基本情報
内容詳細
フランス領西インド諸島ではキリスト教化されたはずだったが黒人奴隷の子孫は、幽霊や怪談を信じている。クレオールの言葉を習い、それに気づいたハーンは、日本でも仏教以前や文明開化以前の、大和島根に固有の神々は生きているはずだと予想して来日し、出雲でも怪談に耳をすまし日本人の霊の世界に入りこもうとした。そのハーンが描く明治日本ははたして真実か。それとも美化された幻影か。問題は、それをイリュージョンとして斥けたい、強い衝動に駆られる知識層が、日本には今もいるということではあるまいか。和辻哲郎文化賞受賞。
目次 : 小泉八雲と神々の世界(小泉八雲と神々の世界/ 小泉八雲と母性への回帰/ 日本の女とアメリカの女 ほか)/ ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化(植民地化・キリスト教化・文明開化/ 語り続ける母/ 比較の有効性について―方法論的反省)/ 附録 ユーマ
【著者紹介】
平川祐弘 : 1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鴎外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文学賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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