―― アルバムの完成、そしてリリースおめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせ願えますか？
ditch: アルバムをリリースできたことに素直にうれしく思います。ＣＤということもあって、自分の主観でほとんど作っていけたし制作も楽しかったです。色々自由にやらせていただいたop.discにはほんと感謝しています。
―― 今作を＜op.disc＞からリリースすることとなった経緯を教えて頂けますか？
ditch: 去年2006年のop.disc showcase "hub" に出演させていただいて、それが終わった去年暮れぐらいにオファーはあったのですが最初は驚きました。最初は本気で冗談だと思ってました。ほとんどの人達が僕のこと知らないと思ってましたし、このＣＤは日本国内だけのリリースですしね。。あとは、hubのliveもいい要因になったのかもしれません。
―― 「ditch」というアーティストネームはどういった経緯で付けられたのでしょうか？
ditch: 全く意味はありません。見た目と音の響き。それだけです。みんな最初はラベル見ますからね。なんかかわいいからいいかなって思って。
―― 個人的な感想になってしまい大変恐縮ですが、ditchさんの音を聴いていると、どこか物語を読んでいるような、ストーリー性を感じる作品という印象がありました。そしてミニマル系の音だと、その言葉の通りシンプルな方向に作り上げていく思うのですが、ditchさんの楽曲はシンプルながらも「様々な音」を使い強烈な個性を発しているとおもいます。そういった作風はどのような経緯で生まれたものだと思われますか？
ditch: これは、自分ではあまりいい点だとはまだ思えていないんですが、シンプルにしようと思っても作り込んでいくと、自分の思うシンプルな物ではなくなっていってしまうんです。制作中に複数のアイディアが出てくると、それを一つにまとめようとしちゃうので、そのせいかもしれませんが。。全部いいとこ取りって感じで。今回のアルバムはそれがより濃く出てると自分では思います。リスニングの要素も普段より意識していましたから。
―― 楽曲へのインスピレーションはどういったところから生まれますか？
ditch: インスピレーションはほとんどないです。作る前に、だいたいこんな感じの作りたいってのはありますが、それも結局最後には変わってますし。僕は作業的なことから生まれることしかないです。
―― ご自身の中で楽曲制作時に持ってらっしゃるのは「フロアへの意識」ですか？それとも「リスニングへの意識」でしょうか？それとその二つの違いを ditchさんは如何お考えですか？
ditch: もちろんフロアへの意識だけです。今回のアルバムはリスニングの意識ももちろんしましたが、あくまでもフロア向けなのを前提に考えていますし、普段からリスニングの意識をしているならもっと違う音楽作ってると思います。何がフロア的で何がリスニング的かは全くの主観です。
何故ということについては、多くの人が思って言ってきていることなので、僕が今更言うことでもないと思いますが、こういう音は現場で体感して良いと感じるものだと思うので。クラブにほとんど行かないのにテクノ好きって言うのはいまいち信用できません。
―― ditchさんはop.disc以外では海外のレーベルからのリリースが多いですが、どういった流れで海外からオファーが来てリリースに繋がったのでしょうか？
ditch: オファーをいただいたのは今回のop.discのアルバムが初めてです。その他のレーベルはすべてデモを自分で送ってリリースしました。
―― 差し支えが無ければ、今まで影響を受けてきたアーティスト、作品を教えていただけますでしょうか？それらに対してのコメントも可能でありましたらお願いします。
ditch: leafレーベルからリリースされたmurcofの『martes』ですね。４年前ぐらいに、あまり自分の理想の音楽がなくて探していた時期があって、あるレコード屋の人に理想を伝えたところ薦められたのがこのＣＤでした。絶妙です。これぐらいしかないです。すいません。
―― 今後の予定について教えて頂けますでしょうか？
ditch: op.discからはCD以外に12"シングルが年内２枚出ます。SchieberというドイツのレーベルからＥＰ。adjunctからデジタルリリース、これは７月ぐらいにリリースされてます。static discosというメキシコのレーベルからもデジタルリリースがあります。ライブは大きいのではop.disc showcase "hub"が11/30 @ Sunsui & 12/1 @ Unitであります。
―― ありがとうございました！
ditch: こちらこそありがとうございました！
