トップ > 映像DVD・BD > 商品情報 > 邦画 > 「TAO」 企画前夜:ゲスト→吉田豪 5

「TAO」 企画前夜:ゲスト→吉田豪 5

2008年10月14日 (火)

---  カットされてしまったものはしょうがないと思うんですけど、その方の口調とか癖をなるべくそのまま、記事に反映させたいですよね。


吉田:そうなんですよ。だから、一人称で統一する必要もないんですよね。一人称を"わたし"とか"僕"って言ってた人が、だんだん勢いに乗って、"俺"に変わる瞬間があるのは、それはそれでおもしろいわけでっていう。力入る瞬間とかね。"ですます調"と"なのだ調"が混ざっちゃいけないみたいに、校正の人が直したりするんですけど、「何で余計なことしてんだよ、これでいいんだよ」っていう(笑)。リアルが欲しい。吉本興業とか、関西弁を標準語に直したりとかしますからね。


---  そうなんですか?(笑)。


吉田:テレビで観てる側からしても不自然なんですよ。松ちゃんが"ですます調"で話したりとかしてて(笑)。「ないないないない、それないから」っていう(笑)。不思議なんだよなあ。何か、吉本興業って必ず"ですます調"にしたがるんですよ。東京人の関西弁のちょっとした間違いとかを直してくれるのはいいんですけどね。「思うんですよ」とか「言わない、言わない」って(笑)。

だからね、それと戦うために、わざと通らなそうな物騒なネタを3つくらい入れといて、交渉の段階で、「じゃあ、そこは泣きますけど、こっちはイキで」とか(笑)。ライターの人って、トラブルを避けがちなんですよ。だから、通りそうな原稿を最初に作っちゃうんですけど、それが通るの当たり前なわけで。通らない原稿を作った方があとで交渉が出来るわけですよ。

でも、運よく通っちゃう可能性もあるんですよね、それが。「うわー、通っちゃったこれ」って(笑)。・・・と思えば、自粛する必要はないですよね。あからさまな、倫理上問題があることとかでもない限りは、全然入れていいだろうし。多少、言いかえたりとかしながら。「これくらいソフトにしとけば通るかな?」みたいな。


---  毎回、何パターンも用意されますか?


吉田:僕、だって、あんまりおもしろい場合、ロングバージョンも作りますからね。ほぼ、まとめただけのバージョンと入稿用の文字数合わせたバージョンと。「いつか使える機会があるかも」って。でもそれって、役に立つんですよ。だって、「男気万字固め」っていう本に入ってる、本宮ひろ志さんのインタビューがあるんですけど、「ダ・カーポ」で取材した2000字もないくらいのインタビューですから、元は。それを2万字近くで軽くまとめていたのがあって、それを元に単行本用にしちゃったっていうような。

最近だったら例えば、ナインティナイン・・・「KING」でやった時に、入稿用に短くしちゃうと、そんなに味わい出ないんですよね。1万字オーバーのロングバージョンも作っていて。いつか、単行本なりなんなりで、入れ込みたいっていう(笑)。


---  岡村(隆史)さんのですか?


吉田:そうです、そうです。


---  ポットキャストでもお話しされてましたよね。やっぱり岡村さんは、すごい芸人さんですか?


吉田:すごい芸人だけど・・・世代も同じだし、人間的にもすごい、芸人らしくないからわかるんですよね。あの・・・破天荒なところは一切ない、すごい気の弱い・・・そして、女性不信みたいな(笑)。等身大ですよね、こっち側というか(笑)。基本的に好きなのは、豪快な人ですけど、両極ありですからね。


---  希林さんの場合は、取材に4時間半だったとのことですが(笑)、通常のインタビューは平均でどのくらいの長さですか?


吉田基本、2時間ですかね。「2時間は欲しい」って言いますね。1万字インタビューにする場合って、1時間で1万字くらいなんですよね、だいたい計算で言うと。それはほぼ削らなかった場合で、っていう。

僕、「POPEYE」で1万字インタビュー連載してるんですけど、スケジュールの都合とかで、1時間くらいしか取ってくれないことがあって。それで1万字やるのって、本当困難ですよ。エピソード2〜3削るくらいしか出来ないっていうのが・・・大変ですよ・・・(笑)。現場の空気は出るけど、それじゃあ・・・」っていうね。


---  削るのは、文字数とテキストとしてのおもしろさでですよね?


