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鈴木淳史/チラシで楽しむクラシック

Friday, March 16th 2007

チラシで楽しむクラシック
鈴木淳史

日本独自の風習として知られるクラシックのコンサート会場の「チラシ配り」。その「コンサートチラシ」にスポットを当てたのが本書。古今東西のチラシをネタに、音楽評論家の鈴木淳史が音楽家、作曲家の薀蓄などを描き出します。

【著者まえがきより】
クラシックのコンサートに行くと、入り口で分厚い紙の束を渡される。それはビニールに入っており、何やらイケナイものを渡されたような気分になる。
 そう。それは、確かにイケナイものなのだ。あなたをコンサート中毒にし、一杯誘われても「今晩コンサートだから」と人付き合いを悪くし、家で待つ愛妻の作ったシチューは冷めていく一方だし、その上お金もべらぼうにかかってしまうという具合に。
 コンサート会場で渡されるチラシは、このようにあなたを魔境へと誘う。そして、その魔境へと誘うために、それを作る側はさまざまな工夫を仕掛けてくる。
 昔は、それぞれの業者がホール入り口に陣取って、チラシを手渡ししていたものだ。それでは人件費もかかるので、今は首都圏では一つの会社が一括してチラシを渡す仕事を負っている。
 まったく、とんでもない量のチラシである。大都市ではこれだけたくさんのコンサートが行われているのであり、それが一斉に「オレを聴け、アタシのに来て」と主張しているのだ。
 そこには、クラシック音楽という「ちょっとお高くとまった」権威のひけらかしと、「チケットを売らなきゃ」という責務とのせめぎ合いがある。この相乗効果によって、チラシのテンションはますます昂じてしまうというわけだ。
 この威勢の良さと反面、チラシには、はかなさを覚えることがある。なぜなら、コンサートで聴いた音楽と同様、チラシは消える運命にあるからである。
 もちろん、物質であるチラシが自然に消滅することはない。しかし、チラシを一枚一枚保存している人はどのくらいいるのだろうか。コンサートのパンフレットを保管している人は多いけれど、チラシは捨てられる運命にあることが多いものだ。
 パンフレットがコンサートの記憶を留めておくのに対して、チラシはコンサートへ誘う役割しかないメディアである。チケットを買ってしまえば、コンサートが始まってしまえば、それはもう用が無くなってしまうのである。
 そもそも、コンサート会場で渡されるチラシとは、日本独自の文化である。ヨーロッパでは、簡単なチラシ(フライヤー)は作られることがあっても、これだけ立派な紙質で、カラーのものを大量に印刷することはあまりない。彼らがどのようにコンサートの情報を得ているのかといえば、街頭の広告塔であることが多い。チラシではなく、ポスターの文化なのである。
 桜は散るからこそ、愛でられる。チラシの本を作ってみようと思ったのは、そういうはかなさに惹かれたからに相違ない。

【構成】
第一章 歴史編――あの日あの時あの場所で
1959 カレル・アンチェル&ラディスラフ・スロバーク指揮 チェコフィルハーモニック交響楽団
1967 サンソン・フランソワ・ピアノ独奏会
1968 オイゲン・ヨッフム&ベルナルト・ハイティンク指揮
   アムステルダム・コンセルトヘボウ交響楽団
1972 クリストフ・エッシェンバッハ・ピアノ演奏会
1974 ストラスブール・パーカッション・グループ
1977 デジュー・ラーンキ・ピアノ・リサイタル
1978 クリスチャン・ツィメルマン・ピアノ独奏会
1979 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
1979 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1982 ゲルハルト・オピッツ・ピアノ独奏会
1982 反核・日本の音楽家たち
1983 ウラディーミル・ホロヴィッツ・リサイタル
1984 マルタ・アルゲリッチ・ピアノ・リサイタル
1986 スタニスラフ・ブーニン・ピアノ・リサイタル再追加公演
1986 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1988 スメタナ弦楽四重奏団サヨナラ・コンサート
1989 グランドオペラ「カルメン」
1990 ギュンター・ヴァント&クシシトフ・ペンデレツキ指揮 ハンブルク北ドイツ放送交響楽団
1991 ソ連芸術祭
1993 フリードリヒ・グルダ
1995 ピエール・ブーレーズ・フェスティバル
1997 若杉弘指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
1997 アンドラーシュ・シフ シューベルト・ピアノソナタ・サイクル
1999 トレヴァー・ピノックと仲間たち
2001 ヴァレリー・アファナシエフ・ピアノ・リサイタル
2002 ウィーン・アンサンブル“11”
2003 アレクサンドル・ドミトリエフ指揮 サンクトペテルブルク交響楽団
2006 小林研一郎指揮 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

コラム 幻のコンサート

第二章 人物編――君に逢えなかったら
イーヴォ・ポゴレリッチ
マウリツィオ・ポリーニ
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
ギドン・クレーメル
マルタ・アルゲリッチ
エフゲニー・キーシン
ファジル・サイ&ジャンルカ・カシオーリ
イアン・ボストリッジ
岡村喬生
ラルス・フォークト

コラム 究極のチラシ――光藍社

第三章 チラシからの誘惑――読んで読んで、読まれて読んで
イギリス室内管弦楽団(2001)
ワールド・オーケストラ・シリーズ(1998)
東京都交響楽団(1994)
ウラディーミル・フェドセーエフ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団(2006)/
岩城宏之指揮 東京都交響楽団(2005)
清水和音(1990)/セミヨン・ビシュコフ指揮 ケルン放送交響楽団(1998)/
寺田悦子+渡邉規久雄(2006)/シルヴァン・カンブルラン指揮 読売日本交響楽団(2006)
柴田良ピアノコンチェルト 外山雄三指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団(1966)
新日本フィルハーモニー交響楽団06〜07シーズン・プログラム
NHK交響楽団 モーツァルト・コンサート(2006)
NHK交響楽団 ウィークエンドはN響で(2007)
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団@武蔵野市民文化会館(2006)
加藤千晴「IN THE MISTS」(2006)/アンサンブル・ボワ(2005)
外山啓介デビュー・ピアノリサイタル(2007)/数住岸子・花房晴美デュオ(1980)
ザ・パーセル・クヮルテット・オペラ・プロジェクト(1998)
アン・アキコ・マイヤーズ・リサイタル(1998)
井上道義指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 みちよしの盆休み(2005)
岩城宏之 岩、動く(2005)
ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ(1958)

* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

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Atsufumi Suzuki

Price (tax incl.): ¥1,870

Release Date:February/2007

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