石橋英子 INTERVIEW
■アルバム『drifiting devil』の完成おめでとうございます。完成して率直な感想を聞かせてください。
作ってよかったと思います。私ひとりではこのアルバムは発売までに至りませんでした。参加して頂いた素晴らしいミュージシャンや、出して下さったレーベルや、サークルサウンズ(自由が丘にあるスタジオ)のマスターや、応援して下さった方々に感謝しています。
■タイトルを直訳すると“漂流する悪魔”となるのでしょうか?これにこめられた意味を教えてください。
私はよく一人で夜の町を徘徊します。そんなとき、悪い事を思いつく世界中の人に想いをはせます。そしてその人たちは私とあまりかわらないのではないかと思うのです。光を求めて、闇の中を彷徨う悪魔を探す旅は私の音楽活動と深く結びついているような気がします。
■石橋さんならではの豪華なメンバーが参加されています。みなさんどういった経緯で参加されたのでしょう?
曲が出来たときに、直感で「あ、あの方にお願いしたら素敵だな」と思いついて連絡させて頂きました。
七尾旅人さん・・・七尾さんは、私が七尾さんの音源(『ひきがたり・ものがたり
vol.1蜂雀(ハミングバード)』と、『911FANTASIA』)を聴いて感動して、自分主催のイベントに参加して頂いたのが最初の出会いです。それから七尾さんのライブで演奏に参加させてもらったりしているのですが、七尾さんの生の歌やパフォーマンスも本当に素晴らしく、いつも心が新しく豊かになりました。かけがえのない大切な大切な友人です。『Fearless[stop]』と『drifting devil』という曲で参加して頂
きました。わざわざ私の故郷の音楽ホールまで来て頂いて、魂のこもった、新鮮な歌声を入れて下さいました。録音の間とても楽しくて、一人っきりで作業している私を勇気づけ、光をあたえて下さいました。なんと!曲順も考えて下さったのです!
山本精一さん・・・以前から私は山本さんのギターと歌声が大好きでした。でも、ちゃんとお会いしたのは昨年の夏に大阪のライブでご一緒した時でした。初めてお会いしたときから、山本さんの佇まいというか、匂いみたいなものに、なんだかとてつもない親しみや懐かしさみたいなものを感じていました。あんまりうまく言葉にできないのですが、この感覚は説明のしようがないです。山本さんには『KOkKA』という曲を、あらかじめ聴いて頂いたり、全く説明しなくてもわかって頂けました。曲を録音当日に聴いて頂いて、すぐに録り終わりました。限りなく優しくて、心を貫く、声と音を下さいました。
日比谷カタンさん・・・日比谷さんとは、昨年から何度か共演させて頂いたことがあり、初めてライブを拝見させて頂いたときは本当にびっくりしました。自分のいる場所がどこかわからなくなりました。特別な世界に連れて行って下さるストーリーテラーです。ギターのテクニックだけでなく、声の人格の幅広さも無限です。まるでオペラでもみているような気分になります。『橋の下にて』で、曲の登場人物で或るがの如く、夜の世界の空気の音を、ギターと歌で見事に美しく描いて下さいました。私の気まぐれな譜面台を叩いた音に合わせてリズミカルなギターを弾く事は、本当に骨の折れる作業だったと思います。でも優雅に、しなやかに曲を受け止めて下さいました。
ナスノミツルさん・・・ナスノさんは、言わずも知れた、あらゆる音楽の現場から引っ張りだこの眩いスーパーベーシストです。一昨年くらい前でしょうか。最初にお会いしたのは、、、確かある人の企みで、ライブで私の曲をナスノさんが一緒に演奏してくださる事になったのが最初だと思います。でも、その前から私はナスノさんの事を知っていました。それから仲良くさせて頂いて、本当に気のおけない方です。物腰のやわらかさとは裏腹の、キビしい職人のような厳密な音づかい、アグレッシブなパフォーマンスにはいつもひれ伏すような思いで、ライブを見させて頂いたり、一緒に演奏させて頂いてます。今回のレコーディングでは、短い時間で手際よくかっこいい鮮やかなプレイをして下さいました。私はかっこいい!と何回も叫んでいました。
坂本弘道さん・・・坂本さんは今年の五月に初めてお会いして、ライブで私の曲を一緒に演奏して下さったのが初めての出会いでした。坂本さんのパフォーマンスはちょっと言葉ではお伝えできれないのですが、、、チェリストという枠を超えて、火花をちらしたり、鉛筆削りやノコギリを使った演奏など、風景みたいな方なのです。坂本さんという存在そのものがファンタジーで、物語の中から飛び出してきたような方なのです。坂本さんの音を聞くと、私の中の子供が大喜びします。だからお願いしました。音源ではそのパフォーマンスこそみえませんが、坂本さんのチェロの音だけでも、火花がずーっと遠くまで飛んでいくのが見えてきます。