吉田:おもしろさですね。僕だから、プロインタビュアーって名乗ってるけど、そんなに話しを聞くのが上手いっていうわけでもないと思うんですよ。もっと話しの上手い人は、いくらでもいるし。まとめの技術とかがたぶん、あると思うんですよね。で、なおかつ、まとめやすいような聞き方をするし。


---  それは例えば、どういう聞き方ですか?


吉田:流れを完全に重視してるのもあるし、流れと関係なく、前の話しにもう1回突っ込みたいって思ったら、平気で、「話しちょっと変わるんですけど、さっきのもう1回突っ込んでもいいですか?」みたいな感じで、気にしないで聞いて、あとからそれを前につなげるとか。何だろう・・・前後を入れ替えるとかもしない人いるんですよね。全然それは、読みやすく変えた方がいいのにって思いますよね。


---  テキストとしてのおもしろさっていうと、タイトルとかもそうだと思うんですけど・・・。


吉田:タイトルは結構、人任せなんですけどね。タイトルとか、本の題名もそうなんですけど、基本的にあんまり、興味がない・・・見出しとか。僕がやると、すごい悪意いっぱいになっちゃうから。トラブル起きるくらいのやり方しちゃうんで(笑)。一時期、プロフィールとかまで書かされてた時に、あれはでも、おもしろかったですよ。すごい調べるじゃないですか?調べて聞かなかったエピソードを使って、本当にどうでもいいプロフィールを毎回作ってたんですよ。主な仕事とか一切入れない、中学時代の部活の話とか、そういう話しだけが詰まってるのを(笑)。そういうやり方も出来るけれども・・・っていう。それは、ちゃんとやってくれる人に任せた方がいいなって思いますね。


---  文字起こしも、専属の方がいらっしゃるんですよね?


吉田:ええ、そうですね。本当よく言ってるんですけど、テープ起こしって、新人の時の仕事なんですよね、ライターとかだと。先輩のインタビューを起こす。だから、文章も何も出来ないような人、句読点の打ち方もわからないような人がやるってことであったりするし、あとは業者?まあ、アルバイトの子がやる場合もありますけど、だから本当、稚拙な人もしくは業者の場合は、早いけど"専門用語"を何にも知らないわけですよ。だから、どっちもだめなんですよね。


---  変な風に上がってきますか?


吉田:そうなんですよ。ひどいですね(笑)。変な省略の仕方?こっちは、口調まで生かしたいわけじゃないですか?なのに、かっちりとした文章に勝手にされちゃってて。だから本当、「全然そのまま、完全再現して欲しいのに」って思いますよね。結局、聞き直したりしなきゃいけないようなものになっちゃうから、慣れた人にお願いしちゃいますね。そういう人に任せておけば、だいたいちゃんとやってくれるんで。


---  わたしは全部自分でやってるので、結構時間かかっちゃうんですよね(笑)。


吉田:すごいかかりますよね(笑)。昔、自分で起こしてやってた時、話しの流れがあるわけじゃないですか?で、「ここでこう聞かないかなあ。こう聞くべきだろう」っていう通りのことを自分が聞いたりしてて、「俺やるなあ」って(笑)。自画自賛しながら起こしてましたよ。「おもしろいよ、俺」みたいな(笑)。改めて今、昔の音源を聴くことはないですけどね。今はデータ時代だけど、やっぱりテープの方が便利なんで。


---  テープの方が?


吉田:便利ですね。回ってるっていうのがはっきりわかるっていうのと、録れてない・・・とかもはっきりわかるんで。データ飛ぶとかもないですからね。たまにあるんですよ。この前も、ある媒体で対談の取材やって、終わってから、「すいません。対談の音源飛んじゃいました」とかって(笑)。「飛ばすなよー」っていう(笑)。


---  それはもう、どうにもならないですね(笑)。


吉田:どうにもならないですね(笑)。だから、テープは結構安心ですよ。切れても修理出来るし・・・とか。電池切れてるとかもはっきりわかるしね、動いてない・・・とか。


---  それを起こす方は本当にこう、かちゃんかちゃんって?(笑)


吉田:ものすごい昭和みたいな感じのテープ起こしの機械があるんですけど、"足踏みミシン"みたいなやつなんですよね。押してると再生になって、離すとちょっと戻る・・・みたいな。今はもうそれ、キーボードで似たようなことが出来るみたいなんですけど。アナログだけど、それが便利ですね。


---  いい文字起こしの機械があればなって思うんですよね。わたしは普段、このテレコで録って、パソコンにつないだ後・・・。


吉田:え?そういう細かい・・・起こし用のソフトとかもあるんですよね?僕あんまりくわしくないんですけど。i-tunesとかみたいなのでやってるんですか、もしかして?(笑)。


