THA BLUE HERB インタビュー 3

2009年2月28日 (土)

tha blue herb interview
ILL-BOSSTINO INTERVIEW page 3


”TAKE ME HIGER”だよ、はっきり言って。

”お客TAKE ME HIGHER”




--- 大小さまざまなステージをやってこられて、その違いっていうのはありましたか?

BOSS: 全くない。 確か36人だったもん。最高少なかったの。36人と1200人(リキッドの集客数)だよ。でも、プログラムは変わらなかったわ。全く同じだった。長くも短くもない。俺らのやる事はなにも変わらなかった。

--- 1番少なかった日のオーディエンスはどういう反応だったのでしょう?

BOSS: LIVEっていうのは相乗効果なんだ。お客によって俺たちが上げられて、お客に俺らが連れていかれる事も多々ある。リキッドなんてその典型的な極みって言うか。”TAKE ME HIGER”だよ、はっきり言って。”お客TAKE ME HIGHER”っていうか、本来は俺らがお客をTAKE YOU HIGHERするっていう風にみんな捉えがちなんだけど、コミュニケーションってやっぱ相乗効果で、お互いが高めあって思いもよらない所までぶっ飛んでしまうという。それがやっぱりリキッドルーム見てると、完全に明らかなんだけど。それが少ないとそうはいかないっていうか。みんなそれぞれ36人が少ないっていうことは自覚してるし。明らかに“俺の言葉÷1200”じゃないんだよ。“俺の言葉÷36”だよ。めちゃめちゃ濃度が濃いっていうか。

--- 自分がその36人の中にいたらって考えると、THA BLUE HERBのあのステージをそんな濃度で見せられたら立ってられるかなって考えてしまうんですが。

BOSS: その36人は、ばっちりだったよ。最高にばっちりだった。
むしろ、36人のお客を満足させられない奴が1200人を満足させられる訳ないじゃんって、逆に俺は思うから。1200人の時はもちろんだけど、むしろ36人のとき、ものすごいエネルギーでやってたよ。

--- そのエネルギーは、ちょっと怖い気もしますが体験してみたいですね。

tha blue herb インタビュー boss the mc hmv


BOSS: でも、まぁ昔はいつもそうだったからね。 その36人がそれぞれ友達を連れてきてくれれば、次の年には72人になるし。そうやってそもそもTHA BLUE HERBは広がって来てるんで。

--- 僕自身、友達から「ブルーハーブってやべーのがいるよ」って誘われて観たのがきっかけですし。

BOSS: そう。今こうやってリリースタイミングでインタビューさせてもらってるけど、ホントの本質っていうのは、やっぱりLIVEに行った人間が言う事が一番リアルだからね。それで実際行って本人が感じた事がリアルだからね。そうやって俺ら広がって来たんで。

--- LIVE中、DYEさんの創り出す音とBOSSさんの言葉が、ホント呼吸のようにシンクロしていく瞬間っていうのが見ていてものすごい気持ちいいんですが、その瞬間の、やってる側であるBOSSさんの心理、感覚っていうのはどんなものなんですか?

BOSS: いや、でも基本僕らも没頭してるからね。その時は完全に超えちゃってるから。むしろ、2時間の内、ちょっと冷静に「はっ!」て戻る事もあるけど、その時までは「あっ、もうこの曲まで来てた」って事の方が多いよ。

--- DVDの中で仰っていた“調和の極限にある静寂”すごくきれいな言葉だと思います。僕らも見ていて始めは乗って観てるんだけど、次第にLIVEの凄みに圧倒されて立ち尽くしてしまうみたいな、そういう静寂をお客側として僕は感じることがあるんですが。

BOSS: まさにそういう事だね。よくある事だね。俺らのLIVEでは。

--- その瞬間っていうのは、さっきお話をした音がシンクロしていく瞬間のちょっと後だと思うんですが、また別の感覚が生まれるものですか?

