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【第2回】 はじめてのジャズ 高平哲郎さん

Monday, November 26th 2007


第2回
「当時最初に聴いたまんまのモノを聴きたい」

高平哲郎

第2回では、前回の入門向け13枚とは一線を画したカタチとして、
高平さん自身のフェィヴァリットをピックアップしていただきました。

「CD屋さんに行って、誰かの為に買ってやろうと思った時に、(前回の)13枚がなかったら、じゃあこの辺買っちゃおうかな、っていうのがこの10枚だよ。」

とありがたいお言葉も。

「一時期(CDの)ボーナス・トラックってのが流行ってさ。余計なもんがいっぱいくっ付いてんだよ。要するに、(ボツとなった)テイク2、テイク3を入れるわけだ。オリジナルは、そのテイクが悪いから入れてないわけだろ?だから、それを入れる必要は全然ないし。」

「ボクらやっぱりさ、(LPで)最初に聴いたまんまのモノを聴きたいんだよな。ホントはさ、CDもA面、B面あった方がイイんだよな(笑)。 」


と夜も更けるにつれ高平節も全開と相成るのでした。

John Coltrane『My Favorite Things』   John Coltrane『My Favorite Things』 (Atlantic)

このAtlantic盤の『My Favorite Things』は、ソプラノ・サックスを吹きまくってる有名なアルバム。

コルトレーンは、この後の『Ascension』とか『Love Supreme』とか、
段々と神懸ってくる頃が好きなヒトもいるけど、
オレはその辺になるともう嫌いなんだよね。

このアルバムは、前の13枚に入っていてもおかしくないものだよね。



「My Favorite Things」が視聴できます♪

Ella Fitzgerald / Ella In Berlin (Complete盤)   Ella Fitzgerald
『Ella In Berlin』(Complete)
(Verve)

コレはヴォーカル・アルバムで言えば珠玉だろうね!

タイトルにもある「Mack The Knife」ってのは、
元々ベルトルト・ブレットとクルト・ワイルが作ったもので、
「三文オペラ」(1928年ドイツのミュージカル)の中の有名な曲なんだけどね。

でも何がイイって、ラストの「How High The Moon?」って曲がイイんだよね。
スキャットとは何か?っていうのがよく分かるよ。
途中で色んなアドリブが出てきたりしてさ。

とにかくコレは、スキャットのホントの素晴らしさを教えてくれたアルバム。

「How High The Moon?」が視聴できます♪

Eric Dolphy 『Last Date』   Eric Dolphy 『Last Date』(Limelight)

オリジナルのジャケットはこんなんじゃない!

...簡単に言えばドルフィーってのは、ミンガス・ファミリー。
このすぐ後ぐらいに死んじゃうのかな?

ドルフィーでは、『Five Spotの〜』や『ヨーロッパの〜』、
あとNew Jazzレーベルからの作品とかイイものいっぱいあるんだよね。

でまぁコレは『Last Date』ってことで。

ちなみに、同じファミリーには、マル・ウォルドロンっていう素晴らしいピアニストがいてね。「Left Alone」って曲とか、『Mal 1』、『Mal 2』とか。
何だか知らないけど日本人好みで、毎年(日本に)呼び付けちゃってね。
ビリー・ヴォーンとかミッチ・ミラーみたくなっちゃてさ。


「Epistrophy」が視聴できます♪

Roy Haynes『We Three』   Roy Haynes 『We Three』(Prestige)

フィニアス・ニューボーンJr.(p)、ポール・チェンバース(b)、ロイ・ヘインズ(ds)の3人でやってるのがWe Three。
コレはホントにいいアルバム!

フィニアス・ニューボーンの代表作ってそんなにないんだけど、
ボクはコレがそれだと思うんだけどね。

かなりファンキーなピアニストで、
ホレス・シルヴァーなんかに通じるんだよ。



「After Hours」が視聴できます♪

Red Garland『Groovy』  Red Garland 『Groovy』(Prestige)

このレッド・ガーランドもピアニストで、
前の『We Three』と一緒でポール・チェンバースがベース弾いてるアルバムなんだけど。

コレは何がイイってジャケットがイイ!

