月兎耳の家

稲葉真弓

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309024967
ISBN 10 : 4309024963
フォーマット
出版社
発行年月
2016年08月
日本
追加情報
:
155p;20

内容詳細

私、人生をやり直したいと思ったことは一度もない―最期まで作家としての生を全うした著者の息遣いが聞こえる遺作!

【著者紹介】
稲葉真弓 : 1950年、愛知県生まれ。73年「蒼い影の傷みを」で女流新人賞、80年「ホテル・ザンビア」で作品賞、92年『エンドレス・ワルツ』で女流文学賞、95年『声の娼婦』で平林たい子文学賞、2008年「海松」で川端康成文学賞、10年に同作ほかで芸術選奨文部科学大臣賞、11年『半島へ』で谷崎潤一郎賞、中日文化賞、12年に同作で親鸞賞を受賞。14年に紫綬褒章を受章する。2014年8月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • hirune さん

    図書館で装丁に惹かれて借りてきました。知らない作家さんですが、遺稿集なんですね。静かな文章に中に隠した激情や一人抱える虚しさや葛藤が仄見える三編の物語でした。子を亡くして精神に変調をきたした母が月兎耳に子の名前を呟くとき、死んでしまった道ならぬ想い人があの世との狭間の橋から一度だけでも自分に姿を見せてくれないかと待つとき、切なくて哀しいけれどとても美しい描写だとも感じました。

  • サンタマリア さん

    短編集。面白かった。『東京・アンモナイト』が一番良かった。小説を読むことの醍醐味が詰まっていると思う。魅力的なストーリーはもちろんのこと、端正で読んでいて気持ちの良い文体。情景描写からは静かな呼吸を感じることができた。また、周囲の環境を用いて、登場人物の人間性やその変化を書き切っている。しっかりと伝わってくるものがあった。『僕は夜の街を走っていた。(中略)僕は自分がこれまでさまよっていた狭い小さな円周のなかから抜け出すために走っているのだった。』

  • 松本直哉 さん

    三つの中編それぞれが死の気配を、しかし決して不吉なものではなく、何か親しいもの、慰めるものとして、漂わせる。夭折の子の形見に庭に植物を植える元女優も。橋の向こうから訪れる死者に茶を淹れてもてなす女性も。死に瀕したクル病の猫を光のあふれる島に連れ出す男女も。取り壊しの決まった古い家は、かすかに足音の聞こえてくる橋は、大都会の真ん中を流れる暗い水路は、死者の住む異界への入り口だろうか。その異界は、もしかしたら猫の行き先のように光に満ちたどこかなのかもしれない。美しい表紙と端正な文体。

  • くさてる さん

    三篇の小説が収録されている。施設入所を前にした叔母の家の片づけに来た50代の女性が知ることとなった、若いころの叔母と友人の関係、定年退職後に叔父に頼まれてある家に暮らすことになった女性、なにもやりたいことが見つけられない若い男、それぞれの話。どれも普通の話とはいいがたい、どこかずれのある不思議な話。なかでも幻想的な「風切橋奇譚」が雰囲気あってよかったです。

  • きさらぎ さん

    「人生をやり直したいと思ったことは一度もない」という著者の遺作で『月兎耳の家』『風切橋奇譚』はすごく日本的な話だ。秘密を抱えたまま終の棲家へ移り住んだり、着物を哀しい着物、うれしい着物、さみしい着物と思い出別に分けてみたり、特別な家の特別な守り神になってみたり、自分の気持ちを誰にも言えずにいたり。能でいう控えの間のような空間、そんな場所を守れる特別な人は自然と調和し世間からズレていたとしてもとても魅力的だ。それに比べ『東京・アンモナイト』は心理的。黙って心地良いところに潜り込んでいた自分自身からの解放。

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稲葉真弓

1950年、愛知県生まれ。73年「蒼い影の傷みを」で女流新人賞、80年「ホテル・ザンビア」で作品賞、92年『エンドレス・ワルツ』で女流文学賞、95年『声の娼婦』で平林たい子文学賞、2008年「海松」で川端康成文学賞、10年に同作ほかで芸術選奨文部科学大臣賞、11年『半島へ』で谷崎潤一郎賞、中日文化賞

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