【今月のイチオシ】 henrytennis

2009年11月5日 (木)

henrytennis 今月のイチオシ

リズムが!!!!!!!!!!!!!!!!

お久しぶりの今月のイチオシ!
今回、我々がPICK UPするのは、既存のインストバンドから、更に逸脱したサウンドで耳の早いリスナーを唸らせるバンド、henrytennisです!
正直なところ、ちょっと食傷気味だったポストロック、インストバンドのシーン。
henrytennisは超えましたねぇ。
すんごいところまで行ってます。
先日行われたCINRA主催の無料イベント『exPoP!!!!!』でのライブもすげー事になってました。
とにかく全てのミュージックジャンキーを反応させるあのリズム!
このバンド、ドラムが突出しているように思います。
で、SAXがアクセントになって、別次元に。
ありがちな難解さはなく、全体の印象は非常にポップ!
メンバーそれぞれの音楽体験(ページ下部をチェック!)に基づいた、相当面白いサウンドです。
これは是非ともチェックして欲しい作品です!






既存のインストバンドとは違うダイナミズム

henrytennis
『R.U.R.』 / henrytennis
NEW WAVE OF PROGRESSIVE ROCK 2003年頃、本格的に活動を開始。クラブミュージック、ポストロック、音響、ジャム、プログレッシヴロックなどを内包したインストゥルメンタル主体の楽曲は、ギター、ベース、ドラム、キーボード、シンセサイザー、サックス、グロッケンシュピールによって鮮やかに奏でられる。生楽器によるミニマリズムを重視した音楽性を基本に構築され、豊かなリズムと音の波が押し寄せ、心地よいグルーヴを創り上げながらも、突如、ユニゾン、変拍子といった展開を挿入、既存のインストバンドとは違うダイナミズムを取り入れ、リスナーを圧倒する。その音楽センスの高さは、ライブハウスシーンから海外メディアまで広がり、1stアルバムリリースから3年半を経過した今日に至るまで、海外ツアーや自主企画などを行い、コンスタンスに活動を続けてきた。その間、幾度のメンバーチェンジを伴い、現メンバーはそれぞれ、OCEANLANE、トクマルシューゴ&ザ・マジックバンド、狂うクルー、4bonjour's parties、俺はこんなもんじゃない、など様々なバンドでも活躍。そんな強靭なメンバー編成でレコーディングされた待望の2ndアルバム『R.U.R.』を09年11月11日にリリースする。ネクストステージにあがったhenrytennisの現在が詰め込まれた最高傑作である。


henrytennisリーダー、奥村祥人による全曲解説

1.Valencia raincoats
突如訪れるビッグバン。その粒子が弾けた破片のように、ダイヤを崩した雨のように煮えたぎった大地に降り注ぐ!
一人の何者かが、下界へ突如現れ、一瞬にして粒子を蒸発させ、また上空へと登っていくと、天はにわかに晴れ渡り、辺りは光りに溢れた。
やがて景色は緑に移り変わり、天はその晴れ間をおおっぴらに晒したまま、優しげな雨が降らす。
そして清らかな世界が作られる。

2.Jesus
緩やかな傾斜を車で登っていく男。
胸には絶望という枯れ果てた景色一つだけを覗かれないように己の胸に隠しつつ、車は徐々に速度を上げて崖を登っていく。
崖を越えるとそこは海だ。
男が望んだにせよ、そうでないにせよ海はゆったりとその広大な存在のまま弛んで見えてくる。
車の速度と重なるように男の心臓の鼓動はどんどんと高まり、崖の終着点に向け、よりいっそう速度を上げる。
そして車は勢いよく、そして躊躇なく崖の終着点を飛び出す。
豪快な爆発音。
最後には辺り一面を再び包む静寂と、崖の下には車の残骸が残るのみ。

3.Dortmund in the sky
ドルトムントのフットボール会場の上空を観てごらん。
七人の天使たちが溢れんばかりの笑みを見せながら、
手に手を繋いで天空を楽しげに、
そして悲しげに回っているから。

4.red cats
夜の郊外。
魂のドアを開けるように流れるオルガンの音が、闇に包まれた古めかしい洋館に流れ出す。
とっくに人などいないというのに。
オルガンは物置に忘れ去られたように置かれ、
その上に被さるようにひとりの骸骨が、首をうなだれオルガンのフレーズを弾いている。
彼の片側には赤い猫。
彼は彼女のために弾いてるのだ。
月は三日月。
割れた窓から光が射し込み、雲が邪魔をするまでのほんの僅かな時間、二人を照らすのだ。

