2008年、幼稚園から小学校低学年までの子供を対象とした実験を行い、仮想世界と現実世界での経験をどの程度きちんと分けて認識できるかを調べた。例えばクジラと一緒に泳ぐVRを経験させた子供の多くは、自分が実際にシーワールドに遊びに行ってシャチを見たのだというニセモノの記憶を作っていた。

  • shikada さん

    VRが今後、医療や教育、コミュニケーションのあり方を大きくアップデートしていく展望を解説する。アメフト選手がVRを用いたシミュレーションで成長したり、怪我した手足のリハビリにVRが役立ったりと、VRの効用はエンタメだけでないことが分かって面白かった。フェイスブックが、VRの将来性を買ってOculasを買収したエピソードが載っていて先見の明を感じた。

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ジェレミー・ベイレンソン

スタンフォード大学教授(心理学、コミュニケーション学)。同大学でバーチャル・ヒューマン・インタラクション研究所を設立し、所長を務める。ノースウェスタン大学で認知心理学の博士課程を修了。VR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)研究の第一人者。現在のVRブームの発端となったフェイスブックによる「オキュラ

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