Use Me

60年代から活動を続け、燻し銀の魅力を放つ通好みのSSWギタリスト、デヴィッド・ブロムバーグ。本作はレヴォン・ヘルムやジョン・ハイアットなど豪華なゲストを迎えて 全米各地で録音された最新作。アメリカン・ルーツ音楽に根ざしたギタープレイと、渋い歌声に現役ミュージシャンとしての生き様を垣間みれる1枚。

デヴィッド・ブロムバーグの約4年振りとなる新作の登場である。アコースティック・ギターの弾き語りによる前作『Try Me One More Time』は2007年に発売され、そのジャケットは1971年に発売された1stソロ・アルバム『David Bromberg』を彷彿とさせるような白地にイラストというシンプルなデザインが嬉しい1枚であった。本作『Use Me』のジャケットは、それとは打って変わって渋いデザイン。見るからに良いサウンドを出しそうな愛用のテレキャスターを斜めに抱えたデヴィッドが眼鏡を掛け、髭を蓄えてにこやかに写真に収まっている。その姿に以前の面影はほぼないけれど、むしろそこに現在進行中である現役ミュージシャンとしての活き活きとした力強さを感じるのは筆者だけではないと思う。本作は、ブッチャー・ブラザーズ(ボブ・ディラン、ジョン・レノン etc.)をプロデューサーに迎えたビル・ウィザースのソウル・クラシック「Use Me」をタイトルに冠し、豪華なゲストを迎えて制作された。ザ・バンドのレヴォン・ヘルムに、ジョン・ハイアット、ティム・オブライエン、ドクター・ジョン、ケブ・モ、ロス・ロボス、ワイドスプレッド・パニック、リンダ・ロンシュタット、ヴィンス・ギルといったミュージシャン達が顔を揃える。「Tongue」はウッドストックにあるレヴォン・ヘルムのスタジオで録音された。近年のレヴォン・ヘルムにとって大切な存在であるラリー・キャンベルも参加している。シャッフル・ブルースのビートにのってギターソロも披露しており、ブロムバーグの力強いヴォーカルとシャウトも聴ける。
「Ride On Out a Ways」はジョン・ハイアットをフィーチャーし、ナッシュヴィルで録音された。間奏のギターはブロムバーグによるもの。愛用のテレキャスターから生み出される素晴らしい音色のギターはずっと聴いていたくなるほどに優しい。ロス・ロボスをフィーチャーしカリフォルニアで録音された「The Long Goodbye」はブロムバーグの弾くドブロが素晴らしい。ヴィンス・ギルとの「Lookout Mountain Girl 」はガイ・クラークとヴィンスが書いた曲でもう文句なしに楽しい1曲。一時は楽器(ヴァイオリン)製作の為に音楽シーンから退いていたブロムバーグであるが、2011年にこう言った素晴らしい作品を発表してくれて本当に嬉しく思う。是非、心行くまで楽しいでもらいたい。
(メーカー資料より)