原田知世『music & me』 Interview
2007年11月1日 (木)
インタビュー |
原田知世インタビュー |
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原田知世『music & me』 HMVオンライン Interview
―まずはアルバム「music & me」発売、そしてデビュー25周年の誕生日に発売というメモリアルな作品となりました。完成した現在の率直なご感想をお聞かせください。
原田知世:素晴らしいミュージシャンの方々に囲まれて、このアルバムを作れたことをとっても嬉しく思っています。
―今作は伊藤ゴローさんをサウンドプロデューサーに迎えていますが、事前にアルバム全体のコンセプト、テーマなどは設定されたのでしょうか?
原田知世:昨年『MOOSE HILL』のアルバムに参加させていただいた頃から、ゴローさんと会うたび、いつかアルバムを一緒に作れたら・・・と話していました。25周年のメモリアルになるようなアルバム。これまでの音楽を振り返り、さらに、これからを予感させるようなものになればと。
―今回のアルバムタイトル、「music & me」に込められた意味は?
原田知世:今回、あらためて真っすぐに音楽と向き合うことができました。そして、完成したこのアルバムを聴いたとき、まさにこの『 music & me 』というタイトルがぴったりだと思い、決めました。
―今作は日常のあらゆる場面にも溶け込むBGMのようなシンプルさの中にも多彩な『音』が散りばめられた深い作品で、Repetしながら何度も聴ける作品だと思います。個人的には晴れた日に自分の部屋の窓から流れる雲を見ながら聴きいてみたいのですが...。原田さん的にはどのようなシュチエーションで聴くのがオススメでしょうか?
原田知世:わたしはよく車を運転しながら聴いています。晴れた日や、曇りの日、雨の日・・・と、お天気によってもサウンドが違って聴こえたりします。
―キセル、高木正勝、オニキユウジといった初めてコラボレートしたアーティストの方々にはどんな印象・イメージを抱いていましたか?また、彼らと実際に作業してみた感想は?
原田知世:わたしはキセルのお二人が作る宅録の音やどこか懐かしさを感じるメロディが大好きでお願いしました。レコーディングでは、ゴローさん、豪文さん、友晴さん、ドラムの伊藤葉子さんとみんなでリハーサルしながら、アレンジの方向性を決めていきました。コーラスもやっていただいたのですが、キセル兄弟のハーモニーがサビのメロディの良さをさらにひきたてています。
高木正勝さんの音楽や映像の世界に惹かれて、高木さんにお願いしたらどんな曲がうまれるのだろう・・と、とっても楽しみでした。レコーディングは高木さんの弾くギターに合わせて歌ったわたしのうたを高木さんが持ち帰り、その後はミックスまですべてお任せしました。すごく新鮮な仕上がりで、また新しい扉を開いてもらえたような気がしています。
オニキユウジさんも、彼が作るメロディとあの声が好きで以前からアルバムをよく聴いていました。その時から、曲を書いてもらえたらと考えていたのですが、今回はコーラスアレンジにもかなりこだわった作りになっていて、このアルバムの中ではいちばんPOPな曲に仕上がっていると思います。
―鈴木慶一さんや高橋幸宏、大貫妙子(選曲)といったこれまでにゆかりある人と再び仕事をした感想は?
原田知世:鈴木慶一さんは、わたしの音楽生活を覚醒させてくれたひとで、ほんとに長いお付き合いをさせていただいています。久しぶりのレコーディングでしたが、いちばんリラックスして歌入れできたように思います。
高橋幸宏さんとは、ここ数年プライベートでお付き合いさせていただいているのですが、音楽を一緒にやるのは、実は今回がはじめてでした。洋楽カバーの選曲とアレンジをお願いしたのですが、ほんとにじっくりと選んで下さって、歌入れでもいろんなアドバイスを下さいました。 アレンジもすっごく良い感じに仕上がってます。
大貫妙子さんには、これまでにもたくさん素敵な曲を書いていただいてます。このメモリアルアルバムにもぜひ参加していただきたくてお願いしました。 そこで、大貫さんから『わたしの曲をカバーしてみませんか?』と提案していただいて・・・。好きな曲がたくさんあって悩んだのですが、最終的に『色彩都市』を選ばせていただきました。
―今回の作品にはビートルズ、バカラックなど、カヴァー曲がいくつか収録されていますが、これらを選曲した理由は?
