「TAO」 第2回 :ゲスト→都築響一 1
Thursday, February 12th 2009
--- 失礼します・・・。都築:どうぞー。で・・・今日は何だったっけ?(笑)。
--- (笑)。ええと、わたしの"TAO"っていうインタビュー企画がありまして・・・。
都築:"TAO"?
--- ええ。"TAO"は「道」とか「方法」って言葉を意味するらしいんですけど・・・その方の歩まれてきた"歴史"を振り返りながら、今までどういう活動をされて来て、現在に至るのか・・・というお話しをさせて頂きたいと思いまして。ですから今日は、都築さんの・・・。
都築:ええっと、それってWEBでやるんだっけ?
--- はい、WEBです。
都築:僕もさ、最近、WEBマガジンを1個始めたの・・・だから、見て?(笑)。
--- スナックのですよね?(笑)。
都築:そうそう。
--- すごくいいタイトルですよね。(ちなみにタイトルは、"都築響一の東京スナック魅酒乱 天国は水割りの味がする")
都築:ありがとうございます(笑)。文句が来るまではあれで行こうと。
--- 文句が?
都築:うん、ミシュランって何か、結構もううるさいらしくてさ。
--- そうなんですか?
都築:うん。
--- "魅"せる・・・"酒"に・・・"乱"れるで、"魅酒乱"ってもう、すばらしいです(笑)。サブタイトルの"天国は水割りの味がする"も本当に・・・。
都築:うん(笑)。まあそれもね、何とか逃げられないかなって思うんですけど・・・でも、明日も次の更新なんだけどさ・・・。
--- 書いてありましたね。
都築:そうでしょう?
--- あの・・・赤羽のスナック、"マロニー"ですよね?(笑)。
都築:"マカロニ"(笑)。
--- "マカロニ"でしたね・・・(笑)。
都築:もう、すんごいでしょう(笑)。もうねえ、さらにすごい物語が展開しますからね、明日。
--- あの・・・何か、3曲マスターが歌ってる・・・(笑)。
都築:そうだよ(笑)。「1曲歌って下さい」って言ったらさ、「えー、じゃあ、3曲!」とかって言ってるからさ(笑)。でもさ、WEBマガジンはおもしろいね。字数も制限はないしさ。だって、曲も入れられるとさ、全然雰囲気違うじゃない?
--- 違いますよね。
都築:最初さ、いろいろ考えたんですけど、動画じゃダメなんだね、やっぱりね。動画だとやっぱりさ、Youtubeとかに張り付けりゃ簡単なんだけど、観やしない訳よね。やっぱその時間をさ、その時間通りに観なきゃいけない、その時間取られちゃうじゃない?でもさ、静止画と音っていう方が何か、可能性あるかなっていう気もちょっとしたね。もちろん動画もいいんですけど、何かねえ、想像力が静止画と音の方が膨らむかなって気も・・・。
--- 歌ってるところのお写真があって、ページの下に歌ってる音源があって・・・っていう方が・・・。
都築:そう。で、「その音源をipodに入れといてくれ」・・・と。
--- すごい臨場感がありますよね、本当に生の・・・。
都築:でしょ?だって、これで録ってるんだもん。(取材用に録らせて頂いているような"テレコ"であの音源は録音されているそうです)
--- そうなんですね(笑)。
都築:うん、ライン録りとかじゃないんだもん。でもさ、毎週1回更新すると、だいたい1年かけて50件出来ると・・・ね。で、50曲の音源が集まるわけよね?(笑)。
--- すごいですね(笑)。
都築:でしょ?(笑)。それをさ、これの連載の本を作りたいんで、それに本当は付けたいんだけどさ。
--- 本の特典として?
都築:"CD BOOK"って形で出せたらいいなと思うんだけど、「一体これは、権利関係とかはどうなってんのか」みたいなもう・・・複雑すぎてわからず・・・(笑)。だってさ、バックグラウンドの音は、UGAとかDAMとかのものだし、「でも楽曲は?」みたいな・・・もうわかんなーい(笑)みたいな感じ。
--- どうなんでしょうね?(笑)。権利は、楽曲の作曲家とか作詞家とかにも入りますよね?