5.circle
洞窟に迷い込み、僕らはさまよってた。
もう何日も。
何週間も。
時間の概念を忘れるほどに。
中は暗く寒い。
何より寒さが僕らの着ている厚手のコートすら切り裂くようだ。
そこへ突如、明るい灯りが現れる。
僕らが灯りに近づくとそれは一軒の家だと気づく。
僕らは顔を見合わせる。
助かるかもしれない、何より僕らはいまとても寒くて暖かい場所を望んでいるんだ。
僕が家のドアを開けると、中に人は居らず、巨大な暖炉とテーブルが目に入った。
テーブルの上には沢山の料理が並んでいる。
僕らは気勢を上げてテーブルに近づくと、料理を貪りはじめた。家主の許可も得ずに。
やがて奇妙なことがおきた。僕らが料理を食べ進むにつれ、部屋の形が丸みを帯びてきたのだ。
しかし、空腹の今はそんなこと気にしていられない。
僕らはその変化にきづきながらも食事を続けた。
その家が巨大な芋虫の胃の中ともしらずに。

6.Weekday heartbreak
彼女は白い崖の上に立った白いペンキに塗られた家に住んでいる。
一日に一回街へと降りて、
家でとれたオレンジを人々に分け与えるのが彼女の日課だ。
ある日いつものように人々にオレンジを渡していると、
ぶるりとオレンジたちは震えだし、やがて羽がはえて籠からドンドン飛び立っていった。
もう彼女の元には戻らない。
オレンジの取れるのも、それが最後だろうと知ったのだった。

7.Song to say hello
ものごとすべての始まりのうた。

8.Holy Ghosts
宇宙船の中で次々奇っ怪な死を遂げる乗組員たち。
目的も明かされず進みゆくミステリー。
犯人はきっと僕に違いない。

9.oslo
目を覚ますと窓の外は一面雪景色。
僕はそんな光景をみると、
飛び出していくより、
じっと家の窓から雪に包まれた景色を見るのが好きなんだ。
雪は次々と全てのものを白銀に染めていく。
そして僕は気づくと雪の舞う空を飛んでいた。
さあ雪が僕を乗せていく。





















各メンバーの影響を受けたCD

奥村祥人(Guitar&Vox)
イエス『危機』
危機が、彼らの中で一番好きな曲です。なのでこのアルバムを。そしてこれを買った中学の頃、一曲約20分ある曲という衝撃も、その頃サイケポップにはまってた僕にはまたすごかった!

ソフトマシーン『3』
ソフトマシーンのこのアルバムを知ったのは相当遅く、大学生の頃。しかも高校生の当時は1&2の2イン1盤ばかり聴いてたので、3まで手が届かなかったのですが…。これを聴いた時は最初は、ん?と思ったのですが、二回目でズカンときました。ちなみにカンタベリー物を聴いてみようとしたのもこの3がきっかけです。

岸田佳也(Drum)
井上陽水『GOLDEN BEST』
幼少時代、実家の車ではいつも陽水がエンドレスで流れており、毎回車内の正体不明の匂いに気持ち悪くなり後部座席に横になって窓から外の景色をぼんやり眺めながら「青空、ひとりきり」や「人生が二度あれば」を聴いたものです。

emergency!『Loveman Plays Psychedelic Swing』
時は変わって大学生の頃、これを聴いたあたりから人生が不思議な方向に曲がっていったような…。ピットインをはじめジャズ系ライヴハウスにもよく通いました。いや今もスケジュールが許せば観に行きたいのですが…。

安藤暁彦(Saxophone)
AREA『汚染地帯』
高一の夏にマハビシュヌ・オーケストラの『火の鳥』と共に購入。人生を変えた悪魔の一枚。

Electric Masada『50th Birthday Celebration,Vol.4』
高三の夏にレコ屋の試聴機で何気無く再生。事態が呑み込めずに購入に至るまでに1ヶ月を要した。

堀越武志(Bass)
和田アキ子『DYNAMITE SOUL』(廃盤)
読んで字のごとく、ダイナマイトなソウルな曲がたくさん詰まった名盤です。「古い日記」は必聴。

光田康典『Chrono Cross』
プレステーション用RPGのサウンドトラックです。クロノトリガーの続きの話です。とにかく曲がいいのです。どの曲もいいです。いつかバンドでコピーしてみたいです。


和田アキ子
『DYNAMITE SOUL』(廃盤)


光田康典
『Chrono Cross』

植野康二(Keyboard)
アレクス・アンド・ザ・ランプス『ミッドナイト・ビリーバー』を最近よく聴いてます。ライブもメンバーが踊ったりして楽しそうです。影響を受けたのはザ・ミレニウム『ビギン』です。「プレリュード」を目覚ましの曲にして毎朝起きてます。

須藤俊明(Instruments)
なんに影響を受けたのか、そもそもCDから影響をうけてるのかわかりませんが、自分が好きなCDを二枚紹介します。一枚はメイナード・ファーガソン『征服者』。もう一枚はリー・リトナー『キャプテン・フィンガーズ』。もう文字数いっぱいになっちゃいました。