ルイス・ブニュエル DVD-BOX5

『のんき大将』
妻の死から酒浸りとなった百万長者がいた。彼の仕事の不調を心配する家族は、彼が娘の婚約パーティで泥酔して卒倒したのをきっかけに、現在の暮らしを変えさせる迷案を思いつく。彼が目覚めると、みなボロを着ていて、自分自身も汚い格好をしている。彼の昏睡の間に、会社は倒産、屋敷も没収、我々は一文なしだ、といわれる。責任を感じた彼は身投げしようとするが、近所の宣伝屋の青年に救われ、彼から今日の日付を聞くとなんとパーティの翌日。今度は彼が代理人の口から家族に、芝居が現実となり会社は倒産したと嘘を伝えさせる。彼の財産に依存していた兄と義姉は渋々働き始め、家族は貧乏の中、仕事に打ち込む。彼も陰で経営立て直しに専念し、宣伝屋の青年と娘の淡い恋を快く思うが、そこへ本来の婚約者が現われて…

『乱暴者』
肉屋で働くペドロは、逞しい体躯に腕っぷしが自慢で、地主カブレラの用心棒もしていた。ある日、団交に出ようとした小作人たちを疎ましく思ったカブレラは、その代表格の男を、ペドロに命じて殺させる。自らも傷ついたペドロは、復讐にいきまく小作人らの包囲網をかいくぐり、代表の娘メチェを人質にして逃げた。彼を父の仇とは知らないメチェが農民たちの窮状を訴えると、ペドロは何も考えず、強権的な搾取側についていたことを後悔し、改心するのだった。カブレラの妻パロマはペドロに目をかけて来たが、メチェとの仲睦まじい様子に腹を立て、彼女に、父を殺したのは実はペドロであることを告げてしまう…

『エル』
敬虔なカトリック信者で品行方正、四十過ぎても未だ童貞というフランシスコ（デ・コルドヴァ）は教会で会った美しい脚の持ち主グロリアにひと目惚れし、婚約者のいるのも構わず彼女と結婚した。しかし、彼は異常な嫉妬心の持ち主で、彼女に少しでも関わる全ての男を疑いの目で見、寝ている彼女をロープや鋏で脅かすばかりでなく、ついには塔からつき落とそうとするのだが･･･

スペイン出身のシュールレアリスト、ルイス・ブニュエルの傑作選第5弾。妻を亡くした富豪が立ち直るさまを描く『のんき大将』、マッチョな男の悲恋物語『乱暴者』、自己中男の狂気談『エル』の3作を収録。(CDジャーナル　データベースより)