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大好きな音楽。
しかし気分や体調によっては、どんなに好きな曲でも受け付けられない時もあるそうだ。それは、陸上という勝負の世界に生きる福士選手の過酷な状況を物語っている。トップアスリートとして活躍する輝かしい記録の裏側には、多くの苦悩や挫折もあったに違いない。五輪初出場で、悔し涙を流した2004年のアテネオリンピック。日本の第一人者として挑戦し、世界の高い壁に弾き返された2008年の北京オリンピック。それでも今思い出
と共に甦ってくるのは、アテネオリンピックのテーマソングだった、ゆずの「栄光の架け橋」だという。楽しかった思い出も、ちょっぴり苦い思い出も、そこに音楽があるからより鮮明に福士選手の心に刻まれているのだ。
「音楽は力をくれる。身体の奥の方からワァ〜っと込み上げてきて、勝手に身体が動いていく感じ。耳に届く言葉にメロディが加わり、脳に、身体に、染み渡っていくんです。」
鍛え抜かれた肉体に、さらに音楽のパワーが染み渡った福士選手というのは、もう無敵という気さえする。トラックの女王には、そんな秘薬があったのだ。躍動的な走りで他を圧倒し、はじけるような笑顔でゴールを切る福士選手。その瞬間、AIの熱唱にグルーヴするように、彼女はきっと最高にノリノリなのに違いない。
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