夏の葬列 集英社文庫

山川方夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087520149
ISBN 10 : 4087520145
フォーマット
出版社
発行年月
1991年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
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追加情報
:
16cm,254p

ユーザーレビュー

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山川方夫の有名な短・中編が9編収められて...

投稿日:2021/03/21 (日)

山川方夫の有名な短・中編が9編収められています。 山川方夫は割と好きで、同じく集英社文庫の『安南の王子』、講談社文芸文庫の『愛のごとく』、そして近年「没後50年記念出版」と銘打たれて創元推理文庫から出た『親しい友人たち』というミステリ傑作選も買いましたが、本書に収められている作品が最も出来の良いものと言えます。 山川方夫を一冊だけまず読んでみるなら間違いなく本書がベストでしょう。 本書は解説も充実しているのがまた良いですね。 山川方夫は、作品も面白いのですが、それと同じくらい、人生が興味深いです。 どこがかと言うと、もう絵に描いたような「ザ・日本の(明治以降近代の)作家」と評したくなるような人生なんですよ。 姉と妹が二人ずついる五人きょうだいの中のただ一人の男の子であり長男。日本画家の山川秀峰のお坊ちゃんとして育っていたが、十四歳の時に父を亡くし、一家を背負って立たねばならなくなる。太平洋戦争。終戦。体が弱い。のしかかる「家」と家族の重圧。 日本の作家にありがちなキーワード満載の人生なんですよ。ここまで揃うかなって突っ込みたくなります。 そんな暗さを抱えた山川はしかし結婚して、人生に光が差し、作風も変わったりするのかと思われたときに突然の交通事故で亡くなりました。 ものすごく惜しいのですがそんな幕切れも山川らしいなと思わせられます。 口絵の写真、巻末の年譜や解説も、合わせて是非読んでみてください。

苺 さん | 不明 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ehirano1 さん

    表題作について。これはキツイ、かなりキツイ。どうかしたらトラウマになってしまうかもしれない。しかし、作品としてはホントに素晴らしいと思いました。究極のシチュエーションってのは何でもないちょっとしたことから起こるんだと改めて思うと同時に、そういう時に限って狙ったかのように勇気と人間性が惨いまでに試される。そういったことを考え認識させられる良い読書でした。

  • やっさん さん

    ★★★ ショートショート及び短篇を収録。比較的無機質な印象を受ける星新一さんに対し、山川さんの作品はそれに叙情をたっぷり加えたような世界観だ。巻末に山川さんの生涯が紹介されていたが、唐突な最期に閉口した。

  • モルク さん

    ショートショートと中編の9作品。表題作「夏の葬列」は大戦末期の疎開先で少年だった主人公を助けようとして銃撃された少女をそのままにしてきた主人公の後悔。大人になり再びかの地へ訪れ葬列に出会う。遺影はあの少女か?ではあの時少女は…短い話ながら少年がとらわれていた過去、そして安堵からの…。戦争の残した心の傷をえぐる。「待っている女」では煙草の「憩」が出てくる。私が子どもの頃の父の愛煙していた銘柄だったと父のことを思い出した。「煙突」はここに書ききれないほど心を揺さぶる。不滅の傑作だと思う。

  • YM さん

    作者のことは知らなかったし、タイトルや装丁に惹かれた訳でもない。なぜこの本を読もうとしたんだろう。でも、今は忘れられない作品になった。どの短編もノスタルジックに日常を描いているけれど、とても暗い。ふっとした瞬間に、さらに暗さを増す。絶望する。しかし、また日常に戻っていく。強さやたくましさはない。それでも人生を悲観しながら何とか受け入れようともがいている気がした。僕はそこに異常に共感したのだと思う。

  • 扉のこちら側 さん

    2017年15冊め。これは今まで読まなかったのが悔やまれる良い本だった。表題作は十数年ぶりに訪れた海辺の町で亡くなった少女を思い出す「元少年」。終戦前日、艦載機による機銃掃射から少年を守ろうとした少女を、白いワンピースが敵機から目立つため少年は突き飛ばして死なせてしまったこと男は悔いるのだが、物語には救いはない。そして「煙突」「海岸公演」の中編も、鬱々としたプロットの中に、はっとさせられる情景や言葉が浮かんできた。傷ついた人がささやかな幸せを手にしたり、恢復したりする話が好きな人にはお勧めな一冊である。

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