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大澤壽人『神風協奏曲』〜日本作曲家選輯

Saturday, April 10th 2004

戦前の日本、クラシック音楽でも欧米に追いついていた!!
大澤壽人〜日本作曲家選輯

『大澤壽人の音楽は、ドビュッシー、ラヴェル、シェーンベルク、バルトーク、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、六人組、ヒンデミット、ハーバのやり方から、ガーシュウィンをはじめとするアメリカのポピュラー音楽の感覚や技法までをこなし、さらに時には日本の伝統音楽の旋律やリズムも導入して、十分な成熟を示している。
 そこには無調的な半音階趣味も、全音音階も、日本的五音音階も、プロコフィエフのアクロバティックに跳躍する旋律線も、シェーンベルクの表現主義的に激しくひしゃげる音のデザインも、ヒンデミットの新バロック的ポリフォニーも、濃厚なジャズの響きもある。弦楽曲に於いては微分音階も、西洋流の半音階には収まらない日本の伝統的音感と結びついたかたちで使われている。
 つまりは、1920・30 年代に於ける、芸術音楽の先端を行く響きと、都市大衆流行音楽の最新流行の響きとの両方が、国際性と民族性のバランスへの目配りを伴いつつ、縦横無尽に利用されているのである。』―――――片山杜秀氏のライナーノートより


CDのジャケット写真に使われている、朝日新聞社の社有飛行機「神風号」は、三菱製の97式司令部偵察機の民間版です。第二次世界大戦直前、日本の航空機技術力は頂点に達し、世界最高水準の航空機を次々と生み出していました。開戦劈頭、陸海軍の航空機が圧倒的な性能を見せ付け、英米の航空、関係者が度肝を抜かれたのは有名です。
 同時代、航空技術界同様に、クラシック音楽の分野でも、わが国に世界水準の作曲家が存在していました。神戸出身の大澤寿人です。当時最先端であったモダニズム音楽の語法を自在に駆使し、伝統的な日本音楽、西洋クラシック音楽のロマン派と近・現代派、さらにジャズの要素まで巧みに編みこんだ見事な管弦楽作品を書き上げました。残念ながら、当時の日本では、大澤の交響曲や協奏曲を満足に演奏できる環境を整えるのが難しかったために、せっかくの力作が次第に忘れられて行きます。もっぱら関西で活動し、戦後10年もしない内に亡くなってしまうために、20世紀の後半はほとんど忘れられた存在になっていました。
 ようやく2001年になってから、片山杜秀氏の尽力により、この埋もれた名作曲家の作品に光があてられ、真価が明らかにされました。大澤作品の蘇演は、日本文化史上の一大イベントとも言えるものです。他の様々なジャンル同様に、昭和初期のわが国では、文化面で爛熟期を迎えていたということを雄弁に物語るものでしょう。
このナクソスCDは、オール・ロシア勢による、パワフル、かつ技術水準と情緒表現の双方で不足のない優秀な演奏を収録したものです。片山杜秀氏による、一万四千字に及び、詳細を極める解説書の読み応えも十分です。


大澤壽人 交響曲第3番&ピアノ協奏曲第3番「神風」 聴きどころ

ドイツかフランスに生まれていたら、音楽史年表に普通に名前が載るような有名作曲家になっていたかもしれない・・・・・そんな感想を持ってもおかしくない程、忘れられた神戸の作曲家大澤壽人の管弦楽作品は、クラシック音楽の王道である交響曲や協奏曲としての完成度が高いものです。聴き返す度に新たな発見を覚え、さらなる興味が高まる正真正銘の名曲といえるものです。

