水に立つ人

香月夕花

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163905280
ISBN 10 : 4163905286
フォーマット
出版社
発行年月
2016年09月
日本
追加情報
:
250p;20

内容詳細

生い立ちに問題を抱え周囲に心を開けない女性小学校教諭と、無自覚なままに人が見抜かれたくないことを言葉で射抜いてしまうカメラマンの青年・葛城。人と交わることが苦手な二人は傷つきながらも惹かれ合うが、葛城は山に撮影に出たきり姿を消してしまい…(「水に立つ人」)。選考委員全員が○を付けた、第93回オール讀物新人賞受賞作を含む鮮烈なデビュー作。

【著者紹介】
香月夕花 : 1973年生まれ。大阪府出身。京都大学工学部卒。2013年「水に立つ人」で第九十三回オール讀物新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • いつでも母さん さん

    私が無くしたのはなんだったのだろう。ほとばしる激情も持て余す感情もささくれだった心は、日々の暮らしの中で諦観に達することもなくただ時間に追われて目先の雑事の波に呑まれ来たようだーこの短編5話から置き去りにしてきた感性を垣間見た気がした。『水』をテーマにしたのは流れ行き戻り来るのか、はたまたそこに漂う形なきものを詠うのかー優しさと哀しみと痛みと・・タイトル作も良いが『岸辺で私は歌を待つ』『水風船の壊れる朝に』が好きだ。2016年の発行だが、もっと多くの人に読んでもらいたい。静かに深く沁み込む読後感。

  • ❁かな❁ さん

    心の奥底に悲しみ、喪失感を抱え誰にも言えずにいる。誰かに気づいてほしい、救ってほしい、そんな思いに苦しくなる。オール讀物新人賞受賞作の表題作を含む5編の短編集。表題作と「やわらかな足で人魚は」で特に涙。どの章も水がモチーフ。どこからともなく水の匂いが漂ってくる。静かで繊細で脆い感じ。癒されたい心の渇きに浸透していくよう。傷つき、大切な人を失った人達が再生に向かう瞬間を描かれている。文章が温かく穏やかで優しい。各章切ないけどほのかな光が見えるような終わり方で素敵。静かな感動を誘うデビュー作。次作にも期待。

  • nico🐬波待ち中 さん

    大切なものを失くした女性達の、再生までの過程を静かに語った5つの短編集。物語の中にひっそりと漂う寂しさや危うさに心が押し潰されそうになる。特に『やわらかな足で人魚は』と『彼女の海に沈む』は荒れ狂う波にのまれるように、いつまでも気持ちが落ち着かない。世間の波に溺れそうになり必死でもがく彼女達は、やがて自分の足で確実に立つことを悟る。ラストは僅かながらも希望が持てるもので、そこでようやく救われた。幼い頃に絵本で読んだ『人魚姫』のことは正直あまり好きではなかったけれど、「人魚姫」の最後の決意に初めて共感できた。

  • naoっぴ さん

    悲しくて苦しくて世の中がモノクロにしか見えなかった毎日が、あるきっかけで鮮やかなカラーになるとき。閉じていた心の扉が次々と開くとき。道端に咲いていた花に初めて気づくとき。そんな奇跡のような瞬間が自分にもあったと思い出し共感しながら読んだ。傷ついた心のどん底の心境やそこに宿る攻撃性の描写には容赦がなく、読んでいて胸が抉られるよう。そして後に差す希望の光。これがデビュー作とは。中でも「やわらかな足で人魚は」と「水に立つ人」が好きだった。

  • ちゃちゃ さん

    ひとつひとつの物語から、祈りの声が聞こえてくるようだ。鋭いナイフを思わせる作者の感性は、水というモチーフのもと、実に柔らかく繊細に心の機微を描きあげる。愛情に飢え、渇いた心が求める水。『やわらかな足で人魚は』で語られる人魚姫の切実な願い。人間に愛されて永遠の魂を手に入れたい。自分も当たり前に愛される人になりたい。悲痛な叫びは受け手を得て、いつしか傷ついた心に沁み込む水となり、確かな希望として生を潤してゆく。冒頭の情景描写も、それぞれの物語の気配を感じさせて秀逸。愛情への渇望。その重さが心に響く佳作だ。

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人物・団体紹介

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香月夕花

1973年、大阪府生まれ。東京都在住。京都大学工学部卒業。2013年「水に立つ人」で第93回オール讀物新人賞を受賞。2016年「Anchor Me」が第23回松本清張賞の最終候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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