原田知世:洋楽カバーに関しては、レコーデングに入る前からいろいろ候補曲を出してはいたのですが、レコーディングの後半に全体の雰囲気をみてゴローさんと相談の結果、 ビートルズのこの曲に決めました。 バカラックは高橋幸宏さんが選んでくださった曲です。
―「時をかける少女」「シンシア」など原田さんの代表曲のセルフカヴァーには、ご本人はもちろんリスナーそれぞれが原曲に対するイメージを強く抱いていると思います。オリジナルと比べて今回のセルフカヴァーの聴きどころや、こだわり、苦労された点はありますか?
原田知世:『時をかける少女』はわたし自身、鮮烈なイメージがありましたので、アレンジをいちばん悩んだ曲です。最終的にシンプルなこのボサノヴァアレンジになりましたが、こうした事であらためてこの曲のメロディの美しさが際立ったように思います。時を経て、子供の頃に歌っていた時にはわからなかった歌詞の意味の深さも感じました。
『シンシア』も大好きな曲で、ライブでは何度もいろんなアレンジでやって慣れ親しんでいましたので、とってもスムーズにカバー出来たと思います。
―M-11のキセルが楽曲提供した「くちなしの丘」に”ひと聴き惚れ”してしまいました。歌詞にあるように言葉で表現するのも難しいので、とにかく聴いて欲しいのですが、この曲に関するエピソードがありましたらお聞かせ下さい。
原田知世:豪文さんがギターの弾き語りで入れてくれたデモテープを聴いて、わたしも”ひと聴き惚れ”しました。歌詞はその時点ではまだ完成していなかったのですが、うたの最後の「くちなしの丘の上で」の部分だけが作られていて、その言葉とメロディがとっても印象的でした。
―歌うことと演じること、原田さんにとってこの2つの関係性は?
原田知世:どちらも離れているとまた恋しくなる。たいせつなわたしの一部です。
―デビュー以来、原田さんの音楽に対する接し方、考え方で、変化した事と一貫して変わらない事は?
原田知世:年を重ねるごとにわたし自身が変化していて、音楽にもそれが表れていると思います。
変わらないところは、毎回、また新しい扉を開いてくれるような方とアルバム作りをすること。
―「music & me」リリース発表以来、多くのファンの方が原田さんの音楽活動を待ち望んでいたという意見が寄せられています。今作が完成されたばかりですが、今後の音楽活動(12月22日にはLiveも決まっています)はどのように展開していく予定でしょうか?
原田知世:リリース後は年末から来年にかけて、いろんなところでライブを行いたいと思っています。
バンドの編成も場所によってかわるので、曲のアレンジも変わったり・・・。楽しみです。
―それでは、最後にHMV.ONLINEをご覧の皆様にメッセージをお願いします。
原田知世:わたしにとって、大きな大きな実りとなったこの『music & me』。
とても素敵なアルバムです。ぜひ聴いてください。
―ありがとうございました!
