HMVインタビュー:GURU

2009年4月28日 (火)

インタビュー- TOPページインタビュー- ダンス&ソウル- GURU

Guru


Interviewed by 二木崇(D-ST.ENT)

「でも根底にあるのはVoice(声)だと思う。オレがMCとして最も重要だと思ってるのは特定のテーマについて表現することなんだけど・・・GURUとして、自分のパーソナルな経験を題材に、それをもっと多くの人が共感できるように表現することなんだ。」

--- ギャング・スター以前の話を少しお願いします。キース・EMCと名乗っていた頃のことです・・・

GURU  オレはボストンで育って、ボビー・ブラウンやロックステディなんかの故郷でもある、結構ラフなブラック・ネイヴァーフッドで育ったんだけどね。ニューヨークよりは規模が小さいのは確かだけど、丁度ニューヨークでヒップホップが誕生してからすぐにボストンにもヒップホップが伝わったんだ。ニューヨークの連中がよくストリートハスラーかなんか分からないけどそれぞれの理由でボストンに顔出してたからだと思うけど、たったの4時間のドライブで行き来できるからね。で、ヒップホップが(ボストンに)到来してから面白い現象が起こったんだ。あらゆる人種、それからそれぞれの文化が融合していくのを目の当たりにしたんだ。ボストンはオレが高校に通ってた頃には人種問題が顕著だったからね。でもヒップホップが登場した途端、あらゆる人種の子供たち、黒人も白人もアジア系もラテン系も全ての人種が一緒になって、ブレイクダンスバトルをしたりフリースタイルやグラフィティー、DJなんかをやるようになってったんだ。みんなが1つになれたっていうのは凄くクールだったと思う。

--- キース・EMCというMCネームを選んだのはどうしてなんですか?

GURU 自分の名前、政府に登録してある名前(=本名)から取っただけなんだ。ボストンを離れてニューヨークに活動拠点を移した際に、オレはダッフルバックと1500ドルだけもってボストンを後にしたんだけど、みんなからクレイジーだ、とか競争に負ける、とかって言われたんだ。クリスマスの翌日、雪嵐の中、家を出たんだけど、家族もみんな怒ってた。でも必死になって色んなバイトして、ブルックリンのベッドスタイのワンルーム・アパートに住んで、自分の夢を実現したんだ。実家に帰って、父親に助けを請うこともなかったから、親父もそういう自分の成長ぶり、夢を実現するために必死に頑張った息子を誇りに思ってくれたんだ。当時オレは親父には反抗的で、仲が悪かったんだけど、今じゃすごく仲良くなって、親父は87歳なんだけどね、オレがこんな風に成長してその経過を父親にみてもらえ、父との絆も強くなっていったことを嬉しく思ってるよ。

--- ではそういった進化(成長)過程がやはりあなたの音楽的スタイルに影響を与えていったんでしょうか?

GURU NYに行って初めてオレは完全なアーティストになれたんだと思う。ボストン時代にやっていたことは全て「デモ」だったんだ。NYについて間もない頃にやってたこともまだ「デモ」段階だったんだ。インディー・レーベルのワイルド・ピッチとギャング・スターとして契約を結んで、ファーストシングルで(The) 45Kingとやったんだけど、その辺のプロデューサーたちとシゴトをするようになって、マーリー・マールやDJ レッド・アラートとかがラジオでバトルをやってる頃の話だけど、あの頃はとにかく自分のレコードを(ラジオで)プレイしてもらいたいって必死になってて、インディー・レーベルのワイルド・ピッチがオレたちとレコーディング契約したいって言ってきて、オレが一緒にやっていた連中たちはまだボストンに住んでて、オレだけが一か八かでブルックリンのベッドスタイのワンルーム(アパート)に住んでたんだ。彼らは親から金もらってこっちにレコーディングしに来てたんだ。ワイルド・ピッチとギャング・スターのファーストシングルをやった後は、彼ら(註:ボストンの仲間たち)との繋がりを切ることになって、彼らはボストンに帰って、オレはそのままニューヨークに居座ったんだ。彼らはボストンを離れたがらずに、オレに全部仕事押し付けて、いいとこだけ持っていこうとしたんだ。そういう彼らに納得いかなかったからね。その後、彼らがどうなったかは知らないけど、ボストン出身のDJとビートボックスをやるヤツだったんだけどね。

--- その頃にグールーへとアップデートしたんですか?

GURU その通り。ギャング・スターのアルバムを作る前にグールーになったんだ。GURUっていうのは「Gifted Unlimited Rhymes Universal」のアクロニム(註:頭字語)なんだけどね。当時ビッグ・ダディ・ケインやラキム、KRSなんかのファンだったんだけど、でも今じゃオレたちみんな同じカテゴリーで括られることが多いんだけど、彼らはオレなんかよりも先にシーンに登場してたわけで、彼らにみたいになりたいって憧れてた存在で、その頃 オレはレコード契約もしてなかったし、ラン・DMCとかチャックD、クールG ラップとか彼らはオレよりも先輩で、彼らの影響をもろに受けてたからね。オレがヒップホップワールドに最初にインパクトを与えたのは90年代に入ってからで、ギャング・スターのアルバムをドロップしたときなんだ。;

--- ギャング・スター「Mostly Tha Voice」の、声がドープじゃなけりゃチルしてろ!というあなたのラインに影響を受け、自分なりに発声を意識し成功した日本のMCは沢山います。 改めて、あの曲、リリックの重要性についてはどうお考えですか?


