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HMVインタビュー:DJ Mike-Masa

Tuesday, November 24th 2009

interview

DJ Mike-Masa

DJ Mike-Masa インタビュー
聞き手:西崎信太郎(HMV渋谷)

まず「これってマサっぽいよね」って言われたいっていうのが大前提にありつつも、そう言われる為にはある程度の作品を量産していかないといけないと思います。そういった意味でも来年は色々とリリース出来ればと思いますね。

--- 『MIX CAKE』のオフィシャル盤がリリースですね。おめでとうございます!マサ君の代名詞的存在のシリーズだけに多くのファンが待ち望んでいたと思いますが、完成されていかがですか?

ストリートで流通していた『MIX CAKE』はもう既にリリースは終了しているのですが、今回オフィシャルという形で復活させていただくことになりました。 パーティーを表現する為に、90年代の楽曲をメインにしてダンスクラシックのや新譜の楽曲を混ぜたりしました。

この『MIX CAKE』は隔月で定期的にリリースして、約5年くらい続いたシリーズだったんです。 旧譜を中心にしたMix CDでコンスタントに出ているものは、その当時はほとんど無かったんですよね。 新譜中心のMix CDって、楽曲が次々出てくるので終わりなくエンドレスにリリースすることが出来ますけど、 旧譜をシリーズにするのは過去の楽曲を使うので先が見えちゃうというか結構大変でした。 でも、そこはあえてストイックにやりたいっていうところがあって。

--- そう言った揺るぎないコンセプトを維持し続けるのが素晴らしいですね。

やっぱりレコードが好きですし、それを生かせればっていう思いで。勿論、90年代の曲を収録したMix CDっていうのは当時からありましたが、シリーズ化しているものは無かった ので、クラシックの楽曲を知らしめたいっていう感じでした。

--- 第一回目の『MIX CAKE』をリリースした時から、これはシリーズにしたいという思いで?

そうですね。ただマンスリーだからネタが尽きていまうかもっていう不安もありました(笑)。 そんな中でも毎回テーマを掲げてやっていました。ハウスっぽいR&Bの楽曲をまとめたり、バレンタインの時期にはスロウ・ジャムでまとめたりとか。勿論、R&Bっていう軸はぶらさないで。

--- その当時ってテープでした?それとも既にCDの時代ですか?

ちょうど変わり目くらいでしたね。だいたい4〜5年前くらいからMixもCDに移り変わっていったと思います。

--- 今回の『MIX CAKE』はスペシャル盤ということで新旧問わずの選曲ですが、マサ君はどの年代の楽曲が一番好きなんですか?

やっぱり90年代ですかね。ずっと聴いてきたっていうのもありますし、聴いた回数っていうのも他の年代に比べて断トツですしね。

---R&Bを聴き始めた年代っていうのも大きいですかね。

あ、それはかなり大きいと思いますね。

---90年代当時と今の音は、トレンドやスタイルも全く違って双方良い部分があると思いますが、やっぱり90年代って特別ですか?

今のシーンは今のシーンで大好きです。クラブでもガンガン、プレーしますし。ただ、自分の中で一番しっくりくるのは90年代なのかなって。ある意味全盛期でしたよね。

---確かに。バブルでしたね(笑)。

CDにしてもレコードにしても売れ方が違ったというか、今のシーンとはちょっと違う熱いシーンがありました。今のシーンの基盤を作ってくださった有名な方達が登場してきたのも90年代ですしね。

---今回の収録曲の中で一番思い入れが強い曲は?

5曲目のMary J Bligeの「Real Love」ですね。洋楽にはまって聴き始めた頃に、リアルに流行っていてあらゆる所で曲が流れていました。この曲が洋楽のキッカケになった人って多いんじゃないですか?この曲って打ち込みが「Top Billin」でヒップホップの要素があったりしたから、クラブでもヒップホップの曲に混ぜて使ったりと広がりのある面白い曲っていう印象でした。今でもクラブでは使わせて頂いてます。

---「Real Love」もそうですが、若いリスナーってリアルタイムで90年代のR&Bを聴いていないじゃないですか。クラブでの反応ってどうなんですか?