スターシップ・・・前回のアルバムからライブなどでずっとお世話になっている、加藤雄一郎さん(KT:アルト/ソプラノ・サックス)、稲田貴貞さん(イナッチ:テナー・サックス)、柿沢健二さん(カッキー:トランペット)からなる、管楽器隊(私が勝手に管楽器隊にしただけですが。。。皆さん個人でも様々なシーンで大活躍の方達です。)です。前回のアルバムと同じように、事前に曲は聴いて頂かずに、初めて聴いた状態で音を重ねて頂きました。この三人の化学反応は学会で発表したくなるほどです。人間性、趣味、生活様式、言語、好きな女性のタイプ、おそらくバラバラだとおもうのですが、この三人の調和はちょっとぞっとするくらい凄まじいものがあります。独り占めしたくなるほどです。愛してやみません。
AxSxEさん・・・NATSUMENに入る前からの長い長いつきあいです。今回も寝てない自慢デイズで、私のつたない編集と録音操作の尻拭いをすべく、気合いの入ったミックスをしてくださいました。それだけでなく、『この曲ベース入れたらええんちゃう?』とベースもいれてくださいました。マスタリングが終わってもミックス作業を続けようとする、探求心旺盛な人です。
■A×S×Eさんとタッグを組みながらアルバム制作が進められていったと思うのですが、順調に進んでいきましたか?
タッグを組んで進めていった訳ではなく、録音や編集まではほぼ自分でやり、それからどんな仕上がりにしたいか、かなり具体的に効果やイメージを紙に一枚一枚書いて、あとはおまかせしたので、私が録音した音が割れてたりとか、困った事もあったかもしれません。何回かそれからやりとりはありましたが、ある程度仕上がる度に私がリクエストを紙にまとめてお渡ししていたので、順調にすすんだと思います。
■今後競演してみたいアーティストはいますか?
出会いがあれば、どんな人とも。
■石橋さんの音楽を聴くと、いつも感じるのが、優しさとともに狂気的なものを感じさせられます。ご自身でそういったことは意識されてますか?
正直全然わかりません。人に狂ってるとか言われてもあんまりピンと来ません。すごく普通の人間だと思います。でも自分が何をしでかすかわからない、理性とは全く違うところにある、強い意思があると時々思います。
■石橋英子に多大な影響を与えたアーティスト、アルバムを教えてください。
たくさんいるし、ありますが・・・このあいだ山本精一さんとちょうど『ディア・ハンター』という映画の話をしていたので『ディア・ハンター』と答えておきます。何回も見ました。あとデヴィッド・リンチやクシシュトフ・キエシロフスキの作品。あとジーナ・ローランズという女優。影響を与えられているかはわかりませんが、昔から彼女の作品も何度も何度もみています。
■以前、アチコさんにインタビューをしたときに、アチコさんが『英子ちゃんの心の中には長い滑り台があって、それを金太郎みたいな女の子が凄く楽しそうに滑ってる感じがする。』とおっしゃっていました。その場にArt-Schoolの木下さんもいらっしゃったのですが、そこにいた全員が???という感じになっていました(笑)。石橋さんご本人は、こう言われてどうおもいますでしょうか(笑)?
私の中に、なんでも拾ってみたり、落ちたものを食べたり、飲み物や食べ物をこぼしまくったり、洋服で手をふいたり、汚く生活する、がさつな子供のようなところがあります。そういう事をアチコさんが可愛いらしく表現してくださったのではないかと思います。正しく言い直すと、『英子ちゃんの心の中に、服がすり切れているのもおかまい無しに、何回も何回も滑り台を滑ってゲラゲラ笑う金太郎みたいな女の子がいる』だと思います。
■最近気になるアーティストはいますか?オススメのアルバムなどがあった教えてください。
大好きなアーディストや作品は沢山あります。けど、それはたまたま私のところに届いただけで、まだ発表されていない、形になっていない、あるいは自ら捨ててしまった、世界中の数々の天才の作品が、死ぬほどあると確信してるのです。気になってしょうがないです。
■最後にHMV.co.jpをごらんのみなさんにメッセージをお願いします。
読んで下さってありがとうございました。ライブにも是非いらして下さい。