都築:うん、ね、それだけだったら簡単だけど、じゃあねえ・・・「カラオケの会社はどうなんの?」みたいなことだと・・・わかんない(笑)。
--- (笑)。WEBだと、そのへんの規制が・・・チェックが入らなければ上げられちゃいますもんね。
都築:別にね、お金払うのはいいんだけど、どう払うのかがわかんないっていう。まあ一応、インタビューの一部なんであれは、っていうね。
--- インタビューの最後に音源が載ってるものって、あんまりないですよね。
都築:そうだよね。何かこう、"水割り感"を出したかったわけ(笑)。
--- "水割り感"(笑)。
都築:読んでるだけで、その場所に行ってる気持ちになって欲しかったんだよねえ・・・。
--- "WEBマガジンでスナックを巡礼する企画"を立ち上げようと思われたきっかけは、"カラオケファン"のあの連載からですか?("カラオケファン"という雑誌で、演歌歌手のご自宅に行き、取材をするという企画)。
都築:そう、ええとね、やっぱりね、それは僕と一緒にやってる若い編集者が立ち上げてくれたんですけど、何かまあ演歌もあるんだけれど、スナックっていう場所自体がすごいおもしろくて、そのちょっと前から、田舎のスナックを巡る企画みたいなのをやってるので、「そういうのを東京でもやりたいよね」っていうね。「何もスナックは、田舎にだけあるわけじゃなくて、都心にもあるだろう」っていうんで、みんなスナックっていうと、田舎っていうのと直結させるけど、「そこにもあるじゃない」みたいな感じで、逆に、東京都心とかでね、たくさんあったらいいなっていうか。
だけど何かさ、こう・・・"隙間狙い"をしてるわけじゃないわけだよね?これはね。未だにさ、本当、日本人の9割は飲むって言ったら、スナックなわけじゃない?飲んで歌うって言ったら、スナックなわけだよね?おしゃれなワインバーとかさ、そういうのは、大都会の一部の話し・・・っつうか、東京と大阪ぐらい、みたいなさ。あとはもう全員飲むのも歌うのも、スナックなわけだよ。だけどさ、これほど本当に居酒屋の本から何から何から・・・もう全ー部あんのに、スナックの本だけはないの。統計がちゃんとしたのあんまないんだけど、一説には10万件以上・・・密接には27万件・・・10万から20万くらいの間で今まだ、スナックってあるわけよ。だけど、それだけメジャーなものについて、1冊もないっていうのがおかしいっていうさ。それって、すごい不思議だよね?嫌われてるとかそういうレベルじゃなくて、1冊もないんだからさ。
--- 作ろうとする人がいない・・・。
都築:っていうのも、不思議だと思わない?だってさ、そんな「老舗の何とか」・・・みたいなとこよりはるかに多いわけじゃない。で、はるかに行ってるわけじゃない、みんな。なのに、「何でだろう」っていう。だから、僕が作ってきた本っていうのは全部、それなんですよ。で、まあね、「日本の人が9割9分は狭い家に住んでるだろ・・・」ってねえ?だけど、「1冊もないんでおかしい」って思って作ったわけよね、「TOKYO STYLE」っていう本を。
で、9割の人は普通の田舎に住んでて、適当におもしろいところはあるけど、名所、旧跡はない、と。温泉もない、と。でも、たのしく暮らしてるっていうとこから、「珍日本紀行」っていうのを作りたかったわけだし・・・。「ラブホテル」の本だってさ、「グランドハイアットとか泊まれる人は少数だけど、ラブホを使ったことがない人も少数だろ」っていうんで、でもそういう本も1冊もない・・・っていうんで作ったわけよね・・・。でもさ、よく、「どうしてそんな変わった・・・他の人がやんないネタを探すんですか?」っていう話しになるんだけど、そうじゃなくて、僕の場合はこう、プロの人の"怠慢"によって、僕の仕事は成り立ってるわけよ。
--- "怠慢"によって(笑)。
