Tuesday, August 28th 2007
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2007年の夏はまさに“猛暑”と呼べるようなものだった。始まりこそ例年より遅かったものの、その遅れを取り戻すかのように太陽がジリジリとコンクリートを焦がす。そんな今夏の暑さを象徴するような作品がリリースされる。国内屈指のハウス・ユニット、STUDIO APARTMENTの森田昌典が編む人気ミックスCDシリーズ最新作『MUSeUM Thalia』だ。自身が主宰するクラブ・イベントと連動している本作は、現行のハウス・シーンの模様を切り取ったサンプルともいえる。そして今回は森田氏のミックス作に加え、ニューヨーク・ハウスの礎を築いた名門レーベル「IBADAN RECORDS」のオーナーであり、邦プロデューサーHIDEO KOBAYASHIとのユニット、Nagano Kitchenとしての作品も記憶に新しいJerome SydenhamによるDJミックスを同梱。日本とニューヨーク、それぞれの“夏”を収録した本作で、残り少ない夏を楽しもうではないか。(取材・文/高橋圭太) |
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まず本ミックスはどのような状況で、どんな機材を使い、録られたものですか?
Masanori Morita: 「あまり覚えてないんですよ。なんせ制作が STUDIO APARTMENT のアルバム『 FOR HER FOR HIM FOR YOU 』の制作終了直後だったんで。もう、てんやわんやで完成させた感じです ( 笑 ) 。使用機材はパイオニアの DJM-800 と CDJ-1000 、シーケンスに Cubase VST を使っていますね」
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今作は “ 2007 SUMMER EDITION ” と銘を打っていますが、どのような部分に“夏”を意識しました?
Masanori Morita: アルバムをリリースした直後、さらに夏リリースという事で、いつもの『 MUSeUM 』シリーズよりは気持ちアゲ目な感じにしようと思ったんです。普段の DJ スタイルとは多少異なりますが、 1 時間ぐらいのプレイだったら、こういうのもアリかなと。普段はあまりやらない“短時間セット”というか
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じゃあ、このミックスをパーティーの時間帯に例えるなら、何時から何時までのプレイに近いですか?
Masanori Morita: う〜ん、その場その場のフロアの状況を見ながらプレイするので、一概には言えないですねぇ。中盤は最近のピークタイムに近いセットではあると思うんですけど
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1 曲目は Quentin Harris 「 You Don ' t Know 」ですが、この曲を選んだ理由は?また、今回に限らずミックス作の 1 曲目はどのようにして選んでますか?
Masanori Morita: このトラックはどうしても収録したかったんです。理由は『純粋に好きだった』というしかないなぁ…。でも一曲目を選ぶのって本当に難しいんですよ。毎回悩むのですが、全体のバランスを見て『コレだったら良いんじゃない』という安易な感じなんです、実は。
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現場での DJ プレイと、録音物においてのプレイの違いはどこだと考えますか?
Masanori Morita: 現在ジャパン・ツアー中なのですが、地方では最低 3 時間、長い場合は 6 〜 7 時間プレイする事が多いんです。それだけの時間があるので、現場でのプレイは緩やかな流れを作りやすい。ただ、音源になってしまうと、 80 分弱の中で全てをまとめないといけないですよね。“起承転結”じゃないけど、 80 分弱の時間でそういう流れを作るのは非常に難しい。毎回そういった部分でも悩んでますね
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以前に『MUSeUM 』シリーズで苦心する点を伺った際に「(シリーズの)リリース・ペースが早くて選曲に苦労する」といった発言をされてましたが、9ヶ月のブランクが空いた今作ではどのようなことで苦労しました?
Masanori Morita: ストックがかなり出来たので、選曲に関してはあまり苦労しませんでした。 ( 笑 ) 。お陰で助かりましたよ!
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この9ヶ月間で DJ として得たものはなんでしょう?
Masanori Morita: 昨年の 10 月からアルバム制作を中心にしつつも、週末は毎週のように地方へ行っていたので、それらの経験が反映されていると思いますよ。未だに思いますが『 DJ は場数』ですからね
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今作で特に印象的だったのが6曲目、 Mr.V / Put Your Drink Down (Bob Sinclar Remix) からの流れです。こういったミニマルテイストのテッキーな楽曲は新機軸だと思いますが、意識されてますか?
Masanori Morita: 特に気にはしなかったのですが、知らず知らずのうちに、そういうテイストが自分に入ってきてるみたいです。より多くの音を聴ける環境が、そうさせているんじゃないですかね
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2枚目は Jerome Sydenham のミックス CD ですが、今回彼が参加した経緯は。
Masanori Morita: 今回の『 MUSeUM 』から、何か新しい事をしようと考えていたんですよ。 Jerome とは偶然何度か会う機会があって、彼の新プロジェクト・ Nagano Kitchen のアルバムも我がレーベル『 Apt. 』からリリースして。だから、彼らのアルバムのプロモーションも含めて『 MUSeUM 』に参加してもらおう、となったんです
―― 森田さんから見たJeromeの人間的な印象は?
Masanori Morita: とても優しいお兄さんという感じです。 DJ はかなり男前なんですけどね
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今作から “ 2ミックス CD ” といった形態になりましたが、今後どのような DJ をフィーチャーしていきたい?
Masanori Morita: 日本発のこういう CD はあまり無いので、次回もこの形態でやれればと思っています。次の候補に何人か挙がってはいるのですが、そこは決まってからのお楽しみという事で
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今後の「 MUSeUM 」( CD シリーズ、パーティーともに)の展望は。
Masanori Morita: CD は今年中にもう一枚ぐらい出したいなぁとは思っています。パーティーの方は、動員もパーティーのクオリティも上がって、盛り上がってきてますよ。来年は昨年に続き、このパーティーでツアーを敢行しようと思ってます
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では最後に今年の夏の思い出を教えてください。
Masanori Morita:やっぱり 8/4 に ageha で行ったアルバムのリリースパーティーですね。バタバタで大変でしたが、それを上回る達成感がありました。またライブ、やりたいですね
―終わり―
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