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ロックスタア虚構の自己演出列伝

Monday, April 6th 2009

ロックスタア虚構の自己演出列伝
地球に落ちて来た男
デヴィッド・ボウイ

 ロジャー・コーマン「赤死病の仮面」、トリュフォー「華氏451」等の撮影を務め、映画界にその才能を知らしめたニコラス・ローグが卓越したビジュアル・センスで描き出す極彩色の世界。政府の人体実験にされてゆく哀しきも美しい異星人、主人公のトーマス・ジェローム・ニュートンに扮するは、デヴィッド・ボウイ。当時のロック界において、”屈折した美”を演じさせたら、やはりこのボウイの右に出る者はいなかった筈。1976年公開。

ジャスト・ア・ジゴロ
デヴィッド・ボウイ

ブライアン・イーノ、ロバート・フリップらとの”ベルリン3部作(『Low』、『Heroes』、『Lodger』)”に勤しんでいた頃のボウイ、そして、本作が遺作となったマレーネ・ディートリッヒが競演した西ドイツ映画。第1次大戦後、故郷ベルリンに帰り、夜毎ジゴロたちが集まるバー“エデン”で働くようになった、ボウイ扮するポール。金持ち中年女のジゴロとしての生き方と、場末の踊子からハリウッドの人気女優へと変貌していった幼なじみのシリーへの愛との狭間で心を揺らす・・・。1978年公開。

ハンガー
デヴィッド・ボウイ

 社会派サスペンスの巨匠トニー・スコット&リドリー・スコット兄弟製作総指揮による異色のSFドラマ。ボウイは、カトリーヌ・ドヌーヴ扮する女吸血鬼ミリアムの伴侶ジョン役として、”不老不死の血と永遠の美”を手に入れたミステリアスな男を演じる。特殊メイク、女性同士のセックス・シーンなど、当時としては過激な描写が話題を呼んだ。同年、大島渚・監督『戦場のメリークリスマス』にも出演。1983年公開。

バスキア
デヴィッド・ボウイ

 27歳で夭逝した天才画家ジャン・ミシェル・バスキアの半生を、80年代のニューヨーク・アート界を背景に描いた伝記映画。バスキアの才能を見出したアンディー・ウォーホール役で出演のボウイにとっては、ウォーホールに捧げた即興歌を71年に発表していることもあり、まさに願ったり叶ったりの一役。他、デニス・ホッパー、ゲイリー・オールドマンら大御所に加え、コートニー・ラヴも出演。1996年公開。

おかしなおかしな石器人
リンゴ・スター

 ビートルズ後期には、『マジック・クリスチャン』、『キャンディ』など、積極的に役者活動を行なったリンゴ・スター。リンゴ扮する気弱な青年アトゥークが、部族長の女房ラナに一目惚れし、あの手この手で猛アタックをかける・・・というお気楽原始時代コメディ。この共演をキッカケに、現在の妻バーバラ・バックと結婚。この後も、『ザ・クーラー』、『ヤァ!ブロード・ストリート』等多数の作品に出演。1981年公開。

マイウェイ・マイラブ
リンゴ・スター

 デヴィッド・エセックス扮するロックスタアを夢見る男ジムの人生を描いた青春ドラマ。ニルソンの「1941」という曲からインスピレーションを受けて製作されたという。脚本・製作の段階から関わっているキース・ムーンの説得により、出演することとなったリンゴ・スターが主人公の友人・マイク役として登場。キース・ムーンも凄腕ドラマーとして出演している。1974年公開。
ビリー・ザ・キッド:21才の生涯
ボブ・ディラン

 サム・ペキンパー監督による、西部開拓時代のアウトロー、ビリー・ザ・キッドとパット・ギャレットの死を通して、去り行く時代への鎮魂歌を描いた作品。ビリー役のクリス・クリストファーソン、ビリーの相棒エイリアス役にボブ・ディラン、ビリーの恋人マリアにリタ・クーリッジという3大アーティスト共演が当初話題になるものの、肝心のディランの出番は少なく、セリフもほんの僅か・・・。1973年公開。
ボブ・ディランの頭のなか
ボブ・ディラン

 ボブ・ディラン脚本・主演による一風変わった近未来ファンタジー。軍事政権が支配する架空の独裁国家を舞台に、カリスマ・ミュージシャン(ボブ・ディラン)の復帰コンサートと政権交代の珍騒動が交錯。ペネロペ・クルス、ジェフ・ブリッジス、エド・ハリスといった豪華キャストの出演も見逃せないが、何といってもクライマックスのライヴ・シーンが見どころ。劇中のディランの名曲群は、世界中のアーティストによるカバー楽曲を使用している。2003年公開。
ダウン・バイ・ロー
トム・ウェイツ