BOSS: うーん。でも俺らは静かになろうが盛り上がろうが、どちらも有難いんで、全然どっちでも良い。もう、むしろそこは好きにして欲しいわ。好きに楽しんで欲しい。そこで静寂の緊張感を味わうのもいいし、猛烈にみんな上がっていくのも良いし。ただ、そういうのは一晩の中で何回も起きる事なんだよ。一晩を通して静かだった訳でもないし、リキッドがまさにそうで、うるさくなったり、さがったり、それが常に繰り返されていくから。全然、そのお客の感じるままで良いと思うよ。

--- その静寂が広がったままLIVEが終わる瞬間っていうのもありますよね。

BOSS: あるね。

--- 静寂が広がってLIVEがここで終わりという瞬間に、普通だったらLIVE終わって直ぐにわーって歓声が起こるところ、静寂の余韻があって歓声までワンテンポ遅れるみたいな。

BOSS: あーいう瞬間が超リアル。

--- LIVE終わって名残惜しいなって思うことは?

BOSS: そういう事も多々あるね。

--- LIVEでBOSSさんが発する言葉は膨大な量じゃないですか。BOSSさんの言葉を借りるなら数億の言葉を。

BOSS: うん。

--- LIVEに行ったオーディエンスの立場からすると、その数億の言葉の全てを持ち帰りたいんだけど、実質それは不可能なわけで、実際この小さな脳が覚えてられるのは、ごく僅かっていう事実にジレンマを感じる事があるのですが。

BOSS: うーん。基本僕もすごい好きなDJとか聴きに行ったりして、一晩聴くと10時間くらい聴くのね。

--- そんなに??

BOSS: 札幌のDJって普通に半端ないからさ。そうやって一人のDJを最初っから最後まで聴くと、やっぱ同じ感覚になるよね。次の日になったときに覚えている事がそんなにないっていうか。もちろん覚えている事もたくさんあるんだけど。ちくしょうなんでもっと覚えてられねぇんだと思うけれども、やっぱり全体の中で自分が何をどう感じられるかって事だから。俺は数億の言葉を書き連ねるけど、やっぱりその中で最終的に「良い夜だった」と思ってもらえればそれでいい訳よ。「今日は良い夜だった。」「今日は全然面白くなかった。」どっちかしかないんだったら、俺は「面白かった」って思って欲しいんだよね。 そのために無数の言葉を積み重ねているに過ぎないって言うか。「今日は良い日だったな」ってそう思って欲しいがために、そのDJは曲をかけ続けたっていう、その中でも聴いて欲しい曲がたくさんあっただろうけど。でも最終的にその日のLIVEが、その日のDJ PLAYが良かった、楽しめた。明日もまたっていう気持ちになれるんだったら、それでいいと思う。むしろそれが全てじゃない?

--- 最終的には本当にシンプルな。

BOSS: そうそう最後は絶対そう。その表裏一体が絶対あるよ。むしろ言えば言うほどそこに行くと思う。数億の言葉を連ねれば連ねるほど、最後の感謝の一言が重くなっていく。最終的にはそこしか、その一言を言うために数億の言葉を連ねているに過ぎないっていうか。そういうものだと思う。
(次のページに続きます)



THA BLUE HERB / Straight Days / Autumn Brightness Tour'08
昨年秋に敢行された「AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08」の全貌を2枚組DVDに収録。DISC 1は仙台から宮崎までの全行程を収録。ここにはLIVEの模様はもちろん、行程での"素"のメンバー、スタッフの姿を伺い知ることが出来る。これまで見られなかった、ILL-BOSSTINO のプライベートな姿が"笑い"と共に語られており必見!対するDISC2はツアーファイナル、東京リキッドルームでのライブをストレートに収録。THA BLUE HERBの熱すぎるあの夜が蘇る。2枚のDISCを全く別の姿勢で見ることが出来る最高のDVD!