12/27 Pyramid Live Report & News

2005年12月29日 (木)

12/27 STBで行われたライヴは、ダニー・ハサウェイの娘でレイラの妹、ケニヤ・ハサウェイがゲスト。来年6月発売予定Pyramid新作にも参加。1stアルバム『Pyramid』ベストセラー中！

　オーケー・ボーイズから名前を改め、2005年の7月にアルバムデビューしたPyramidは、鳥山雄司(g)、和泉宏隆(key)、神保彰(ds)という、日本のフュージョン・シーンの歴史を形作ってきた名プレイヤーの集合体。3人はもともと、高校、大学の同級生というユニークなバックグラウンドを持つが、その技、曲、アレンジなど、まさに先端を行くインストルメンタル・ミュージックとして2005年、大きな話題をさらい、ADLIB誌2005アドリブ・アワード(国内ジャズ／フュージョン賞)を受賞した。

　そんな彼らがデビュー以来、3回目となるライヴを、東京六本木STBにて行った。今回のライヴは、ちょうどジョン・トロペイのライヴのために来日していたケニヤ・ハサウェイをゲストに迎えるということで話題を呼び、チケットは早々にソールド・アウト。

　ケニア・ハサウェイはあのダニー・ハサウェイの娘であり、レイラ・ハサウェイの妹にあたる。リー・リトナーのスタジオ・ライヴDVD『Overtime』に出演。その歌声に注目が集まった。

　さて、ライヴの方は、オープニング『D'accord!』を皮切りに鳥山、和泉、神保3人のセットにて、コンピューターをシンクロさせた完璧なサウンドを展開。鳥山はエレアコ、サイレント・ギターを駆使した華麗なギター・ワーク、和泉もグランド・ピアノとエレピでメロディアスなメロディーとソロを聴かせる。神保は極めてシンプルなドラム・セットにて心地良くも鋭いグルーヴと、細かなフィル・インでリズムを牽引する。3人の息はピッタリであり、やはり経験と実績を十分に持つ彼らだけが出せるサウンド、と言ってもいいだろう。

　そしていよいよ、ケニア・ハサウェイの登場。曲は非常にコンテンポラリーな味付けが成されたマイルス・デイヴィスの「Four」。彼女の声質は全体的に伸びやかで澄んだ高音が非常に魅力的。低音部になると、そのかすれ加減が姉レイラにそっくりだ。まっすぐ前を見据え歌う姿が非常に印象的である。続いてはジュリア・フォーダムの88年のヒット・ナンバー「Happy Ever After」をカヴァー。こちらも彼女にピッタリな選曲といえる。

　2ndセットは神保彰のドラム・ソロに始まる。その凄まじさには鳥山＆和泉も一観客となり声援をあげていた。続いて、毎回ライヴでプレイする、アルバム未収録曲「Tornade」はクルセイダースをも思わせる、フュージョン・ファンにはたまらない人気ナンバー。そして本邦初公開の新曲「La Naissance」が続く。鳥山作によるこの曲は「誕生」という意味だそうだ。そしてボブ・ジェームスの名曲「Westchester Lady」も彼らにピッタリはまり、印象的なリフのメロデイーが耳に残る。「青天の霹靂」という意味の未収録曲「Bolt From The Sky」は劇的に変化する曲調に圧倒される。

　そして、再度ケニアの登場。スタンダード・ナンバー「Summertime」に続き、彼女のオリジナル「Today's People」ではギターを弾きながら歌う。最後はクルセイダーズの「Street Life」で盛り上がりはピークに達するのであった。

　アンコールでは、「Sungoddess」、「Feel Like Making Love」の2曲をプレイ。過去2回のライヴと比べ、更に余裕と円熟、遊び心を増したパフォーマンスにメンバー3人とも充実した表情、笑みを見せていた。