GURU まさしくMostly Tha Voiceだって今でも思うよ。当時よくホーミーたちとドープなMCには何が必要かって話をしてたんだけど、オレがドープだって思うMCたちはみんな独特な声の持ち主で、彼らの声が特別な感情を与えてくれたんだ。MCたちの多くはワンパターンのフロウだったりライムパターンだったりしか持ち合わせてなくて、もし紙とペンを渡してリリックを書かせたら、同じパターンのライムの構造しか書けないMCが結構いると思うよ。オレの場合は音楽によって変化させるんだ。異なったライムのパターンを書いて、ビートやトラックによって使いわけしてるんだ。でも根底にあるのはVoice(声)だと思う。オレがMCとして最も重要だと思ってるのは特定のテーマについて表現することなんだけど・・・GURUとして、自分のパーソナルな経験を題材に、それをもっと多くの人が共感できるように表現することなんだ。社会的なことやアーヴァン・ライフ、男女関係、でもオレは女性を卑下したり、男尊女卑的な内容は避けるようにしてるんだけど、あまり政治的内容は扱わないけどむしろ社会評論的なコメントだったり、自分も逆境を乗り越えてなんとか成功できたから・・・といったメッセージを伝えたり、そういった(リスナーを)インスパイアしたり励ますような内容のリリックを作ってきたんだ・・・だからGifted Unlimited Rhymes Universalというコンセプトをしっかり進化させられたと思う、オレこそがヒップホップ界のGURUなんだって自負できるよ。マイクを握るたびに、ステージに上るたびに(オーディエンスを)励まし、啓蒙し、最終的にポジティブな気持ちになって帰ってもらえるはずだよ。だからライムっていう部分だけじゃなくて、今じゃ ソラーと一緒に7グランドっていうレーベルも立ち上げて、CEOというポジションにもなれたからね、GURUっていう名前も更に大きな意味を持つようになったと思う。

--- 自分以外でドープな声のMCを5人ほど挙げるとすると?

GURU  ラキム、それからスヌープ・ドッグ、それから・・・DMX、サイプレス・ヒルのB-Real、これで4人目だよね?新しいところではヤング・ジージー だね。他にも沢山いるけどね。

話が戻るけど、JazzmatazzはGURUの成長に重要な役割を果たしたんだ。1993年当時、ギャング・スターや、他にもトライブやピート・ロック&CLとか、みんなジャズのサンプリングをやっていたんだ。そこでオレはこのコンセプトを更に進化させてみたいって思って、実際にサンプリングをしていたジャズ・アーティストたちをスタジオに招いて、ヒップホップビートにあわせて演奏したり、ワールドクラス級のヴォーカリストに歌ってもらって、そういった全ての要素を融合してみたんだ。Jazzmatazzはもともとヒップホップからスタートしたんだけど、それからR&B、ファンク、ソウル、それからレゲェといったジャンルにまで発展していったんだ。でもあの頃がオレにとっても全く新しい分野に前進できた瞬間でもあったんだ。ギャング・スターの創始者というのに加えて、自分というアーティストを語る上で重要になってくるのはJazzmatazzの存在なんだ。この二つの要素を超えて、今の自分を作り上げたのはNYCの敏腕プロデューサーであるソラーと一緒にただ音楽を作るだけじゃなくて、ヒップホップにバランスを与えることを目指して会社を設立したこと、小さな会社ではあるけど、ムーブメントを起こしているんだ。オレたちの哲学だったり、大企業の歯車になってしまうチャンスもあったんだけど実際に今まで全て自分たちの手だけでやってきたんだ。自分たちなりの尊厳、完全性を守りたかったから、というのもそれこそがヒップホップが見失ってきたものだと思うから。

--- 7グランドを立ち上げて一番変わったことはなんですか?


GURU 一番変わったことは、ただアーティストでいるっていうだけでなく、自分の自身のボスになるということ、世界中にいる社員たちの面倒をみるという新しい責任を持ったことだね。

--- 現在育てているアーティストについて教えてください。


GURU 新しいアルバム8.0ではフィラデルフィア出身のK.-Born & Highpowerをフィーチャーして、彼らは素晴らしいMCで、現在ソラーがアルバムの制作にとりかかってるところで、いい作品に仕上がってきてるから今後彼らの活動について耳にすることになると思うよ。それからソラーも自分のソロアルバムの制作に取り組んでて、そのアルバムにはDJ DooWopが参加してるんだ。今はアーティスト中心のレーベルになっているけど、将来的にはもっと新しいアーティストを育てたり、映画やドキュメンタリー関連のプロジェクトも手掛けたいと思ってる。7グランドのヴィデオもソラーが監督してるんだ。アルバム7.0からの「Hood Dreaming」もそうだし、「Jazzmatazz (Vol.)4」の「Cuz I’m Jazzy」も「State of Clarity」も、それから「Timebomb Mixtape CD」から「Who Got It On Lock」や「Jazzy Wayz」、それからもうすぐリリースされる「DivineRule」なんかもね。だからツアーが終わったら、色々とまたプロジェクトに取り組まなきゃならないんだ。

--- 新作のタイトルを「忘れ物拾得所」にした理由は?


