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『あんにょん由美香』 公開記念! 「TAO」 番外編 :ゲスト→松江哲明監督 5 

Wednesday, July 29th 2009

--- 話しが重なってしまうところがあるかもしれないんですけど、松江さんにとっての由美香さんは、作品の中での女優としての由美香さんだとお話しして頂きましたが・・・。


松江:あとはやっぱり、先輩ですね、姉御というか。


直井:業界のね。


松江:そうですね。業界の先輩というか。お姉さんという感じですね(笑)。何かもう・・・「ウイッス!」みたいな(笑)。


直井:お説教される世代ですからね。


松江:そうそうそうそう(笑)。


直井:しょっちゅう何か、口とんがった由美香さんにいろいろ言われたりしてるイメージがありますね。


松江:僕の中ではやっぱり、(カンパニー)松尾さんとかも近いんですよね。松尾さんも常にやっぱり、目の前にいる大きな先輩。平野(勝之)さんもそうですけど。いまおか(しんじ)さんはちょっとだんだん・・・お付き合いしていくうちに変わっていったので、先輩っていう感じではないかな(笑)。何か本当、飲んでだらしないところも知ってるし、すごくおもしろいところもあるし。僕が女の子だったら、いまおかさんと付き合うなっていう感じですね(笑)。


直井:(笑)。


松江:松尾さんとかは永遠に憧れる・・・僕が女の子だったらね。いまおかさんだったら何か、きゅっと手を握れるような感じなのかな(笑)。


--- いまおかさんが出演されているシーンは、トーンも違いますもんね?


直井:そうなんですよね。


松江:いや、あれは実は全員、そうっちゃそうなんですよ。やっぱり、平野さんの作品を観たら、平野さんワールドだし、松尾さんの作品を観たら、松尾さんワールドになっちゃうんですよね。


--- 松尾さんの作品は、『マリ子Gカップ』だけは拝見させて頂きました・・・(笑)。


松江&直井:『テレクラキャノンボール』!(笑)。


--- 『テレクラキャノンボール』は置いてなかったんですよね。わたし、中野に住んでるんですけど、中野の成人コーナー覗いたんですけどなくて・・・。


松江:ブロードウェイの3階のところですか?


--- ブロードウェイではなくて、TSUTAYAで・・・(笑)。


松江:そうだ、あれはレンタルしてるんだ。AVグランプリだから。


--- あれがわたしの人生初のカンパニー松尾作品です(笑)。


松江:普通のレンタル屋さんじゃなくて、セルDVD屋さんだったらありますね。いや・・・でも、やっぱりお店で探すのは怖いと思うので、ネットで買うといいと思いますよ。カンパニー松尾って検索したら、ずらーっと出るので。松尾さんの作品はハズレはないんですけど、エッチしてるだけっていうものが多かったりするので、ドキュメント色が濃いやつとかは、『私を女優にして下さい』とか『マリ子Gカップ』とか。で、たまに女優さん1人を撮りながら、ドキュメント色が濃いものを撮られてたりするので、そのへんはちょっと調べると、何となく分かると思うので・・・。でも、すごいいいと思いますよ。松尾さんの作品は、女性が観ても・・・。


直井:『YOGA』とかね。


松江:『YOGA』とかおもしろいですね。


直井:『あんにょん由美香』にも通じるところありますよね。文化の・・・間違っていいんだっていう(笑)。


松江:そうそうそうそう。そうですよね。というか、「間違えるもんだ」みたいな視点とか、さすがですよね。


--- カンパニー松尾さんは、いろんなところに名前が出てくる方なので・・・(笑)お名前を覚えました。


直井:(笑)。影響大きいですからね、この世代にとってすごく。山下敦弘監督とか、モロですからね。


松江:モロですし、やっぱり、今30代でもの作ってる人で、松尾さんの存在ってデカイですよ、本当に。


直井:ジャンル関係ないですね。クリエイターに刺激を与えてる人ですよね。でも、いまおかさんのパートは本当にのんびりしますよね。でも、本当に天才なんですよ、あの人は(笑)。


松江:で、平野さんと一緒だと雨降るし(笑)。


直井:どしゃ降りのね(笑)。鬼のようなシーンがいっぱい出てくるし(笑)。


--- 天候までも・・・(笑)。


松江:そうそう。演出するんですよね(笑)。


直井:嵐を呼ぶ感じがするんですよね(笑)。


--- それぞれの監督の持つトーンが全然違ったので、出演されている方が違えばそうなることは当然なのかもしれないんですけど、色の違いみたいなところでも、たのしませて頂きました。


松江:そこをきっかけに、それぞれの監督の作品を観て欲しいなって思うんですよね。「あ、こういう人が撮ってるんだ」「由美香さんが出てたんだ」っていうことで、もう1回・・・『硬式ペナス』とか今探すの大変なので観るのは難しいとは思うんですけど、探してみてもらったりとか、『由美香』とかぜひ観て欲しいですし。


直井:あれはすごいですよ。日記も全部入ってますしね(笑)。


--- 今、『硬式ぺナス』のお話しがあったので・・・松江さんはカレーがお好きなんですよね?(笑)


松江:はい、カレー好きです。


直井:『カレーライスの女たち』っていう作品もありますしね(笑)。


松江:ありますね(笑)。


--- 松尾さんと食べられていた由美香さんも食べたというカレーがおいしそうでした。


松江:あそこのカレーおいしかったですよ、ちょっとすごいですね。「(ヴィラ) アフガン」のカレーは。


--- どういうお味なんですか?


