TOP > Music CD・DVD > News > Jazz > ジャズ定盤入門 =第一回=

ジャズ定盤入門 =第一回=

Tuesday, October 27th 2009

  「ソニー・ロリンズに志す」 〜 ジャズは夜に
sonny rollins

 何はともあれ「サックス」である。ジャズの知識がほとんど無いながらも、アルバムのジャケットと共に名前が思い浮かぶサックス奏者が実は二人いる。ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンである。

joe jackson & sonny rollins  特にソニー・ロリンズには、ジョー・ジャクソンが84年のロック名盤『ボディー・アンド・ソウル(Body And Soul)』でそのジャケットをもじってオマージュを捧げていた『ソニー・ロリンズVol.2(Sonny Rollins: Vol.2)』や、洗練されたデザインがあまりにも有名な『サキソフォン・コロッサス(Saxophone Colossus)』、そして、その2枚同様「青と黒」の写真が何とも言えない渋みを感じさせる『ニュークス・タイム(Newk's Time)』など、「アルバム・ジャケットが猛烈にカッコいい」というイメージがあり、「歴史に残る名盤には歴史に残るジャケット写真がつきもの」という自分勝手な思い込みもあって印象はすこぶるよい。なにしろ名前もカッコいい。

 ストーンズの「友を待つ」での客演(実はクレジットはされていない)の件もあり、最初に聞くのはソニー・ロリンズと決め、同僚のジャズ担当者にどれを聴いたらいいか伺いを立てると、あっさり「んー、『ニュークス・タイム』でいいんじゃない?」との一言。このあっさり感がカッコいいのである。本当に詳しい人は多くを語らない。自分があの域に達する日はいつだろうか、などと思いつつ、早速『ニュークス・タイム』のCDを自腹で購入。

 で、期待と緊張を感じつつ仕事中に聴いてみる(職業柄、ヘッドフォンで音楽を聴きながら仕事をするのは日常茶飯事)。疾走するシンバルのリズムの上を、太くて伸びやかな渋いサックスの音色が滑り出す。「おっ、これはいいかも」。

 しかし、聴き進めると段々に違和感が出始めた。聴き慣れないせいもあるのか、どうにも昼の脳ミソがうまいこと適応してくれないのである。ドラムのテクニックが凄すぎて、ときどきリズムが取れなくなるのも気になるし(変拍子?)、火花散るドラムとサックスとピアノの掛け合いも脳ミソへの負荷がデカくて頭にあまり入って来ない。何より、なぜか真昼間から無性に酒が飲みたくなる・・・。

Newk's Time  そんな具合で第一印象は良くも悪くもない感じだったため、その日以降はなかなか食指が伸びず、しばらく聴かずにいたのだが、ある日、残業中の夜10時過ぎにふと思い出して何気なく聴いてみると予期せず脳ミソに衝撃が走った。「これは・・・ものすごくカッコいい・・・昼間聴いた時とは比べ物にならない・・・」。

 ほどよい疲労感とソニー・ロリンズの豪快なサックス・プレイがあいまって、脳内を心地よい高揚感と酩酊感が駆け巡る。例の火花散る掛け合いにも痺れる。1曲目の「チューン・アップ(Tune Up)」から2曲目「エイジアティック・レエズ(Asiatic Raes)」、3曲目の「ワンダフル!ワンダフル!(Wonderful! Wonderful!)」まではアッという間。個人的に一番刺さった4曲目(LP時代で言えばB面の1曲目か)「飾りのついた四輪馬車(The Surrey With The Fringe On Top)」は何度か聴いて初めて気づいたのだが、サックスとドラムのみのデュオである。和音が出せないサックスとドラムだけでこんなに厚みのある豊かな演奏が出来るとは・・・。

 気づけばあっという間の34分17秒。終わり方があまりにもあっさりなので、思わず何度も繰り返しプレイボタンを押す。そして聴きながらこのアルバムについて調べてみると、まず録音は1957年。1957年と言えばプレスリーがとっくにデビューしていて人気絶頂の頃。この辺のロックとジャズの時間軸のパラレルさがなんとなく不思議である。そしてソニー・ロリンズは当時27歳。49年〜54年にマイルス・デイヴィスを始めとする数多くのいわゆるモダン・ジャズの巨人たちと競演を重ねていて、今では「モダン・ジャズ最後の巨匠」と言われているらしい。ご健在なんですね。なんとなく意外ですが。

Saxophone Colossus  で、50年代後半の作品はこの『ニュークス・タイム』を始めどれも素晴らしいものばかりとのこと。ジャケットのくだりで触れた『サキソフォン・コロッサス』(56年)もかなりの代表的名盤らしいので、次は絶対にそれを聞こうと決意する。その次はジャケットが気になる『ソニー・ロリンズVol.2』(57年)もやっぱり聴いておきたい。何にせよしばらくは夜のBGMはジャズ一色になりそうだ。それにしても、最初1枚にこれを選んでもらって本当に良かったなぁ・・・、本気でハマりそうだ・・・

 とまあ、そんなこんなで熱中して悦に入っているうちに気づけば終電なくなっていました。畜生、帰りのタクシー代で『サキソフォン・コロッサス』と『ソニー・ロリンズVol.2』が買えたのに。

「ジャズ定番入門」連載記事一覧

最新号は ヨミウリ オンライン 新おとな総研 で!

JAZZ INDEX
* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

今回の主役の「定盤」

Newk's Time

CD Import

Newk's Time

Sonny Rollins

User Review :4.5 points (2 reviews) ★★★★★

Price (tax incl.): ¥1,650
Member Price
(tax incl.): ¥1,436

Release Date:22/March/2004

  • Deleted

%%header%%Close

%%message%%

こちらも是非

Buy 3 International Music Titles Get Up to 30% Off Items with this icon is eligble for Buy 3 International Music Titles Get Up to 30% Off