お客さんの層が一般化してきているじゃないですか。リアルタイムで聴いていない方達には以前に比べて伝わりづらくなってきたのかなって。でもそういった意味で、このようにCDをリリースさせて頂いて、今のシーンの音楽を聴いている方達にどうアピール出来るのかっていうのは楽しみです。今回はライトユーザーに聴いて頂きたいっていうコンセプトもあるので、ダンスクラシックとかも入れて。90年代の曲でも、よりライトユーザーに響くであろう曲を選んで収録しています。

---改めて思うのは、発信する側の影響力ってやっぱり絶大ですよね。

新旧問わず、DJから流行らせるっていうのは大きいと思います。例えば、シングルカットされていない楽曲でも「この曲やたら人気あるよね」っていうのは、クラブでDJがプレーしまくって浸透するっていう一連の流れみたいのがあると思うので、そういった意味では面白いですよね。

---2008年6月に初のオフィシャルMix CDをリリースされてから、かなりのハイペースでMix CDをリリースされていますよね。

この『MIX CAKE』で6枚目のオフィシャルCDですね。ストリートのシーンとは違った舞台でDJ Mixを発信させていただけるようになったのは単純に嬉しいです。地道にやって きたことが認めてもらえるようになったと言いますか(笑)。Mixのグルーヴ感とか選曲とか流れとか、ストリートのシーンと同じくライトユーザーの方にも伝えられればっていう思いで作っていますね。




---ちょっとここで、マサ君自身のことをいくつか。DJを始められたのはいつ頃から?

1998年頃からです。洋楽を聴き始めたのは小学生のころからで、一番最初は兄の影響でした。

---お兄さんもDJで?

兄はちょっとかじるくらいでしたが、ブラック・ミュージックがずっと好きでレコードをずっと買っていました。そういった影響もあったから90年代が特に好きなんですかね(笑)。

---DJを始められてから約11年経たれますが、当時と今のシーンで一番大きな変化って何ですか?

一番思うのは、当時は日本人のR&Bシーンが今ほど盛り上がっていなかったというか。当時は「R&B=洋楽」っていうイメージしかなくて。逆に今って日本人R&Bアーティストの活躍が凄いじゃないですか!一般層に広がるキッカケとして、そういったアーティストが出てきたことによってシーンはかなり良い方向に向かっていると思います。要は、聴いているのは日本人のR&Bだけど、そこをキッカケに洋楽R&Bも聞き始めたりと。

---海外のアーティストとのコラボレーションもどんどん増えてきていますしね。

今は本当に多くの日本人アーティストの方達がシーンに登場されてきて、あらゆる箇所で相乗効果が出てきていると思います。例えば、日本人アーティストの方が「俺はMary J Bligeが好きだ」って言えば、 そのファンの方達はその言葉をキッカケに洋楽を聴き始めたりっていう。だから当時に比べてブラック・ミュージックは一般層にどんどん広がっていると思います。

---それこそアーティスト「DJ Mike-Masa」としての影響力は相当なレベルじゃないですか?

そう言っていただけると嬉しいです(笑)。また何か一緒にやりたいですね!

---DJを始められた時に、目標にされていたDJの方っていらっしゃったんですか?

最初の切り口として「Apple Pie」から入ったので、KomoriさんやHarukiさんの存在は大きかったですね。

---「Apple Pie」は日本を代表するR&Bのイベントですもんね。

「Apple Pie」は今年で9年目のイベントで、僕は3年目の途中からやらせていただくようになりました。当時はKomoriさん、Harukiさん、僕の3人だけでしたね。

---マサ君のDJとしての目標は?

今後は楽曲のRemixだったりプロデュース作品などを増やしていって、良い意味でシーンに貢献して刺激を与えていきたいです。自分で制作したものを現場でプレーして広めていくっていうルーティーンを自分の中で作りたいですね。

---好きなプロデューサーやリミキサーは?

90年代だとCJ Mackintoshが好きです。C&Jも好きですけど(笑)。

---海外っていう言い方をしてしまうと偏見になってしまうかもしれませんが、多くの有名プロデューサーやリミキサーが存在して、彼らは独自の色が出ていると思うんです。このプロデューサーは「こんな音をいつも作る」とか。プロデューサー「DJ Mike-Masa」としての目標というか、目指すべき方向は?

