螢川/泥の河 新潮文庫 改版

宮本輝

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101307091
ISBN 10 : 4101307091
フォーマット
出版社
発行年月
2005年11月
日本
追加情報
:
16cm,199p

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    『蛍川』は1978年下半期の芥川賞受賞作、併録の『泥の河』は著者のデビュー作で太宰賞を受賞。いずれもラストシーンが鮮やかで心に沁みる。この人の小説作法はエンディングが先にあって、そこから逆に遡って物語を構成していくのだろうか。『蛍川』のそれは、ことさらに美しく、幻想的である。しかも、それが蛍の乱舞であるだけに、儚さを伴い、そこに独特の抒情を喚起する。自分が体験した訳ではないが、物語の持つ強い郷愁と哀愁に包まれるのだ。実験的なところはなく、地味でさえあるのだが、作者の思い入れの強さはひしひしと伝わってくる。

  • ろくせい@やまもとかねよし さん

    昭和30年を舞台とした「泥の河」「螢川」を収録。「泥の河」では大阪安治川の男子少年が主人公。生を受けた人間は公平に死を迎える。しかし実際は貧困からの事故や不条理な戦死と不平等。同じように生の質も慣習や経済で不条理に不平等。戦後高度成長で激変する生活の質から「生」の本質を考察。「螢川」では、富山いたち川の男子青年が主人公。人間社会の理不尽な慣習や格差ある自由経済だけでなく、自然も人間には極めて不条理。しかし、不条理な自然は時に人智が及ばない奇跡を分け隔てなくすべての人間に与える。自然の中の「生」を考察。

  • 遥かなる想い さん

    読んだ時にまるで太宰治の本を読んだような暗い雰囲気に酔っていた。あれから、ずいぶんの歳月が流れて、宮本輝が書く世界も変わってしまった。『泥の河』の中で…廓舟の 扉をかたくしめたまま、去っていくシーンが 姉弟の哀しい心情を強く表わしているようで、読んでいて胸が痛んだのを よく覚えている。宮本輝の 初期の頃の作品には、みずみずしさと 人間の、どうにも説明できない「業」のようなものが物語の中に、ほどよく感じられて、今でも懐かしい。

  • zero1 さん

    「螢川」は輝の小説で最も優れていると私は思う(「錦繍」が続く)。短い中に過不足なく描写しているところは流石! 情景が目に浮かぶ小説というのは、とても貴重。鬱々とした場面が多いが、それらが解き放たれる瞬間の輝きは見事。 輝は芥川賞選考委員としても短さという点にこだわっている。ある意味、「螢川」は純文学の完成形と言える。 父親が倒れる場面など、自伝的小説「流転の海」シリーズと重なる。「泥の河」については、映画の印象がすごく強い。 鯉の描写、蟹の狂気と米の暖かさを表現できる作家がどれだけいる?

  • yoshida さん

    初めて読む宮本輝さんの作品。短編2編収録。どちらの作品にも共通する、人生の危うさと切なさ。まず「泥の河」。昭和30年の大阪が舞台。戦争の傷痕が残る街で皆が暮らすことに手一杯の時代。うどん屋の少年信雄は、廓舟の姉弟と仲良くなる。職業への蔑視と反感、廓舟の漂泊の悲しさ、少年の戸惑いが巧みに描かれる。生活の苦しさの中での姉弟への優しさが淡い余韻を残す。「螢川」での少年の初恋と生計への絶望。少年に差し伸べられる救いの可能性が淡く輝く。何より最期の螢の大群の光景が圧倒的に美しい。人生の喜びと悲しみを巧みに描く名作。

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人物・団体紹介

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宮本輝

1947年3月6日兵庫県生まれ。77年『泥の河』で第13回太宰治賞を受賞しデビュー。78年『螢川』で第78回芥川龍之介賞、87年『優駿』で第21回吉川英治文学賞を受賞。2004年『約束の冬』で第54回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門を、09年『骸骨ビルの庭』で第13回司馬遼太郎賞を受賞。また同年、紫綬

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