CD 輸入盤

交響曲第9番 バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
2564.64316
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤,輸入盤

商品説明


マーラー:交響曲第9番
バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン


海外のマーラー・ファンにも大受けだった前作の第7番『夜の歌』に続いて第9番が登場。この作品は、近年バレンボイムが各国で集中的に取り上げていた作品だけに、第7番をさらに上回る見事な演奏となりました。
 バレンボイムのここでのアプローチは実にホットなもので、少し前に出た癒し系でソフトなシノーポリ盤とは、テンポ設定や、音質、楽器配置など、いろいろな意味で対照的な演奏となっています。
 とにかく実演の興奮の伝わる迫力満点の仕上がりとなっており、第2ヴァイオリンを右側に置いた対向配置ならではの立体的な音響効果もあって、作品の対位法的な魅力や和声構造の面白さを如実に分からせてくれるのが嬉しいところですが、やはり凄いのはそのドラマティックでテンションの高い音楽づくりでしょう。

 第1楽章ではその激しい盛り上がりに驚かされますが、一方では、重要な意味合いを持つ室内楽的な部分も大変に充実しています。シュターツカペレ・ベルリンの面々は、どこをとっても深い共感を感じさせる心のこもった演奏をおこなっていてとても魅力的です。
 第2楽章も通常のひなびた演奏とは大きく異なる過激なレントラーぶりが面白く、アクセント強調などによって高められたコントラストもたいへんに効果的。マーラーが最後まで順番設定に悩んだという並列的なエピソードを、とにかく飽かせず聴かせる見事な演奏です。
 第3楽章はさらに強烈で、マーラーがこの楽章に込めた現世への激しい苦悩と彼岸への憧憬、そしてもはや甘美に思い起こすことさえできなくなったノスタルジー、といった諸要素をバレンボイムは荒々しいまでにがむしゃらに突進して表現し、なおかつ各パートをそれぞれ主張させ、複雑で立体的で峻烈なテクスチュア造形をおこなった刺激的な音楽として聴かせてくれています。
 続く第4楽章も聴きものです。ここではきわめて濃厚な情念が示されていますが、しかしそれは通常よく聴かれる感傷的で平坦なものでは決してなく、うなりをあげるコントラバスに象徴されるように、大きく波打つホットな音楽が志向されているのです。
 コーダ(19:11-)ではもちろん澄んだ美しさが支配的ですが、そこに至るまでの道のりでは、バレンボイム指揮するシュターツカペレ・ベルリンの場合、生々しい情感と激しい葛藤や相克が強くあらわされており、改めて作品本来の姿を示してくれた演奏として、軽い疲労感さえ伴うほどの深い感動を与えてくれます。

 ちなみにこの演奏がライヴ収録されたのはベルリンのフィルハーモーニーです。フィルハーモニーのライヴ録音といえば、ラトル&BPOの各種アルバムでもおなじみですが、スタッフが変わるとサウンドもずいぶん違ってくるもので、遠目の音像であっさり仕上げられることの多いラトルの場合に較べて、このアルバムでは音像は近めで周波数レンジも広く、低域も克明に捉えられているため、マッシヴな力感や低音の凄み、高音の鋭利な切れ味も文句なしで、オーディオ的な快感を心行くまで味わわせてくれます。僅かな聴衆ノイズさえなければ、ライヴ録音とはとても思えないクオリティの高さに達した名録音です。

【収録情報】
マーラー:交響曲第9番ニ短調 [77:53]
 第1楽章 アンダンテ・コモド [26:29]
 第2楽章 ゆるやかなレントラーのテンポで [15:12]
 第3楽章 ロンド=ブルレスケ [13:08]
 第4楽章 アダージョ [23:04]
 シュターツカペレ・ベルリン
 ダニエル・バレンボイム(指揮)
 録音時期:2006年11月15日(ライヴ)
 録音場所:ベルリン、フィルハーモニーザール
 プロデューサー:マルティン・ザウアー
 サウンド・エンジニア:トビアス・レーマン

収録曲   

  • 01. Symphony no 9 in D major
  • 02. Symphony no 9 in D major
  • 03. Symphony no 9 in D major
  • 04. Symphony no 9 in D major

総合評価

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指揮者本人はおそらくドラマティックに演奏...

投稿日:2010/09/21 (火)

指揮者本人はおそらくドラマティックに演奏しているつもりなのだと思うが、一般的な「節操」の範囲を決して逸脱できないのが、バレンボイムの個性だ。ただ「節操がある」と言えば、大人しいようにも感じてしまいがちだが、実はそれはまったく違う。バレンボイムの作り出すこのマーラーの音楽は どちらかと言えば「邪悪」な精神が色濃く内在していて、それが今までにない、マーラーの新しい視点になっている点、大いに存在価値のあるディスクだ。

ヒューブーン さん | 静岡県 | 不明

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およその名指揮者と言うのは、ブルックナー...

投稿日:2010/09/15 (水)

およその名指揮者と言うのは、ブルックナー指揮者系とマーラー指揮者系とに完全に分かれるように思う。(例えばチェリビダッケは前者、バーンスタインは後者)・・・・一般的にはバレンボイムはブルックナー系に属すると思われていると思うが、バレンボイムのブルックナーに感動したことがないことと、実際この9番を聴いてみると、私個人的にはマーラー指揮者系に挙げたいと思う。このマーラー9番は、高密度で、絶叫せず、微笑みなどは皆無で、飾り気のない マーラーに過ぎないが、光りをも吸収してしまいそうな、ブラックホール的吸引力に満ち満ちている。  テンポの動かし方などは全く違うが、誰のマーラーに似ているか?と問われたら、意外とインバルの同類なような気がする。

エーテルの風 さん | 長野県 | 不明

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音楽の深淵にまで迫ろうとする、果敢な志に...

投稿日:2009/09/11 (金)

音楽の深淵にまで迫ろうとする、果敢な志に貫かれた凄絶な演奏。 バレンボイムは決して表層の”美しさ”に拘泥することがない、しかしそれ故に野獣のような荒々しい美を、退っ引きならない切実さの内に産み出して行く。 理知にかまけず、情念に溺れず、その葛藤そのものが、現代における地獄巡りさながらのアクチュアルなドラマを成す、このような稀有な演奏に出会えたことは歓びだ。

ゲニウス=ロキ さん | 京都府 | 不明

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人物・団体紹介

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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