虚ろな、中村優子。

2007年10月25日 (木)

中村優子って、どんな女性？

本名：中村優子（なかむらゆうこ）

生年月日：1975年1月7日
出身地：福井県
身長：165cm
血液型：O型

趣味・特技：日本舞踊・お能・語学・ピアノ

以下は、あるインタビューからによる引用なのですが、そこでの彼女は、こんな風にお話しを。

「濡れ場を演じるということは、恥ずかしい。だけど、役と（脚）本に惚れたら、やる。確かに最近は、「ヌードもできる」という見方が強いので、そういうお仕事の話もたくさん頂いているんですが、やっぱり、自分がその作品に惚れないと、やれない」と。

女優になったいきさつについては、彼女曰く「神のお告げ」だそう。そして、「この監督と仕事する」という啓示も的中するご様子で･･･。

また、やりたい役、出演したい作品、今後の目標も特に持たないそう。

「時々、何で女優をやってるのかな、と考えることがあるんです。たぶん、ちゃんと生きたいだけなんだなって。私にとって、その一番の手助けになるのが女優という手段。だから、女優自体に憧れがあるわけでもないし、ま、ある意味、どうでもいいっちゃどうでもいいんですよ（笑）。ちゃんと死ぬまでしっかり生きれれば、それでいいんです」と、さっぱり。

「生きている作品。脚本家や監督が生きていて、普段感じていることが脚本に現れると、やっぱり、作品って生きてくると思うんです。監督、脚本家などスタッフが、生きてつながって出来ている作品は、必ず、私の何かに触れてくる。そういう作品に、出演していきたい」と語られていました。

TVなどでの露出は極端に少なく、そのお姿を拝見することがあまりない彼女。だけれど、映画などに出演した際、ほんの少しだけの出演であっても、こちらに、静かに強い印象を与える、彼女の出演作品を↓

映画

1999年『金融腐蝕列島～呪縛～』
2000年　『TRUTH : A STREAM』
2001年『火垂（ほたる）』

2003年『RODEO DRIVE』『軒下のならず者みたいに』
『自殺マニュアル』

2004年『自殺マニュアル2』『ホテルウォータームーン』『BRIDGE』『オーバードライブ』『血と骨』

2005年『動・響・光（うごき・ひびき・ひかり）』『心中エレジー』『蝉しぐれ』『インザプール』

2006年『colors』『ストロベリーショートケイクス』
『アイ、マイ、ミー、マイン』

2007年『AKIBA』『魂萌え！』

短編映画

2001年『JINRIKI』『ENCLOSURE』

2003年『lily of the valley』『bunny boy』

2004年『TATOO』
2006年『風見鶏と煙突男』『ぷちむー』　

ドラマ

2005年『社長を出せ』
2006年『クライマーズ・ハイ』
2007年『朝のテレビ小説　どんど晴れ』

舞台 1997年　『アルケミスト』

受賞歴

2001年ブエノスアイレス映画祭　主演女優賞受賞『火垂』

2007年ヨコハマ映画祭　助演女優賞
『ストロベリーショートケイクス』

わたしが彼女の存在を知ったのは、河瀬直美監督作品『火垂』から。人は真に「大切」と思える人を失った時、一人で生きていけるのだろうか･･･ということをテーマに、監督の郷里・奈良の雄大な自然と歴史情緒あふれる風物を背景に、ストリッパーと陶芸家の、激しくも悲しい喪失と再生の純愛協奏曲（ラブ・コンチェルト）。

この映画で彼女は、2001年ブエノスアイレス映画祭　主演女優賞を受賞。ここに出てくる彼女は、この映画が映画初主演にも関わらず、大胆にも潔く、下着姿や裸を披露。虚ろに、危うい目を湛えて、スクリーンに存在し続けるその姿に、人間の、元から備わっている性や匂いを感じさせ、ストーリーなど、映画が進んでいくよりももっと以前の、その存在感に圧倒され、感情移入してしまい、目が離せなくなってしまった。

また、そんな彼女の佇まいや色気は、崔洋一監督作品『血と骨』にも、存分に受け継がれていて、ビートたけし演じる金俊平とひたすらに情事に耽る清子という愛人役で出演。その清子が、脳腫瘍に倒れ、醜く歪んだ坊主頭になり、何一つ、自分で出来なくなってしまい、美貌など、欠片も失っていく･･･のだが、そんな清子を俊平は、そのままに受け入れ、介抱していく。清子は、自分がそんな情けない姿になってしまったという無常観ややり場のない怒りを、その、あまりにもな容姿の変貌や精神の狂気ぶりで、目を覆いたくなってしまうほど痛々しく、観ているこちら側をひりひりとさせる。

そして、魚喃キリコ原作、矢崎仁司監督作品『ストロベリーショートケイクス』では、デリヘル嬢の秋代という役で出演。お金を貯めて、5階以上の一人用のマンションを購入し、ボケそうになったら飛降り自殺することを決めている。それは、決して叶うことのない、菊池への想いを貫こうとする彼女の将来設計だった･･･という女性。この秋代は、自分の部屋に棺おけを置き、その中で寝起きし、デリヘル嬢で貯めているお金を無造作に、スーツケースに貯めている。そんな秋代が、安藤政信演じる菊池と逢う時は、「実家から野菜が送られて来た」などと言って、彼と逢うための口実を作り、スーパーでたくさんのトマトを購入し、自転車の前かごを真っ赤に実らせ、"仕事"の時とは全く違う、化粧っけもなく、髪をまとめためがね姿に、ジーパンとTシャツという格好で、健気に自転車を走らせ、いつものなじみの居酒屋で、彼とお酒を飲んだりしている。菊池といる時の秋代は、女を感じさせるそぶりを全く見せず、男言葉を使ったりしていて、自分の相手に対する気持ちなど、微塵も感じさせない。女心から来るギャップなどを危うく演じ分けている様子を、ぜひ、ご覧下さい。そんな彼女の演技は、2007年ヨコハマ映画祭　助演女優賞でも評価されていて。

ちなみに、彼女が出演している映画の最新作は、現在公開中！松尾スズキ監督作品『クワイエットルームにようこそ』。ここでの彼女の演技も、さりげなくて、やっぱり好き。

わたしにとって彼女はいつも、男らしい男に、丁寧に囲われているイメージ。そして、下着姿がひどく美しい。危うそうに、虚ろに見えるのに、奔放なのか、大胆なのか、潔いのか、わからない。目やしぐさなど、彼女を形成しているものが、何となく揺れていて、そんな空気が彼女の周りには漂っているような気がする。

そんな、掴めない魅力を湛えた、虚ろな、中村優子。

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