原田知世/music & me
女優として、ミュージシャンとして独自のスタンスを貫く原田知世。彼女のデビュー25周年記念となるアルバムが登場!豪華アーティストが参加し「シンプルな上質さ」を追求し凝縮した作品に仕上がっています。プロデュースにnaomi & goro、MOOSE HILL、伊藤ゴローを迎え、作家陣には鈴木慶一、高橋幸宏、選曲参加で大貫妙子、さらにキセルやオニキユウジ、高木正勝といった若手アーティストも参加しています。初回盤のみ「くちなしの丘」PV、特典映像を収録したDVD付き
1. Cruel Park(伊藤ゴロー オリジナル曲)
これは、伊藤ゴローさんがショートムービー「identify」「metamorphosis 」の挿入歌として書き下ろした曲(ゴローさん自身が歌っていて、その歌声がとっても素敵です!)のカバーです。毎回、アルバムの 1 曲目をどれにするかたいへん悩むのですが、あまりにも繊細で美しいメロディに魅了されたわたしは、全く迷うことなくこの曲を選びました。
2. 色彩都市(大貫妙子選曲 カバー曲)
大貫妙子さんには、少女時代からこれまでたくさん素敵な曲を書いていただきました。
大貫さんの書いて下さった曲は、その時の等身大のわたしを描いているようで、どれもたいせつな曲ばかりです。そんな大貫さんにはこのアルバムにぜひ参加していただきたくてお願いをしました。そこで、大貫さんから『わたしの曲をカバーしてみませんか?』と提案していただいて・・・。好きな曲がたくさんあって悩んだのですが、最終的に『色彩都市』を選ばせていただきました。
3. きみとぼく(伊藤ゴロー オリジナル曲)
家族やともだちや、わたしがこれまで出会えたたいせつなひとたちとは、もしかしたら
ずっと昔から何度も出会っていて、離れる時がきても、またきっといつか会えるような気がして・・・。そうだとほんとにうれしいなあ。そんな想いをこめて書いた歌詞です。
4. Are You There ?(バートバカラック カバー曲/選曲&編曲:高橋幸宏)
高橋幸宏さんがほんとにじっくりと選んで下さったこの曲。他に候補としてあがっていたのは Mari Wilson 、 Ms. John Soda 、 Lali Puna などの曲でした。そして最終的にわたしとゴローさんとで相談して、 Burt Bacharach 作、 Dionne Warwick が歌いヒットしたこの曲を選ばせていただきました。 1982 年に Mari Wilson がカバーした際のヴァージョンをイメージされたというアレンジも最高の仕上がりになってます。
5. I Will(ビートルズ カバー曲/コーラス:キセル)
アルバム作りの後半になって、デュエット曲があっても楽しいかも!と思いたち、キセルの豪文さんに歌をお願いしました。 The Beatles の曲というのはゴローさんからのアイデアです。こんなに短い曲なのに本当に美しく印象的なメロディ。ゴローさんのギターと、パーカッションはスタジオにあったスティックシュガーを束ねたりして手作りの音を作ってます。
6. Wonderful Life(オニキユウジ オリジナル曲)
オニキユウジさんも、彼が作るメロディとあの声が好きで以前からいつか曲を書いてもらえたらと思っていました。今回はアレンジ、そしてドラム以外の演奏もすべてオニキさんです。コーラスワークも細やかで、オニキさんの声とわたしの声を重ねてミックスしています。このアルバムの中ではいちばん POP な曲に仕上がりました。
7. 菩提樹の家(鈴木慶一オリジナル曲)
鈴木慶一さんとは『 GARDEN 』というアルバムをプロデュースしていただいて以来、ずっと長いお付き合いをさせていただいています。そして、わたしの音楽生活を覚醒してくれたひとです。この曲はまさにわたしが思う慶一さんワールドで、特に間奏の展開はちょっぴりセンチメンタルでわたしのお気に入りです。
8. シンシア(セルフカバー曲/編曲:伊藤ゴロー)
この曲はわたしの代表曲のひとつになっています。タンバリンスタジオのサウンドをゴローさんがアレンジすることで、新しく生まれ変わり、大人の雰囲気の『シンシア』になりました。
9. Aie(高木正勝 オリジナル曲)
高木正勝さんの独自の映像と音楽の世界に惹かれ、高木さんにお願いしたらどんな曲がうまれるのだろう・・ととっても楽しみにしていました。届いた曲はヨーロッパの映画音楽を連想させるような世界です。それに触れることで、また新しいうたが歌えた気がしています。
10. ノスタルジア(伊藤ゴロー カバー曲)
昨年リリースされた MOOSE HILL のアルバム『 DESERT HOUSE 』にボーカリストとして参加して歌った曲で、わたしとゴローさんの初めての音作りとなりました。これはそのカバーです。樽湖夫の『ハシレハシレ ハクバノムレ』と韻をふむ歌詞とギターやドラ
ムが軽やかに呼応して心地良いアレンジになっています。ぜひオリジナルとも聴き比べてみて下さい!