---  はい(笑)。Real One Playerとかで、再生と巻き戻しの繰り返しみたいな感じで(笑)。


吉田:ちょっと巻き戻しして・・・みたいな?(笑)。


---  ええ(笑)。


吉田:何か、あるらしいですよ?(笑)。何か押すと再生して、ちょっと離すと何秒か戻る・・・みたいなシステムの、起し用の何かがあるらしいって聞きました。それが本当にいいんだったら、そっちに移行しようかなっていう気もあるんですよね。だって、どう考えたって便利ですからね。今ね、テープの受け渡しとかしてますからね(笑)。「データで送れるのはいいよなあ」って思って。かさばっちゃうのが大きいですね。全部捨てないで取ってあるんで、検討もつかないですけど、ものすごいことになってますよ、テープ(笑)。


---  (笑)。それでは、そろそろお時間が来てしまいましたので・・・インタビュアーはこうあるべき・・・というのはいろいろお話しをお聞きして、自分なりにわかったつもりなんですが、最後に、一番大切なことは何か・・・というのを教えて頂けますか?


吉田:うーん、何だろうなあ。"受け身"っていうのは、よく言うんですよね。インタビューって、プロレスみたいな感じで、だいたいの筋書きみたいなのは、こっちで考えてるんですよね。フィニッシュぐらいのことまで。で、それがアドリブで変わっちゃうのが当たり前であり、なおかつ、何だろう・・・プロレスって、相手の技をより痛いように見せなきゃいけないわけですよ。デカイ音を出す。キックも痛くないんだけど、こう・・・叩いてみる(実際に音を立てて)とかで、効果的に見せるっていうのがあって。インタビューって完全にそれだなあって思ってて

想像通りの技が来ても、ちゃんと笑ってあげるってことだったりとか、「ダハハハハ!」とかって(笑)。リアクションをよくするっていうのは、すごい思いますよね。「ここ、笑うとこですよ?」っていうのをちゃんと教えてあげることであったり。

あと、これもよく言ってる話しなんですけど、どんなにヤバイ話しでも、僕が笑ったらそれは、ギャグになるんですよ。明らかに物騒な話ししてても、「ヤバイですよ、それ!ダハハハ!」とか言ったら、「笑っていいんだな」っていう空気になるんですよね。そうすると、原稿削らないでもいいっていうか、ぎりぎりで載せていい話しに変わるんですよ、笑い切れたら。だから、現場で勝負ですね、本当に引いたら負けっていう。で、これもよく言うんですけど、本当に、明らかにこう、考え方が違う人の場合とかに、「それ違いますよ」みたいなこと言っちゃう人とかがいて、「それはダメでしょう」っていう。もっともっと、乗せて乗せて乗せて、突っ込まないとっていう(笑)。

で、あとは、僕のインタビューのモットー。"あんまり自分を出さない"っていうのがすごいあって。たまにあるじゃないですか?自分語りが始まっちゃうパターンって。それはなるべく、しないですね。なるべく"黒子"に徹するっていうか。自分と取材相手に何らかの接点がある場合は、そのことを変に隠したりすることはないけど、基本的に自分のことはどうでもいい。ただ、相手が喜ぶような自分の話しはしますけどね。「あのー、いつの○○行ってます」であったりとか、そういう。「俺語りしてもなあ・・・」っていうのはありますよね。文章・・・雑誌とか読んでて思いますよね。「お前はどうでもいいよ」って(笑)。「お前はもっと引っ込んで、引っ込んで」って(笑)。それがテーマですね。


---  吉田さんが体験された取材のお話しをお聞き出来ながら、本当にすごく、たのしいインタビューの勉強になりました。今後のインタビューに活かせればと思ってますので・・・本日はありがとうございました。


吉田:こちらこそ、ありがとうございました。


おわり・・・





関連記事

「TAO」 第1回 :ゲスト→EGO-WRAPPIN'



バンドライフ -バンドマン20人の音楽人生劇場 独白インタビュー集-   元アイドル!文庫版   元アイドル!   元アイドル! 2     Hon-nin列伝 セキララなオンナたち    男気万字固め   人間コク宝   続人間コク宝
  左から:『バンドライフ -バンドマン20人の音楽人生劇場 独白インタビュー集-』、『元アイドル!文庫版』、『元アイドル!』、『元アイドル! 2』、
  『Hon-nin列伝 セキララなオンナたち』、『男気万字固め』、『人間コク宝』、『続人間コク宝』