nano.RIPEらしさと、進化が見られる一枚。
アルバムの始まりを告げる「うつくしい世界」で圧倒的な疾走感と世界観で聴き手をアルバムの中に誘い込み、「ぼくなりのおとぎ話」、「絵空事」、「アドバルーン」、「アンサーソング」と、nano.RIPEらしい曲たちがお出迎え。
続く「ナンバーゼロ」は、今までとは少しばかり雰囲気が変わる。
葛藤を描くきみコさんの独特の詩の世界もさることながら、音の作り方や曲展開など、どれを取っても格好よく、nano.RIPEがロックバンドであることも示してくれるような曲。
まさにアルバムの核とも言える一曲で、この曲がここにあることで、アルバムがギュっと締まる。
その後、「よすが」、「ゆきのせい」、「ページの中で」では少し落ち着きが並び、曲の持つ雰囲気に酔いしれさせてくれたかと思えば、まだ終わらせないとばかりに「リアルワールド」を繰り出す。
はじっけっぷりそのままに、「サクゴエ」で勢いを保ちつつ、「かえりみち」、「グッバイ」、「架空線」で余韻を残しながらアルバムは終わる。
その余韻に浸っていたら、また始めから聴きたくなるから不思議だ。
前アルバム「星の夜の脈の音の」のときもそうだったが、nano.RIPEのアルバムにはそういう魅力がある。
ただ確実に言える事は、進化をし続けていること。
「ナンバーゼロ」や「リアルワールド」など、今までの彼らからは想像できない楽曲が生まれたことで、彼らの音楽性は広がりつつある。
その進化の過程を感じるためにも、このアルバムは是非聴いてもらいたい一枚だ。