松江:あのね・・・えーっと、欧風カレーなんですよ。それで、ただやっぱり、あのカレーがすごかったのは、ベーコンなんですよ。


直井:切ってましたよね、ナイフで。


--- ベーコンが・・・(笑)。


松江:そう。あのでっかいベーコンに・・・たぶんね、カレーだけ食べるとちょっと物足りないなあと思うんですけど、ビーフだったかな、ブタだったかな、あのカレーは・・・ブタだったような気がするなあ。食べたのもう2年くらい前なので、ちょっと記憶はあれなんですけど、欧風カレーでちょっとシチューに近いような、トマト味が強かった・・・そう!トマト味が強かった気がしますね。でね、「(ヴィラ) アフガン」のカレーは結構有名なんですよ。あのベーコンカレーって、1600円くらいするんですよ。だから、ちょっと高いなって思ったんですけど、でもあのベーコンと合うんですよね。またあのベーコンがねえ・・・。


--- (笑)。


直井:松江さんの作品は食べ物が食べたくなるっていうことでも有名ですからね(笑)。


松江:食べ物は必ずおいしく撮る・・・自分が食べるところは入れますね(笑)。


--- それは、性欲とか食欲とか、人間の欲求を見せるためにですか?


松江:そうですね、それは意識してますね。やっぱりね、僕食べ物とかが汚い食べ方とか、許せないんですよね。別に汚い食べ物でもいいんですよ。だけど、食べたくさせて欲しいんですよね、映画を観てる以上。すっごいまずそうに映ってるのとか観たら、10点満点中、マイナス5点くらいにしますね、どんなにいいこと言ってたとしても。『踊る大走査線』とか観ても、全然ご飯食べたくなんないですもん。カップラーメンとか食べてても、全くおいしそうに見えないんですよ、カップラーメンが。


直井:『ホームレスが中学生』の残飯とかの方が・・・。


松江:そう!


直井:おいしそうに見えるっていう。


松江:そうそうそう。すごいですよね、城定(秀夫)さんとかって。でも、やっぱりね、映画とかセンスある方は、食べ物撮るのが上手ですね。あとやっぱり、セックスシーンですよ。僕、自分の中で絶対に決めてるのは、「食べ物はおいしそうに」と「女性はきれいにかわいらしく」ですからね。容姿がそんなによくない人でもかわいらしく見せられるのが映画の力だし、女の人を撮る時は、そのパワーを男だったら持たなきゃいけないと思うんですよ。だから、そこは気を付けるというか、そこがだめだったらたぶんだめですね、僕の作品は。だから、立ち食いそばとかでもおいしく見せたいんですよ。やっぱり、僕が好きなのは、伊丹十三の映画とか、あとやっぱり、松尾さんのAV観るとエッチしたくなるし、「女の人いいな」って思うし。松尾さんがね、本当そういうの撮るの上手いですし。やっぱり、カレー食べたくなりますから。


直井:松尾さんの作品は本当、そうですよね。


松江:カレー食べたくなる。あと、エッチしたくなる、本当に(笑)。僕はものすごく映画が好きなんですよ。映画の言葉で言うとたぶん、シネフィルって言われるくらい僕たぶん、映画を本当に年間300本くらいは観てますし。常に映画がないとだめなんですけど、でもやっぱり、だからと言って、信じているものは映画ですけど、ご飯食べることとか女の子好きになることとか、そこはね、外しちゃだめだと思うんですよ。そういうのも抜きにして、”映画原理主義”ではないんですよね。”映画原理主義”になる前に・・・じゃあ「何で自分は生きてるのか」とか「何が好きなのか」とか「どんなの食べたらいいのか」っていうこともやっぱり、同じくらい大事にしないといけないと思うんですよ。そこを出して、「その人らしい映画」っていうものになるって、僕は思うので。だから、どんなにその映画が高尚なメッセージを伝えてて、映画ファンが大喜びするような素晴らしいものだったとしても、「女の子がかわいくない」「ご飯がまずそう」っていうのは、「それはだめだろう、人として」っていうか、作り手として。食べ方が汚い映画とか許せないですね。『恋空』とかね・・・『恋空』って映画自体もそうですけど、「この映画、全然だめだな」って思ったのが夕食のあのから揚げ?(笑)。


直井:から揚げね(笑)。


松江:山盛りのね(笑)。もうあれ観た時ね、この映画のダメさの象徴だなって思いましたね(笑)。最初の方のシーンで、お花畑のレイプとか観た時ね、本当「なんじゃこれ」って思ったけど、決定的にダメだったのは、から揚げ!


--- から揚げ・・・(笑)。


松江:ああいう下品なところをね、スルーするのはだめですよ、もの作ってる人が。やっぱりね、ガッキー(新垣結衣)がから揚げしか食わないのとか、僕嫌ですよ。


直井:(笑)。


松江:何か・・・せめてああいうね?いいとこのお家の設定だったらさ、もうちょっとご飯に気を付けて、肉じゃがとか食べて欲しかったなあ・・・魚とかをさ。


直井:(手で山盛りをジェスチャーしながら)こんなでしたからね(笑)。


松江:本当に山盛りだったもんね。


直井:「ほい」って感じでね(笑)。


松江:「育ち盛りの男か!ふざけんな!」って、すっごい残念な気持ちになりますね。っていうと、いい映画の基準ってそこにすると分かりますよ。「何でこの映画って何か、すごいウソくさいんだろう」とか「おもしろくないんだろう」って思うのは、それは作り手のデリカシーなところになっちゃうと思うんですよ、最終的には。作り手がどういう気持ちでその人を見てるのかっていう。一番出るのがやっぱり、人間の欲望の部分ですよ。それはやっぱり、性欲と食欲ですよ。寝る場面っていうのは難しいですよ、映画で。だから僕は、映画の自分の基準は、女の子と食べ物。これ、絶対ですね、僕は。


『あんにょん由美香』 予告編はこちらから!







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