コレはカオス!宇川直宏、1stアルバム!!
2008年10月10日 (金)
UKAWANIMATION! 『Zoundtrack』
2008.10.29 RELEASE!
日本が誇る奇才・鬼才映像作家宇川直宏が“UKAWANIMATION”としてついに音楽デビュー!
宇川直宏ならではの超豪華な人脈から石野卓球、萩原健一、MERZBOW、ALTZ、HANATARASH、ABRAHAM CROSS、iLL、MEG、田中フミヤ…ってありえないメンバーが勢ぞろい!規格外のデビューアルバムです!!
「UKAWANIMATION!」のネーミングが示す通り、アニメーションの語源である「ANIMA」、広くはアニミズムの思想がコンセプトには流れています。アニマはギリシャ語で魂。アニミズムの概念は、森羅万象に於ける生物、無機物を問わない全てのものの中に魂が宿っている、という考え方ですよね。なのでテーマとして掲げる対象は、実在する万物全てです。今回は、カメラと、千葉八街の落花生と、アヒルと、浜松のウナギと、酸素と、偏西風と、貿易風と、弦と、飼い主のいない猫と、スプーンと、ウォッカに捧げた曲を収録しています。捧げてはいますが、全ての楽曲は人間目線ではなく万物の目線で描いています。なのでウナギならウナギ、スプーンならスプーン目線での物語を構築してゆきました。これは人間中心主義にアンチを掲げた環境に対してのラブソングでもあります。
01. 惑星のポートレイト 5億万画素 ♪
feat. 石野卓球 x 萩原健一
Music Video:teevee graphics inc.
Dedicated to:カメラ(Camera)
――この曲は、カメラをテーマにしたものです。ショーケンさんが絶叫し続けている“シャッター・チャンス”って言葉は、僕の書いた歌詞には一切ないんですよ(笑)。でも、そこの歪みが創作の伸びしろだと思っているんですよ。やっぱり、ショーケンさん世代ってデジカメじゃなくてフィルムだから、シャッター・チャンスは非常に重要だったってことですよね。だからこの曲では、それぞれの世代を通したカメラ目線が醸し出せたな、と改めて思います。あと、125BPMのハウス・トラックにブルース・ハープが入ったものってあまりないんで、その点もレアですね。これもショーケンさんがふいていますがオーガスタス・パブロみたいに聞こえます。この卓球さんのトラックはアンセムになってもおかしくないくらいの起爆力です。
02. 千葉八街のリアルアンダーグラウンド落花生栽培
feat. DAZZ Y DJ NOBU
Music Video:1st Ave Machine
Dedicated to:落花生(Peanut)
――NOBU君のテーマは「落花生」。僕は「ジャガー、氣志團、FUTURE TERROR」っていう三大要素として千葉を捉えているんだけど、 明らかにFUTURE TERRORが、千葉代表なんだから、八街の落花生しかないでしょ! って以前グラスルーツで会った時に二人でテーマを決めた。落花生が種蒔きされて、実がなって、収穫されて、乾燥されて、出荷されるまでをイメージして作ってもらったんだけど、この曲の完成度がもの凄いんだ。よく考えたら落花生は、途中で花が枯れて、地中に潜って、脂肪塀から養分を吸い取って土の中で実が生るのね。だから文字通り「落花生」。花が落ちて土の中で産まれる。これってリアルアンダーグラウンドでしょう(笑)。そういう意味でもNOBUくんにお願いしてよかった。
03. 羽毛に纏わる水滴無限循環
feat. MERZBOW
Music Video:Takashi Yamaguchi
Dedicated to:アヒル(Duck)
――メルツバウの秋田さんとはもう20年の付き合いになりますが、数年前からハードコアなアニマルライツを実践されていて、ほとんどのアルバムが鳥類を中心とした動物達に捧げられているんですよ。現在はチャボやアヒルと一緒に生活をしているんですが、この曲は、その秋田さんちのアヒルの声をフィールドレコーディングして、そこから変調したハーシュノイズをフィーチャーしたものなんです。
04. 開いた身体は白い列島/“ひつまぶし”での感電症例♪
feat. JONTE x TOBY
Music Video:Ukawa Naohiro
Dedicated to:ウナギ(Eel)
――ジョンテ(NY在住のビヨンセやマドンナの振り付け師)は、ウナギが大好物だと言うので、このテーマになりました。歌詞は、淡水から海水へと居を変えるウナギの成長過程と、成長したウナギが人間に食べられるまでの物語りを、セックスになぞらえて表現しました。来生は電気ウナギに生まれ変わるので産卵場所で半透明の私を見付けて。というオチになってますね。"産卵場所"って言葉、性的表現としては究極のメタファーだと思ってます(笑)。
05. 溺れながらの光合成実験/ニコラス・ド・O2・ソシュール
feat. ALTZ
Music Video:Munechika Sasao
Dedicated to:酸素(Oxygen)
――ALTSは岐阜の出身で、幼少期の記憶として当時残っているのが、川で溺れたことだけだ、と話してくれたんです。だから酸素に対しての思い入れは人一倍深いだろう(笑)ということでこのお題になりました。テーマは、酸素の恩恵から光合成、果てはCO2削減による地球温暖化対策にもつながってきます。溺れたときに吐き出した二酸化炭素を、川のほとりの森林が光合成して酸素に変換して、吸って、吐いて、という無限循環ですね。
06. 偏西風の次第♯1/中緯度高圧帯から極高圧帯へ
feat. HANATARASH
Music Video:Power Graphixx inc.