都築:そう(笑)。つまりそういうのはさ、インテリア雑誌とか建築雑誌とか旅行雑誌とか、そういう人達がねえ、自分達の専門分野じゃない?例えばさ、建築雑誌の人がやれば、僕よりはるかに簡単にそういう本は出来るわけだしさ、写真も撮れるしね。旅行メディアがそういうことをやれば、僕が一人で運転して回るよりはるかに簡単なんだけど、そういう人達はやんないから、もしやっててくれれば僕は一読者として、その本買えばいいわけだよね?それで、それ持って行きたいっていうだけのことで。だけど"怠慢"でやってくんないから、やむを得ずやるっていうことで、僕のこの20年間ぐらいの仕事は成り立って来たっていうことですよ、何か。
--- うーん・・・。
都築:だから、こう・・・何て言うのかなあ・・・やむを得ず、いたたまれずさあ・・・ね?やってることがこれにつながったわけであって、こう・・・好きなことばっかりやってるとかっていう段階じゃないんだよね。で、特にね、記録しておかないとなくなっちゃうみたいなのもあるわけじゃない?昔っぽいラブホテルだの、秘宝館だのね。そういうの本当こう・・・"絶滅危惧動物の記録"を撮ってるのと一緒の気持ちなわけよ。だから別に、好きでやってるわけじゃない、と。僕としても、きれいなお店でお酒飲みながら、スナックの本ぱらぱら見てる方がたのしいの、たぶん(笑)。でも、そういう本がないからしょうがなく・・・やむを得ないっていうね。
--- 自分でやるしかない・・・。
都築:うん、そうなんだよ。だから、若い編集者の人とかで、「好きな仕事だけ出来ていいですね」って言われるけど・・・。
--- 言われるんですか?(笑)。
都築:うん(笑)。でも、「違うんだよ」っていうさ(笑)。「好きじゃないの」っていう、やらされてるだけっていうね。そういう感じはすごい、うーん、何か、お仕事全般しますねえ。
--- 誰かがそれをやっていたら、都築さんはそれを一読者として・・・。
都築:そう。だから、みんなこうさ、間違いがちなのは、好きなことをやれるのはそれはたのしくていいんだけど、そういうのとは違うモチベーションっていうのも世の中にはあるわけよね?「俺が餌をやんなきゃ、こいつらは死んじゃう・・・」と思って、やむを得ず毎朝早起きしてね、冬の湖とか行って、鶴に餌やってるじじいとかさ(笑)。それは、好きでやってるわけじゃないわけよ、しょうがないんだよ。だから、何かもっと違うものに突き動かされてね、餌やってるじじいもいれば、絵描いてるアウトサイダーアーティストもいれば、僕みたいにね、スナック巡ってるジャーナリストもいるっていうことね。だからこう、好き嫌いとは違う範疇の仕事のモチベーションっていうのも、世の中にはあるってことを知ってもらえるとうれしいねえ。
--- 本を通してそういうことを・・・その存在をまず知ってもらいたいっていうこともありますよね?
都築:そうだよね。それで知ってもらってさ、例えば・・・秘宝館とかに少しでも行ってもらえれば、ちょっとは寿命が延びるかもしれないじゃない?まあ、見ないかもしれないけどね、一応みんなが少しは見れると、なくなる前にね。だから、そういう姿・・・そういうことだけでも・・・本当はもっとちゃんとねえ、テレビ局とかがちゃんと取材したりとかすればいいんですけど、世界遺産はやっても秘宝館はやらないわけじゃない(笑)。だからもう、しょうがないよ。文句を言ってる前にねえ、自分達でやると・・・っていうことなんですよね。
--- 例えば、そういう企画があった場合にどこかに持ちかけたとして、だいたいいい反応っていうのは返って来ないんですか?
都築:来ないよ(笑)。
--- 来ないですか・・・(笑)。
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