結局、植草さんも昔よく「ジャケットがいいから」っていうことを言ってたよね。



「C Jam Blues」が視聴できます♪

Max Roach『We Insist!』   Jackie Mclean 『4, 5 & 6』(Prestige)

このアルバム、オレたちは「シゴロ(456)」って呼んでたんだけど。
マイルスって言わずに「デビス」って言ったりとか。

「Sentimental Journey」って曲に個人的な思い入れがあるんだよね。
20歳ぐらいの時、札幌のジャズ喫茶で聴いた時に...とかさ。



「Sentimental Journey」が視聴できます♪

Shelly Manne『My Fair Lady』   Shelly Manne 『My Fair Lady』(Contemporary)


これは勿論ミュージカルをアルバムにしたもので、
『West Side Story』も出してたオスカー・ピーターソンの『My Fair Lady』も有名だね。

アンドレ・プレヴィンっていうピアニストが参加してて。
シェリー・マンのキレもいいしね。

オードリー・ヘプバーン主演の映画「My Fair Lady」
もちょうど同じ頃日本に来たんじゃないかなぁ。

このジャケットを見るとバーッと当時を思い出すね。


「Get Me To The Church On Time」が視聴できます♪

Philly Joe Jones『Blues For Dracula』   Philly Joe Jones 『Blues For Dracula』(Riverside)

コレは...なんで選んじゃったのか分かんないんだけど(笑)
...まぁ、(ジャケットの)黒人が顔を白塗りにしたから面白いっていうのもあるんだけど(笑)。

でも、結構有名なアルバム。
スティックにコウモリがぶら下がってる、
中々いいジャケットなんだよね。

フィリー・ジョー・ジョーンズってのは、
ロイ・ヘインズなんかと同じ時代の素晴らしいドラマーだよ。


「Blues For Dracula」が視聴できます♪

Louis Armstrong『サッチモ・シングス・ディズニー』Louis Armstrong 『サッチモ・シングス・ディズニー』(Buena Vista)

コレも(オリジナルと)ジャケットが違う。
どうして簡単にジャケットを変えちゃうんだろうな。

このアルバムも初心者向きにはとても分かりやすいよ。
「星に願いを」、「ハイ・ホー」、「チム・チム・チェリー」とかね。

エラとサッチモの『Porgy & Bess』
っていうアルバムも非常にいいアルバム。


Soundtrack『Manhattan』  Soundtrack 『Manhattan』(Sony)

(LPの)片面全部に「Rhapsody In Blue」
を入れちゃってるトコロがすごいよな。

ニューヨーク・フィル・ハーモニーとズービン・メータ(指揮)、
それだけでもう素晴らしいし。
映画でも実際この曲で始まってさ。

他の曲も全部ガーシュウィンの曲で、
「Someone To Watch Over Me」が物凄くきれいなアレンジで、
好きなんだよね。

シンフォニック・ジャズっていう意味じゃ非常に貴重な作品。


「Rhapsody in Blue」が視聴できます♪

         

> 第3回へ続きます

> 第1回「60年代のジャズ喫茶でよく耳にしたものを」



・「はじめてのジャズ」とは?

中州産業大学&ほぼ日刊イトイ新聞 presents 『はじめてのJazz 2』


糸井重里が編集長を務める「ほぼ日刊イトイ新聞」が、ジャズ・ピアニストの山下洋輔タモリを講師に招き、ジャズに興味はあるんだけれど、その「入り口」が見つからなかったり、どうしても敷居の高さを感じて二の足を踏んでしまう、そんな人達に向けておくるジャズ・イントロダクション企画。それが『はじめてのジャズ』。2005年3月に行われた生演奏と解説、さらにはQ&Aコーナーなどを交えてのイベントは、700人に及ぶ客席からの感嘆の声、笑い声、鳴り止まぬ拍手の渦に終始包まれる盛り上がりを見せました。

その大成功のイベントの構成を担当したのが、高平哲郎さん。コピーライターから、創刊当時の『宝島』編集員などを経て、その後、構成作家、スーパー・バイザー、作詞家など様々な肩書きでTV、音楽、映画、演劇などが最も活気のあった時代の文化・流行を生み出してきた高平さん。
そんな高平さんの「お眼鏡にかなった」、ジャズ入門編に相応しい「はじめてのジャズ」ディスク・セレクション。

当時のLP購入時の思い出や懐かしきジャズ喫茶四方山話を交え、「こんな感じのなかなか選べないよ(笑)。」と自讃しつつも、「比較的メロディの良いものばかりだから、入りやすいと思うよ。」といった気配りも忘れない高平さん。
「モダン・ジャズっていう匂いだけで纏めた方がいいかなって思ってこの辺にしたんだ。」

こちらでご紹介したアルバムが、あなたにとってのジャズの「おたのしみ」の最高の入り口になっていただければ幸いです。


  

今回、高平哲郎さんにお聞きしたおすすめCD取材のようすは、「ほぼ日」サイトでも「ほぼ日」バージョンとして掲載されていますので、そちらもお楽しみください!

> 「ほぼ日 はじめてのJAZZプロローグ」第10回 ジャズのCDがいっぱいあるところ

> 高平哲郎さんインタビューはこちら


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