HMVインタビュー:ELECTRIC SUMMER 3

2009年7月8日 (水)

interview

ELECTRIC SUMMER

本当にパンクロックやりたかったんです。それが全体に出た。カッコいいパンクだね。

---では、今回のニューアルバム『Nevermind, Lah』について、話を聞いていきたいんですが、まずは率直な感想をお願いします。

Mikey:今までで一番良いアルバムが出来ましたね。やっぱり、ShinkeとYoshiが入った影響がモロに出てて。Shinkeが入った後に、『…OUT OF THIS WORLD3』に入れてもらったんですけど、その時に、Shinkeも交えての曲作りをはじめて、そこでいい曲が作れたんで、そこから、いい流れが出来て、さらに今回はYoshiも入って、一緒に曲作りに参加してもらってるんで、現時点で一番良い形で出せたと思います。

Shinke:俺もYoshiも入って初めてじゃし、MikeyもYUDAもNAOKIも、俺らが入ってなんらかしらの刺激みたいなものが、すごい詰まっとるような、ガッツのある、アルバムになったんじゃないかなって思います。音楽的な志向みたいのは、みんな色々好き好きがあるけん、バラバラだと思うんですけど、みんなで曲のモチーフみたいなのを持ってきて、それをひたすらいじくるんですよ。それをやっていること自体がすごい楽しくて。全員で作っているってことが。ELECTRIC SUMMERに入る前、バンドやりたくても出来ない時期があったから、リアクションがあること自体がすごく面白かったなって。そういうやりとりがずっと続いて、このアルバムになったんじゃないかなって思います。

Yoshi:僕はELECTRIC SUMMERのドラムをやることになった時、元々持っていたELECTRIC SUMMERのイメージを持ちつつ叩こうっていう思いが強くて。1年くらい一緒にやってても、まだどこか合ってない部分があるなって思ってたんですよね。自分ではすごい気持ちよく叩いてるんだけど、NAOKIさんとの細かい部分の合わせ方だとか、グルーヴやテンポの変え方とか、そういう細かいところが、俺、出来てないんじゃないかなって思ってて。でも新曲を作り始めて、そこでやっと、自分の本来のスタイルが出せつつ、ELECTRIC SUMMERっぽいドラムが出来始めた気がするんです。そして、作品が出来た時にELECTRIC SUMMERを客観的にみることができて。客観的にみたところ、Shinkeさんと僕が始めて入って作った作品ですけど、やっぱり、ELECTRIC SUMMERだなって思って。新しいELECTRIC SUMMERだなっていうのがあっても、それはそれでいいのかもしれないけど、今まで存在していたELECTRIC SUMMERの雰囲気がすごい出ている作品だったから、ほっとしました。このアルバムを作るまで自分をあまり客観的に見れてなかったので、すごいいい経験で、確実に今後のドラマーとしての活動につながるものになりましたよ。とりあえずELECTRIC SUMMERらしい作品で、素晴らしいものができましたね。

YUDA:普通の曲だなって思ってても、この5人でやると、とってもかっこよくなったんですよね。自分で言うのもなんですけど。こういうメロディックがすごい楽しくて、今回も、普通の曲なんだけど、ああ、カッコイイなって自分でも思えるようなのも入ってるし、自分がどうしてもやりたい、本当のパンクロックっていうのも、本気で出せたと思うし、本当に大好きな1枚になりました。

ELECTRIC SUMMER

---アルバムのリリースを決めたのはいつぐらいですか?

Shinke:Yoshiが入って、この5人になった時に、そこから土台をまた作っていった。曲作りもそうだし、どういう活動をしていくか、こういう企画をこのタイミングでやっていくか、どう盛り上げていくかっていうのを1年くらいやっとったですね。そうしとるうちにもずっとアルバムを出したいですっていうのをRYOSUKEにずっと言ってて、OKですっていうのを最近もらった。

Mikey:レコーディングは2月にやろうって昨年には決めてて。ただ、レコーディングの正確な開始日をRYOSUKEに言い忘れてて。なのでリリースは7月になりました。

---レコーディングは順調でしたか?

Shinke:まずは、ワタクシがこの日にレコーディングするっていうのをRYOSUKEに伝えていないところから始まったんで。やる当日の朝に、「今日、レコーディングなんじゃけど、何時に来てくれるん?」って、連絡したら、「え?レコーディングなんて聞いてないよ」って。

RYOSUKE:そうそう!朝言われたんだ。「え?なに?レコーディングすんの?俺聞いてないけど」って。

Shinke:その当日は何かが入ってるから来れなくて、次の日に来た時に、お叱りを受けてました。

RYOSUKE:(笑)もうびっくり。初めてだよ、10年やってて。知らない間にレコーディングが始まってたっていう。その最初が痛かったですよね。結局、雰囲気悪くなっちゃうバンドは悪くなっちゃうじゃないですか。ムードメーカーがいて、関係ねーぜって言えばいいけど、負のスパイラルに入っちゃうバンドだから、最初が痛かったね。

YUDA:その辺、今回、Mikeyがね、頑張ってくれた。

Mikey:社長も来れないし、ヤバイと思って、とりあえず、俺が現場監督みたいな感じで。楽器隊のギターShinke、ベースNAOKI、ドラムYoshiの3人で曲のベースをどんどん録らせていって。1曲に時間かけすぎないように進めて、どんどんやっていったらオケ録りは1日で終わったよね。で、ギターの重ねまでいってね。で、2日目でギター全部重ね終わって。