 既に幾つかの映画で端役として出演していたトム・ウェイツの記念すべき初主演映画。『ライフ・イズ・ビューティフル』のアカデミー賞俳優ロベルト・ベニーニ共演によるジャームッシュ・ワールドの集大成的3作目。ヴィム・ヴェンダース作品で知られるロビー・ミュラーが撮影。ある事件に巻き込まれ逮捕された、トム扮する落ち目のDJザックは、同じ房にいるジャック(ジョン・ルーリー)、ロベルトと脱獄を図る・・・。1986年公開。
コーヒー & シガレッツ
イギー・ポップ&トム・ウェイツ

 ジム・ジャームッシュ監督が、“コーヒー”と“タバコ”をめぐる11のエピソードを綴った珠玉の短編集。ロベルト・ベニーニ、ケイト・ブランシェット、トム・ウェイツ、イギー・ポップをはじめ、個性溢れる俳優やミュージシャンが集い、コーヒーを飲みながら、あるいはタバコを吸いながら、とりとめのない会話を繰り広げてゆく。あくまでもストーリーはフィクションで、各々の性格や出演作によって役作りが行われたという。2004年公開。
フィッシング・ウィズ・ジョン
トム・ウェイツ

 ジム・ジャームッシュ作品でおなじみのジョン・ルーリーが、素晴らしい仲間たち(ジム・ジャームッシュ、トム・ウェイツ、マット・ディロン、ウィレム・デフォー、デニス・ホッパー)を引き連れて釣りをしに世界各地を冒険。第2章では、ルーリーとトム・ウェイツが、ジャマイカ、ポートマリアのジャングルをカヌーで旅をする。”演技”と云っていいものなのか、ほぼ”素”であろう出演者達のアドリブ、微妙なさじ加減の会話がユルくて◎。1998年公開。
ストレンジャー・ザン・パラダイス
ジョン・ルーリー、リチャード・エドソン

 NYを舞台とする「The New World」、クリーブランドを舞台とする「One Year Later」、フロリダを舞台とする「Paradise」の3部構成からなる、ジム・ジャームッシュ監督の長編映画第2作目。主演のジョン・ルーリーは、ラウンジ・リザーズ、リチャード・エドソンは、ソニック・ユースのドラマーとして当時活躍。一向に物語が進展しないロード・ムーヴィーながら、独特のリズムと間合いを含むジャームッシュの世界に、シニカルな笑いが響く。1985年公開。
ミステリー・トレイン
ジョー・ストラマー

 メンフィスのホテルを利用することになる3組の登場人物たちのそれぞれの出来事を3編に分けたオムニバス形式で、各編のストーリが同時進行しお互いに影響し合う群像劇作品。監督は、ジム・ジャームッシュ。タイトルは、エルヴィス・プレスリーの同名曲に由来。ジョー・ストラマーは、第3編「ロスト・イン・スペース」で、恋人ディディに見放された”エルヴィス”と呼ばれるイギリス人ジョニーを好演。ジョー出演映画では、ロックスタア総出演のアクション・コメディ『ストレイト・トゥ・ヘル』もファン必見。1989年公開。
レディオ・オン
スティング

 日本でも1982年に公開されて熱狂的なファンを生み出した、巨匠ヴィム・ヴェンダースが手掛けた心揺さぶるロード・ムーヴィー。70年代のイギリス。工場で働きながらラジオDJを務める主人公ロバートは、自殺した兄を死に追いやった原因を探そうと、ロンドンからブリストルへ車で旅に出ることを決意する・・・。ちょい役ながら、ギター片手に主人公と歌うミュージシャン役で登場する若き日のスティングも。スティングは、『さらば青春の光』、『デューン/砂の惑星』等、出演作にも見るべきものが多い。1979年公開。
ホワット・アバウト・ミー
ジョニー・サンダース

 NYアンダーグラウンド・パンク・シーンのドラマーとして活動していたレイチェル・アモーディオが、かねてより興味を持っていたホームレスの人々を描くために私費を投じて製作した本作。突然、身寄りがなくホームレスとなった女性がたどる数日間を描いた物語。主人公リサを演じるレイチェル自身の他、パーティで知り合う男ポールをリチャード・ヘル、リサの唯一の身内である兄ヴィトーをジョニー・サンダース、さらには、ディー・ディー・ラモーン、リチャード・エドソンなどが出演。1992年公開。
スミサリーンズ
リチャード・ヘル

 1980年代前半のNYイースト・ヴィレッジ・シーンをリアル且つコミカルに描いた作品。当時のパンクなライフ・スタイルを象徴するニューウェイヴ・ファッションや音楽、さらには、ミュージシャン役で出演しているリチャード・ヘルの伊達男ぶりなど見どころ満載。1982年に、カンヌ国際映画祭でパルムドールにノミネートされた最初のアメリカ・インディペンデント・フィルム。ミュージシャンになる夢を叶えるためにNYに来た少女。自分に想いを寄せる少年とロック・ミュージシャンの間で気持ちが揺れ動く青春映画。 1982年公開。
キャッチ 22
アート・ガーファンクル

