アリスのレストラン

『俺たちに明日はない』の巨匠アーサー・ペンが悩めるアメリカを再び描く！
フォーク歌手アーロ・ガスリーのヒット曲をベースにした傑作青春ドラマ！

MGM1969年度作品 ／ 　


キャスト＆スタッフ
アーロ・ガスリー…アーロ・ガスリー
アリス・ブロック…パット・クイン
レイ…ジェームズ・ブロデリック
シェリー…マイケル・マックラネイサン
ロジャー・クローザー…ジェフ・アウトロー
マリー…ティナ・チェン

監督・脚本：アーサー・ペン
製作：ヒラード・エルキンズ／ジョセフ・マンデューク
原作・音楽：アーロ・ガスリー
脚本：ベナブル・ハーンドン

●字幕翻訳：柴田香代子


ストーリー
1969年、しょぼくれた帽子に傷だらけのギターがトレードマークの青年のアーロは、徴兵逃れのため大学に入学するが、度々揉め事を起こしヒッピー呼ばわりされて、警察に逮捕されたりする始末。大学をやめたアーロは難病の父親を見舞ったあと、感謝祭を友人のアリスの所で過ごすことにする。彼女と夫のレイは手に入れた教会でレストランを始めるが、そこはアーロと同じような若者たちが集う店だった。その後、アーロにはマリーという恋人ができるが、徴兵検査の通達が届く。そんな彼は再び父親のもとをたずね、そこで人生の答えについて悟るのだった……。


ポイント
アメリカン・ニューシネマの先駆けとなった『俺たちに明日はない』で、スタジオ・システム崩壊後の闇に埋もれたアメリカ映画界に光を差し込んだ巨匠アーサー・ペンが続けて挑んだ傑作群像劇。アメリカン・フォークの父ウディ・ガスリーを父に持つアーロ・ガスリーが同名ヒット曲をもとに自ら主演。ベトナム戦争の最中で、大学をドロップアウトしヒッピーを続けて放浪する主人公とアーロ自身の生き様を通して社会の世相を反映し、悩めるアメリカを鋭い視点で描きだした、ほろ苦い青春と彷徨のドラマ。
●監督は『俺たちに明日はない』でアメリカン・ニューシネマの父と称されたアーサー・ペン。再びそのスタイルに挑んだ本作ではアカデミー賞監督賞にノミネートされており、その他の代表作は、同じく監督賞にノミネートされた『奇跡の人』（62）、ダスティン・ホフマン主演の問題作『小さな巨人』（70）、マーロン・ブランドとジャック・ニコルソン競演のウエスタン『ミズーリ・ブレイク』（76）、『冬の嵐』（87）などがある。
●主演のアーロ・ガスリーはアメリカン・フォーク界の巨匠ウディ・ガスリーの息子。シンガーソングライターとして活動し、1967年に初のレコード「Alice's Restaurant」をリリース。本作はその中のヒット曲「Alice's Restaurant Massacre」を原案としており、ウディ・ガスリーの闘病生活や、彼を見舞う息子アーロの姿といった親子関係も物語では描かれている。97年にはアーロのデビュー30周年を記念してCDアルバム「アリスのレストラン’97」が発売された。
●レイを演じるジェームズ・ブロデリックは『サブウェイ・パニック』（74）『狼たちの午後』（75）などにも出演しているブロードウェイ俳優。息子はマシュー・ブロデリック。
●アーロ・ガスリーをはじめとした、素人のような俳優達の荒々しい演技が、かえって当時の若者達の無力な空気感をリアルに漂わせており、同時代を扱った作品のなかでもひときわ色あせない輝きを放っている。


アメリカのフォーク・シンガー、アーロ・ガスリーが自分自身に扮したヒューマン・ドラマ。ヒッピーとして暮らすアーロンのもとに、徴兵検査の通知が届く。彼はそれを逃れようとするが……。(CDジャーナル　データベースより)