Milky Way市川秀男の世界3

市川秀男(p,compo.)加藤真一(b)二本柳守(ds);市川秀男は、日本のジャズシーンにおける戦後第二世代のミュージシャンとして、21歳のとき『ナウズ・ザ・タイム』でレコーディング・デビュー。以来、第一線で演奏を続けてきた。市川の20代はまさにフリージャズの風が吹き荒れた時代。常にハイセンスな演奏を展開しながらも、ステージで見せる情念を爆発させる激しさで感動を与えてきた。
その市川が、作編曲を全て手掛けた『市川秀男の世界』シリーズを発足。一枚目は『市川秀男の世界〜Pathelion』二枚目は『市川秀男の世界〜あ、雨が、、、』と全てがオリジナル曲で表現される市川の世界だった。
本作でも2曲目の中間部で見せるフリーフォームな瞬間は、かつて、若い時代の市川を鼓舞した“精神のフリーなジャズ”を感じさせる。その茫洋と広がる大きな海のような響きは、果てしなきアフリカの大地のぬくもりを伝えるダラー・ブランドに通低する。
一変して現れるのは、モダニスト市川の面目躍如のフレーズだ。歌うように口ずさむように流れ出る甘い旋律は、聴く者をこの上もなくロマンティックにしてくれる。
市川の魅力はいうまでもなく、この振幅の幅の広さなのだ。アルバムタイトル曲“ミルキー・ウェイ”でさらにロマンティックな世界は広がりピアノをこの上ないほど響かせてくれる。歌詞をつけて歌いたくなる曲だ。
いまや有数のベースの名手となった加藤真一(b)、そして、以前、市川のバンドにいたときに『妖星伝』を残している二本柳守のスインギーで繊細なドラムを迎え、市川のロマンティックなサラに高まっていく。
全編を通じて市川秀男の世界がまさに表現されていく！