Shinke:ジャッジをMikeyが、窓越しに今のいいねみたいな感じに、今の全然ダメだよとか色々言って。全部真顔で。いいときも悪い時も真顔で。

RYOSUKE:全然、ムードメーカーじゃないじゃないかよ(笑)。

Shinke:もう、あの時はMikeyが鬼だと思ったね。普段は温厚な感じなんですけど、あの時はガラス越しに鬼がいるなって思いましたね。こんなのに時間かけてんじゃねーよ!って。はい!っつってね(笑)。

YUDA:13曲を4日で録るってすごい大変でした。

Shinke:歌詞とか、曲のアレンジとかもレコーディング直前まで、ああだこうだ練ってたんで、ケツがここだって決まってるんですけど、ついついのめりこんじゃって。アレンジがやっと決まったとか、ここのメロディはこうだとか、決まってすぐレコーディングみたいな。

YUDA:ボーカル録りが本当に苦労して。毎回一番時間がかかるのがボーカル録りなんです。リズムとか英語に厳しくチェックが入るので。もう、これから日本語にしようかな。

(一同笑)

Yoshi:この間出た『…OUT OF THIS WORLD4』で、YUDAさん日本語で歌っちゃえばいいのにみたいなことを言ったら、本当に日本語で歌詞書いてきて(笑)。

RYOSUKE:結局ボーカルって大事だからね。歌詞書いてくるやつが直前までそれを発表しなかったりするから、練習じゃなくて、本番一発みたいな。これ見せられて、はい、歌いますみたいな感じだから時間がかかるんだよね。事前の仕込みのゆるさが出たかな。

Shinke:普通仕事って、段取り8割仕事2割って感じじゃないですか。それが段取りが2割くらいしかなくて仕事がいきなり8割くらいだったから。

RYOSUKE:ただ、初期衝動はすごい出てると思う。実際パンクなんて2、3回テイク録って、それがダメでそれ以降なんて何がいいか分かんないじゃないですか。結局、一番初めにやったテイクが粗くても一番良かったりするから、そういった意味で限られた時間の中でせっぱ詰まってやらされてるのかもしれないけども、それが良かったりする感じの曲には録れてると思うんだけど。

Shinke:平均年齢30歳以上はいってますけど、初期衝動はすごい入ってますね。

RYOSUKE:聴きづらいかもしれないですけどね、そういった意味で。最近のはすごい綺麗に出来ているのが多いじゃないですか。歌も綺麗で作りこんでるなーみたいな。実際、ライブ観たら、これ本人か?みたいな。レコーディングの時間は2時間だったかもしんないけど、それを成形する作業が多いみたいな。そんな作品が多い中、エレサマのは赤裸々で音程ずれてんなとか、リズムよれてんなとかいうのはご愛嬌で、そういうバンドが作る、そういうバンドの音源が出来たんじゃないのかな。俺がまとめちゃった(笑)。

YUDA:本当にパンクロックやりたかったんです。それが全体に出た。カッコいいパンクだね。

RYOSUKE:昔なんて、みんなへったくそだからね。海外の聴いたりしても、へったくそじゃないですか。でも、そこに人間味が出てるっていうか。そのままみたいな。だから、ライブも想像できるし。

Shinke:手作り感みたいのはすごい出てると思う。ジャケとかも、一個一個切り貼りしてるんですよ。ベースのNAOKIが一晩中やって作って。歌詞も誤字とかあったりするんですけど、俺はそういうのもすごい好きだし、そこにむしろ愛着を感じてしまうんですよ。そこに愛着を感じてしまったら、抜けられないですね。

Mikey:録った感じとかジャケとかも俺たち1975年あたりの世代が通ってきた、絶対好きだっただろうなっていうのを、出せた感じの雰囲気はありますね。なので、パンクが好きなサラリーマンの人にも聴いてもらえるんじゃないかなって思います。若い人たちだけじゃなく、昔、Hi-STANDARDとか好きだった人にも聴いてもらえる作品なんでぜひ聴いてもらいたいですね。

profile

1996年アメリカコロラドにて結成しDESCENDENTS,ALLのドラムであるBill Stevensonのプロデュース(近年はNOFX,MxPxなど)により1st.ALBUMを完成させ、 アメリカ西海岸ツアーをAT THE DRIVE IN(現Mars Volta)とまわり、その後もAFI、Strung Out,Blue MeaniesとTOURを行い、華々しく日本に逆輸入するも 「文化の違いに戸惑う」→「行き先を見失う」→「腐りかける」という負の循環にどっぷりはまる。しかし!盟友NO HITTERとのSPLIT"CUT THE CHEESE"を 発売した2006年より見違えるほどの行動力を見せ(恒例の自主企画「THREAT BY EXAMPLE」は毎回大盛況!)、活動の幅から動員まで飛躍的に進 化していき、メンバーの士気も最高潮に達したこの夏に、POPセンス抜群な13曲を詰め込んだFULL ALBUM”NEVER MIND,LAH"を完成させた! ライブハウスが好きで、バンドが好きで、音楽が好きでたまらない各メンバーの持つ多大なバックボーンが入り混じる唯一無二のELECTRIC SUMMERの楽曲 は、Bill Stevensonも納得の前のめりに回転する土臭いビートに、POPでFUNな青臭いボーカルが乗る、人間臭さ満載の不純物一切無しの極上メロディ ックパンクである。専門店でレコードをあさる肥えたリスナーから、外資系にしか足を運ばない一般層まで幅広く納得してもらえる数少ないバンド「ELECTRIC SUMMER」がこの国に受け入れられる日が遂に来た!!