Dedicated to:偏西風
09. 貿易風の次第♯2/亜熱帯高圧帯から赤道高圧帯へ
feat. HANATARASH
Dedicated to:貿易風
――これは偏西風と貿易風をテーマした曲です。—EYEさんがつくりだしたノイズも、風そのものを表現したものです。オリジナルの波形は真四角で、極点に到達していました(笑)。なので、この音源はプレス時に事故だと機械が認識するらしく、マスタリング不可能とNYから返答が来たので細かいEQを施しています。しかもオリジナルの総尺は16分もありました(笑) 。この音源はHANATARASHの久しぶりの作品になりますね。
07. 糸電話で奏でるデリック・メイの“ストリングス・オブ・ライフ” ♪
feat. STRINGRAPHY
Music Video:Ukawa Naohiro
Dedicated to:弦(Strings)
――STRINGRAPHYは女性五人組なんですけど糸電話(糸と紙コップ)だけで演奏するユニット。三〇メートルぐらいの長さの凧糸を一六〇センチぐらいの高さに八弦張って、ハイ、ミッド、ロウの三層に分けて、紙コップで音階を作るんですよ。途中にギロのようなチキチキっていうリズムが出てきますが、これも糸を擦って演奏したものです。手袋と松ヤニを塗った糸(弦)との摩擦で音を出しているんですけど、チェロや琴のような音に聞こえますよね。今回、弦や糸、繊維に対するリスペクトの気持ちを込めて、デリック・メイの「Strings Of Life」を編曲・演奏してもらったんですけど、編曲も完璧でした。
08. 盗まれた平衡感覚/アニマルライツ的野良猫飼育促進
feat. ABRAHAM CROSS
Music Video:Ohara Daijiro(OMOMMA)
Dedicated to:飼い主のいない猫(Stray Cat)
――アブラハムクロスのボーカルのそうじろうくんは10年くらい前からクラブで会っていて、GODFATHERという僕の主宰するパーティーにも早い時期に出てもらったりと、ダンスミュージックとハードコアの蜜月に立ち会ってもらった日本を代表するクラストコアのバンドです。彼らは以前からアニマルライツを唱えていたので、じゃあ今回は飼い主のいない猫をテーマにやろうよって、何度か話し合いながら進めました。実際、自分もそうじろう君も、今まで拾って来た猫を何匹も飼っていたことがあって、数時間で楽曲が纏まりました。この曲に入っている、フギャーという猫の鳴き声は、僕です。中学の頃から"女性のあえぎ声"と"猫の鳴き声"の声帯模写は得意なので(笑)。
10. 秘境の奥の虫歯の記憶 ♪
feat. MEG x iLL
Music Video:Nagasoe Masatsugu
Dedicated to:スプーン(Spoon)
――僕はiLLのナカコー君と同じ所属事務所なんですけど、彼とはスーパーカーの頃からもう10年も付き合いがあって、ポップ・センスに磨きがかかっているので、あえてJポップマナーで構成された楽曲もアルバムに入れておきたいと思い、作曲をお願いしました。あと、女子ヴォーカルをどうしても入れたかったから、MEGちゃんに歌ってもらったんですよ。スプーンって、たくさん持っていたり、しかも捨てたことないでしょ。人は猫は捨てても、スプーンは捨てないんですよ。にもかかわらず、中には10年以上使われていない存在もいるだろうな、と。主人に対して毎日様々な味覚を運ぶ役割である、そして今もずっと次に使われるのを待ち望んでいるスプーンの気持ちになってみよう、と。そして数年ぶりにやっと使用されたスプーンが口の中でみたものは、主人の口内に数年前にあった筈の虫歯が治療され、銀の蓋が閉められている光景。その銀色の存在に嫉妬してしまうんです。しかもこのスプーンの持ち主はユリ・ゲラーだったので、翌日首を折られちゃう。落ちて行く瞬間に、昔運んだスイカの記憶が走馬灯として甦るんです。
11. 57杯目のブラッディー・メアリー
feat. 田中フミヤ
Music Video:Ukawa Naohiro
Dedicated to:ウォッカ(Vodka)
――フミヤ君ともMixroofficeを通じて何度も現場を共有しているので、ウォッカというテーマを肴に、お互い誰も投げた事の無いような変化球を投げながら、アルコールハイになっていった状況です。ウォッカはアルコール度数が強い蒸留酒ですが、実はトマトが胃を保護し、アルコール分解の手助けをするので、ブラッディー・メアリーってミラクルなカクテルなんですよ。自分は実際一晩で56杯飲んだことがあるんですが(ウォッカ3本位)なんと二日酔いしませんでした。