GURU 何処にいっても「ヒップホップにはこれが足りない」とか、「これを失ってしまってる」とか、もう「今のヒップホップにはうんざりしてる。メインストリームはコマーシャル要素の濃い作品ばっかりだ」とかって話をよく耳にしてたから、ヒップホップは忘れ物のようにどこかに姿をくらましてたんじゃないかと思ってね。でもここ7グランドで見つかったんだ。このアルバムを通じてヒップホップ界にオレたちなりのコントリビューションをしたいと思ったんだ。

--- 今回のアルバムから1〜2曲特に気に入ってるトラックについて簡単に解説していただけますか?


GURU オレが気に入ってるのはタイトルトラックの「Lost & Found」で、このトラックはアルバム全体のテーマを裏付ける楽曲だからね、リリックではヒップホップがゴミ箱に捨てられちまったけど、7グランドがちゃんと受取票を持って現れたから見つけられたって言ってるんだ。オレたちの文化をちゃんと理解していないフェイクな評論家たちが余計なことをしてるとかっていうような内容なんだけどね。それから「After Time」も気に入ってるトラックで、これはバンガーで、ビートがドロップした途端首の骨が折れちまうんじゃないかってな感じで頭を前後に振らずにはいられなくなるトラックなんだ。リリックもすごく意味の深い内容だし、この曲でソラーがMCとしてデビューしてる曲でもあるからね。彼のヴァースも強力だし、オレも彼のリックに応えるだけのシリアスなリリックをスピットしてるんだ。アルバムの全トラックがシングル候補にできる内容なんだけどね(笑)。

--- ソロ前作の延長線上にある“現在のアナタの表現、主張”が詰まっている感じがしましたし、あなたの現役間は十分伝わってきました。ご自身では、現在の自分をどう評価されてますか?


GURU 全てカルチャーへの愛からきてるもので、オレはソールドアウトになったこともないし、ソールドアウトなんていう夢を見てるわけでもなくて、ソールドアウトのチャンスがあろうとなかろうと、それよりもとにかくアートの形、それからカルチャーというものに忠実でいたい、ただそれだけなんだ。オレはそういった気持ちを絶対失わずに、またストリートとの繋がりも絶やさずにやってきたんだ。だから意欲(ハンガー)と気力は常に持ち続けていけると思うし、(アート/カルチャーへの)愛は絶えることなくオレの中に在り続けると思うよ。さっきも話したけど、新しい相棒のソラーとのケミストリーがオレの意欲を駆り立て続けてくれると思う。

--- ソラーとの制作工程等における関係は、ギャング・スターでの(プレミアとの)関係と似てるのでしょうか?


GURU いや、全く違うね。最初の出会いからして音楽を超えてのつきあいだったから、そこからまた発展していったわけで、全く違うよね。面白いことにスタジオでは互いにグラインドしあってる関係で、それぞれが独特な方法で互いにコントリビュートしている感じなんだ。彼はトラックをただ提供してくれるだけじゃなくて、コンセプトなんかのアイディアも一緒にくれて、オレの限界を更に押し広げようとしてくれるんだ。テンポとか色んなエレメントをぶつけることで、リリカルな部分でもチャレンジングな内容にしてくれるんだ。

--- 今作のゲスト・アーティストについてコメントしてください。


GURU さっきも話したK-Born & Highpowerっていうフィラデルフィア出身のMCたちと、ブロンクス出身のヒップホップ・ミックステープ・レジェンドのDJ DooWop、UKのオーマー、最高のソウル・シンガーだよ。

--- 日本のシンガー、アイーシャとのコラボ・ヴァージョンもやってますよね?


GURU 最高だったよ!!彼女のヴォーカルの幅は本当に広いし、あのトラックで彼女がやってくれたことはすごくインスピレーションになるものだったよ。このトラックを最初作ったときにすごく気に入ってたんだけど、彼女が加わってくれたことでアナザー・レヴェルにもっていってくれたんだ。

--- では最後に日本のファンにメッセージをいただけますか?


GURU 引き続きオレたちをサポートしてくれてること 感謝してるよ。本当の音楽、本物のヒップホップをしっかりレペゼンしてくれてることにもね、それからオレたちのアルバムが地球上でナンバーワンのヒップホップ・ジャズアルバムになれたこと、日本のファンのみんなのお陰だと思ってる。日本のアーティストたちや音楽もしっかりサポートして続けて欲しいし、また近い内に来日できる日を楽しみにしてる。それからリアル・ミュージックを送り続けたい、リアル・ヒップホップを死なせないために頑張り続けたいと思ってるんだ。

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