11. くちなしの丘(キセル オリジナル曲)
キセルのお二人が作る宅録の音やどこか懐かしさを感じるメロディが好きで、以前からいつか曲を書いてもらえたらと願っていました。この曲が届いた時は、あまりにも良い曲で涙が出てしまいました。お二人にはコーラスもお願いしたのですが、兄弟のなんとも言えないあの浮遊感のある歌声を重ねたことで、サビのメロディの良さがさらにひきたっています。
12. 時をかける少女(セルフカバー曲/編曲:伊藤ゴロー)
参加アーティスト・コメント
『MUSIC & ME』(とても良い響き)、知世ちゃんのアイディア。
(以上、五十音順)
アーティスト原田知世が音楽に正面から向き合った作品だと思う。
知世ちゃんの「音楽と私」は、正直で、無心で、節度が保たれていて、
いつも仲良しないい関係。素敵です。僕も見習わなければ、と思った。
この作品に関わる事が出来た事に感謝します。
伊藤ゴロー
原田さんの音楽にはいつも静かなときめきを感じます。
さりげなく歌う声や、アレンジと曲は誰でも巡り会うようなささやかな空間を編み出し、
聴き終えるといつのまにか貴重な時間を過ごしたような気がします。
そんな「ミクロ・マジック」に参加できて光栄です。
オニキユウジ
知世さんが、詞も曲も両方頼んでくれたのがとても嬉しくて、
「時をかける少女」を観たりしながら、やたら気合い入れて作りました。
色々な偶然が必然になってできた特別な曲やと思い込んでます。
アルバム発売おめでとうございます!
キセル 辻村豪文
この『music & me』に参加できてとても嬉しい。いわば『tomoyo & me』。
今、知世さんにどんな歌を歌ってもらいたいか、それは、過去か今か、この世かあの世か。
それが判別出来ない、すべてはこの場所に、菩提樹にかこまれた家のあちこちに共に在ると言うこと、
音も、かつて一緒に作った音、今の音が混在する、
そんな音楽を奏でたかったし、歌って欲しかった。
不思議な事に、この作品はたくさんの人々が参加しているが、キリッとした統一感とシンクロニシティが在る。
それは原田知世さんと伊藤ゴローさんの吸音力に違いないのだ。
鈴木慶一
せっかくなので、知世さんが今まで歌った事のないような曲を作ろうと思いました。
知世さんの歌声は、繊細なのに、実はすごく力強い。。。芯が通っているんです。
その二面性のお陰で、アレンジやミックス、随分時間が掛かりました。
素敵なアルバムに参加できて光栄に思っています。
高木正勝
知世ちゃんとお仕事をするのは意外にも初めてです。
20年以上前に映画の中で彼女の父親役をやらしていただいたことはありましたが、
それも彼女が幼い頃に僕は死んでしまうという設定だったので、実際に会ってというのは今回が最初ということになります。
直接のお仕事以外では何度も会っているのですが、まあ念願かなってやっと音楽での共同作業だったわけです。
『music & me』、ゆったりと気持ちのいい知世ちゃんらしい作品になりましたね。
オリジナル曲以外のカヴァー曲でもちゃんと自分の世界がある。彼女の音楽との清々しいスタンスはずっと変わらないんでしょうね。
それにしても知世ちゃんの声、じつはすごくドクトクだあ、すぐわかる。
高橋幸宏