まず「これってマサっぽいよね」って言われたいっていうのが大前提にありつつも、そう言われる為にはある程度の作品を量産していかないといけないと思います。そういった意味でも来年は色々とリリース出来ればと思いますね。Stevie Hoang のRemixをやらせていただけたのは本当に有り難く思っていますし、あの作品をキッカケに「マサっぽい」っていうイメージを確立させたいです。

---曲の聴き方も変わりましたか?

確かに聴き方は変わったかもしれませんね。昔ならそんなことは無かったかもしれませんが。これにこれを足したら良いんじゃないかな、みたいな。

---今って、パソコンさえあればDJが出来ちゃうじゃないですか。音源を手に入れることも容易ですし。その辺りはどう思われますか?

僕個人の考え方としては、ネットでいち早く音源を知れるっていう上では便利な時代ですよね。昔はネットが無かったから、曲を知るツールが限られちゃっていたじゃないですか。MuroさんやDJ Kiyoさんのテープとかに収録さ れていた曲を探したり。ネットで曲を探すなんて想像出来なかった(笑)。ただ、僕は今でもCDやレコードがリリースされれば買いますし、単純に形として残しておきたいっていう思いがあります。ネットが普及していない当時も、レコード屋に音を探しに行くのが好きでした。地方に行ったりして、若い子にこういった話をしても意外と伝わらなかったり(笑)。どちらが良い悪いっていうことではなくて、時代の影響ですよね。

---やはりパッケージには独自の魅力を感じますね。

便利さに関して言えば、「デジタル」っていう存在は素晴らしいですよね。ただ、昔の方が後世に語り継がれる名曲っていう存在が多い気がします。今は逆にクラシック化する曲は少ないんじゃないかなと。曲の使い捨てじゃないですけど、曲の移り変わりが激しいじゃないですか。1曲に対する思い入れは昔の方が強かったかなと。自分の中で単純に消化するだけってなってしまうのが怖いので、CDとかは買い続けたいですね。

---最近ハマったいるCDは何ですか?

MarioとかAmerieの新譜は良かったですね!Amerieは良い意味で昔のスタイルを貫いているというか。ネタ使いとか!

---AmerieはMint Conditionの曲を使ったりしていましたもんね!

あれは「おぉ!」っていう感じでした(笑)。

---個人的に、先日のMarioのライブにお邪魔させていただきました。Marioだけではなく、今、ライブを行うアーティストのほとんどがマイケル・ジャクソンの曲をステージで披露していますが、やっぱりマサ君にとってもマイケルの存在は特別でしたか?

そうですね。『This Is It』も観に行かせて頂きましたが、改めて気付かされる部分も多かったですね。マイケルのカバーって沢山ありますけど、現場では勿論マイケル本人の楽曲もプレーします。あの訃報があってからは、以前とはプレーしているときの気持ちが違いますね。映画を見たあとだと尚更ですよね(笑)。彼を超える存在って・・・いないですよね。本当に最初で最後でしたね。

---マイケルの中で一番好きな曲は?

クラブで一番プレーしたっていうのもありますけど、「Rock With You」が一番好きですね!

---一番好きなアーティストは?因みに僕はJoeです(笑)。

Joe良いですね(笑)。僕もJoeはシングルからアルバムまでほとんど持っているのでJoeは大好きですね!でも、1人に絞るって結構難しいですよね(笑)。

---男性アーティストと女性アーティストではどちらかというとどちらが好きですか?

R&Bの初心者が聴く場合、どちらが取っつきやすいかと言えば女性シンガーの方が聴きやすいんじゃないですかね!女性アーティストの方がキャッチーですよね!歌声からルックスから、一つの華というか。

---なるほど。ありがとうございました!最後にHMV Onlineをご覧になっていただいている方へメッセージをお願い致します。

今後は今までやってきたクラブDJとMix CD制作に加えて、楽曲の制作にも力を入れていきたいと思っております。『MIX CAKE』がオフィシャルとして復活しましたので、是非チェックして ください!