交響曲第3番(1937年) 第1楽章は自由なソナタ形式によるものです。ティンパニと低弦のトレモロで開始し、弦楽の瞑想的なカノンやヴァイオリンの柔らかなトレモロによる序奏が続き(0:25)、主部はフルートとオーボエが活躍するアレグロ(1:30)です。この第一主題が劇的に高揚した後を受ける第二主題(3:50)は、荒々しいティンパニの導入部を伴うもので、日本音階を用いた哀感の漂う旋律です。この後、二つの主題が絡み合いながら展開し、戦闘的な行進曲も登場します。心臓の鼓動の様なリズムで始まるコーダ(11:40)には、切迫感が漂い、心打たれるものがあります。
 第2楽章アダージョ・グラツィオーゾは、細分化された弦楽がカノン風に展開するもので、雅楽の「追吹き」を模したものです。中間部では、クラリネットの日本風の主題が印象的です。その後主部の再現を経て、コーダでは神秘的な行進曲となり、野辺送りの情景を髣髴させます。
 第3楽章モデラートは、作曲者が「幻想メヌエット」と呼んだもので、アルペッジョを伴う第一のメヌエット、日本の童謡の様な第二メヌエット、ベートーヴェンのような古典的な楽想が日本風の都節に包まれるトリオと続き、第一、第二のメヌエットが再現される、スケルツォ楽章的な構成です。
 第4楽章は、爆発的なトゥッティで始まり、奔流のような楽想が次々と出現し、行進曲のテンポと指定された主部(1:30)が導かれます。第1主題はヴァイオリンで落ち着いて奏でられ、第2主題(2:40)は極めて暴力的な雰囲気のものです。この二つの主題が巧みに展開され、輝かしい賛歌が出現し、最後は凱歌を上げる大団円を迎えます。

ピアノ協奏曲第3番 変イ長調「神風」(1938年)
第1楽章冒頭では、トロンボーンと弦楽が力強く印象的な3音を強奏します。この音型は「エンジンのモットー」といえるものであり、この協奏曲全体のライトモティーフとなる重要なものです。この音型をピアノも受け、スケルツォ風の行進曲の動機(0:50)も金管楽器を伴って登場します。主部の開始(2:15)は、飛行機が離陸する様を描写していて、様々な動機が組み合わさり、力強い飛行を表現する第一主題群を形成します。全管弦楽で演奏される第二主題(2:55)は、高空を飛翔するかの様な晴れ晴れとしたものです。この後、両主題と冒頭のモットーが、多彩な技法を駆使して目くるめくような華麗さで展開され、流れるようなピアノのカデンツァ(7:05)を受けて、高揚する再現部が始まり、飛行機が飛び去るように終わります。
 第2楽章アンダンテ・カンタービレは、いわば夜間飛行風の音楽といったもので、サキソフォーンとクラリネットがブルース風の導入を吹き、ピアノによる、ブルーノーツと日本音階を共に取り入れた主題が始まります。「エンジンのモットー」が巧みに隠された技巧的な作風です。
 第3楽章は、序奏とロンドとコーダより成り、導入部から「エンジンのモットー」がトランペットで強奏され、ピアノに受け継がれるなど活躍します。その後モットーとも関連する行進曲風の動機(0:24)が繰り返し提示され、主部のABACD形式のロンドが始まります。A動機(0:35)はピアノが主導するジャズ・トッカータで、B(1:45)は木管主導のスケルツァンドになります。C(3:40)はヨーロッパの歓楽街の賑やかさを思わせる陽気なもので、日欧長距離飛行のゴールに近づいた昂揚感を表現しています。短いカデンツァを経て、A動機が激しく高揚(6:20)し、急速テンポによるコーダ(6:55)になだれ込み、一気呵成に全曲を結びます。 


大澤壽人 (1907-1953):
■ピアノ協奏曲 第3番 変イ長調「神風協奏曲」(1938)*/交響曲 第3番(1937)(世界初録音) *日本語解説書付き

エカテリーナ・サランツェヴァ(p)*、ロシア・フィルハーモニー管弦楽団、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮

録音(24bit/48kHz): 2003年10月 モスクワ、TV&ラジオ・カンパニー「カルチャー」、大コンサート・スタジオ第5

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Ohzawa, Hisato (1906-1953)

User Review :4 points (15 reviews) ★★★★☆

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Release Date:28/May/2004

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Sym.Triumph And Peace

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Yamada, Kosaku (1886-1965)

User Review :4 points (4 reviews) ★★★★☆

Price (tax incl.): ¥1,760
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Release Date:29/October/2003

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