宇喜多の捨て嫁

木下昌輝

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163901503
ISBN 10 : 4163901507
フォーマット
出版社
発行年月
2014年10月
日本
追加情報
:
349p;20

内容詳細

第92回オール讀物新人賞受賞作品、待望の単行本化!

時代小説では宇江佐真理、山本一力、近年では直木賞作家の桜木紫乃、人気急上昇中の坂井希久子、柚木麻子といった作家を見出してきたオール讀物新人賞。2年前、表題作「宇喜多の捨て嫁」で見事にこの新人賞を射止めたのが本書の著者・木下昌輝だ。
権謀術数によって勢力拡大を図った戦国大名・宇喜多直家によって、捨て駒として後藤勝基に嫁がされた四女・於葉のこの物語を、篠田節子選考委員は「女性視点から決して感傷的にはならず、最後まで緊張感が緩まず、リーダビリティは高いが通俗的ではない/時代小説の様式に則りながらも、随所に独特の表現が光る」、同じく森絵都選考委員は「海千山千が跋扈する殺伐とした世を背景に、一筋縄ではいかない人物たちが迫力たっぷりに絡み合う、緊張感のあるそのストーリー展開には貫禄をも感じた」と高く評した。
本書ではほかに五編の短編を収録。いずれも戦国時代の備前・備中を舞台に、昨日の敵は味方であり明日の敵、親兄弟でさえ信じられないという過酷な状況でのし上がった、乱世の梟雄・宇喜多直家をとりまく物語を、視点とスタイルに工夫をこらしながら描く。直家の幼少時の苦難と、彼でしか持ちえない不幸な才能ゆえの大罪(「無想の抜刀術」)、若く才能あふれる城主として美しい妻を迎え子宝にも恵まれた直家に持ちかけられた試練(「貝あわせ」)、直家の主・浦上宗景の陰謀深慮と直家の対決の行方(「ぐひんの鼻」)、直家の三女の小梅との婚姻が決まった宋景の長男の浦上松之丞の捨て身の一撃(「松之丞の一太刀」)、芸の道に溺れるあまり母親をも見捨てて直家の家臣となった男(「五逆の鼓」)と、いずれも直家のほの暗い輪郭を照らしながら、様々な情念を浮かび上がらせていく――時代作家としてはもちろん、ピカレスクの書き手としても十分才能を感じさせる意欲作である。

【著者紹介】
木下昌輝 : 1974年生まれ、奈良県出身。近畿大学理工学部建築学科卒業。ハウスメーカーに約5年勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動。2012年、「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞。2014年、『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    第2回高校生直木賞受賞。 宇喜多秀家の父、直家を 描く短編集である。 各編から立ち込める梟雄の 血塗られた話の糸が 見事に繋がり、 「直家」という人物を 浮かび上がらせている。 だが、今の高校生の感性は、裏切りと謀が渦巻くこの物語の何に 共感したのだろうか… 女性が喋略の手段でしか なかった戦国時代… 囲碁の「捨て石」と 同様に、領土拡大のための 繰り返された「捨て嫁」… ある意味、この時代の断面 を見事に描ききった物語だった。

  • yoshida さん

    備前の梟雄、宇喜多直家の生涯を描く連作短編集。宇喜多直家は毛利元就や斎藤道三と並ぶ智略の持ち主であるが、仕物が多く「梟雄」のイメージが強かった。しかし、本作を読んで宇喜多直家が仕物を行ったのは、主家である浦上宗景の奸計により、生き残りの為に行っていたこと、力攻めよりも犠牲者を減らすためであることが読み取れる。祖父の宇喜多能家があらぬ罪で誅された事により始まった宇喜多家の苦難。直家を想う母の心に涙する。直家の死期が近付く頃に、後の秀家が生まれる。福と秀家を主人公とした続編も書いて欲しい。読ませる力作です。

  • のり さん

    濃密て濃厚な至極の時を味わい良かった。悪人のイメージしかなかった宇喜田直家。しかし、その人生は壮絶だった。名家に生まれたが、一時は地獄を味わい辛酸を舐め、再興するまでには試練続きだった。力がなければ滅ぼされ、力を持ちすぎれば主家からも疎まれる。策略ばかりの負のイメージだったが、戦働きも一級品。人一倍先見の明も併せ持つ。織田と毛利に挟まれながら、生き残りをかける。奇病に冒されなければ、直家の業はもっと高まったはずだ。

  • ケンイチミズバ さん

    「かえりちゅう」旦那さんにお帰りなさいのチューではない。返り忠、戦の最中に寝返り裏切り行為をすること。それにより勝者となり城を得て勢力が拡大したところで、どの面下げてか、主家に再度忠義を尽くすので配下に加えてくださいと、金輪際寝返りませんからと誓い許されること。が、主家もバカではないので、人質をとる。娘、姫君たちを次々に差し出し同盟を結ぶも、相手が安心したところで裏切る。直家は呪われてあたりまえ?父親と闘わねばならない娘の気持ちは正直わからない。戦を繰り返した時代にはよくあったことらしい。なんて時代だっ!

  • 文庫フリーク@灯れ松明の火 さん

    【戦えば必ず勝つ 此れ兵法の第一義なり 人としての情けを断ちて 神に逢うては神を斬り 仏に逢うては仏を斬り 行く手を阻む者 悪鬼羅刹の化身なりとも 遅れを取る可けんや】戦国時代・下剋上の激しい中国地方で、手段選ばぬ謀略・暗殺に「表裏第一の邪将・悪逆無道の悪将」の異名とった宇喜多直家。戦国の世に、「人」であること捨てざるを得なかった修羅一人。オール讀物新人賞の表題作と「夢想の抜刀術」に書下ろし4編加えた連作短編集。最後の一行読み終わり、最初の一行に戻れば別の顔が待つ。構成の巧さと、読者に心情推察させる描写に

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木下昌輝

1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。2012年に「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞、14年『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー。同作は第152回直木賞候補となり、第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞、第9回舟橋聖一文学賞、第2回高校生直木賞を受賞した(本データはこの書籍が

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