 戦争の不条理に錯乱していく人間模様を描くブラック・コメディ。サイモン&ガーファンクルの曲をサウンドトラックに起用し大ヒットを記録した映画『卒業』で知られるマイク・ニコルズ監督直々のオファーで出演と相成ったアート・ガーファンクル。イタリア人娼婦に恋をしてしまったネイトリー大尉の役を好演。アートのこの映画出演が、S&Gの解散の引き金となったことはつとに有名。1970年公開。
ジェラシー
アート・ガーファンクル

 ボウイ主演『地球に落ちて来た男』のニコラス・ローグ監督による恋愛ミステリー。自由奔放な恋に生きるミレーナに扮するテレサ・ラッセルと、彼女を独り占めにしたいアレックスに扮するアート・ガーファンクルが体当たりで演じた大胆な官能シーンは、ニコラス・ローグならではの映像美によって、妖艶で詩的な雰囲気を際立たせている。1979年公開。
断絶
ジェームス・テイラー

 本作でアメリカ映画を初めて手掛けることとなった、イギリス人監督モンテ・ヘルマンによる傑作アメリカン・ニューシネマ。当時、若手のSSWとして名を広めつつあったジェームス・テイラーと、ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンを主演に大抜擢。賭けレースに参加しながら旅を続けるドライバー(ジェームス・テイラー)と、相棒の整備工(デニス・ウィルソン)という役どころを見事に演じたものの、ストーリーの難解さが祟り、興行的には失敗に・・・。因みに、映画に彼らの楽曲は一切使用されていない。1971年公開。
歌え!ロレッタ愛のために
リヴォン・ヘルム

 ザ・バンド解散から3年。80年代に入るとリヴォン・ヘルムは、ソロ活動と並行し俳優業にも果敢にトライ。カントリー界の女王となったロレッタ・リン(主演シシー・スペイセク)の半生を描いた本作で、ロレッタの父である炭抗夫テッドに扮し銀幕デビュー。個性派の名脇役としての評価を決定付けることになった。この他、「ライトスタッフ 」、近年では、「ザ・シューター」、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」などに出演し、音楽活動同様、燻し銀の演技を披露している。1980年公開。
未来警察
ジーン・シモンズ

 ”近未来の巨大都市を舞台にしたSFアクション”というありがちな設定の中、わかりやすすぎる未来型ロボットの描写と共に、ジーン・シモンズが素顔で映画初出演。不敵な悪党ルーサー役に扮し、未来型殺人ロボットや・・・そんな感じの誘導小型ミサイルのようなものを次々に繰り出す・・・今観るとあまりの”時代錯誤”ぶりに抱腹絶倒の1本。キッス・ファンならば一度は観ておきたいもの。ジーン・シモンズは、『ウォンテッド』での悪役ぶりもハマっている。1984年公開。
コーヒー & シガレッツ
オリビア・ニュートン・ジョン

 ジョン・トラボルタとの共演作「グリース」に続いてオリビア・ニュートン・ジョンが主演したミュージカル・ファンタジー。数々のヒット曲を生んだELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のディスコ・サウンドが全編を彩る中、往年のミュージカル・スター、ジーン・ケリーと息の合ったダンスを披露する。公開当時、映画自体は酷評されたものの、サウンドトラックは大ヒットを記録。2007年には、ブロードウェイ・ミュージカル版が製作・上演され、こちらは各メディアで絶賛された。1980年公開。
ボディ
マドンナ

 情事の最中に死亡した富豪老人の若い愛人レベッカ役を演じるのは、胸すく脱ぎっぷりと攻撃的なセックス・シーンで観る者を圧倒するマドンナ。殺人容疑をかけられたレベッカの弁護士に就いたフランクは、事件に疑問を抱きながらも、次第にレベッカの魔性の虜に・・・。公開当時にリリースされた写真集「SEX」、最新アルバム『エロティカ』との三位一体となるエロティック・サスペンス。が、脚本のツメの甘さ、セックス・シーンの表現力の乏しさもあってか、見事、ラジー賞最低主演女優賞を受賞。1993年公開。
ダンサー・イン・ザ・ダーク
ビョーク

 2000年の第53回カンヌ国際映画祭で、最高賞であるパルム・ドールを受賞し、ビョークは映画初出演にして主演女優賞を獲得。ビョーク演じるチェコの貧しい移民セルマは、遺伝性疾患のため衰えていく視力と闘いながら、身を粉にしながら働く。そこに立ちはだかる人為的な悪意。現実逃避の表現手段にミュージカル・シーン(空想世界)を盛り込み、酷な現実とのコントラストを見事なまでに浮かび上がらせている。2000年公開。